原因は遺伝!予防法のない恐ろしい病気「多発性嚢胞腎」

原因は遺伝!予防法のない恐ろしい病気「多発性嚢胞腎」

多発性嚢胞腎とは腎臓に液体が溜まった袋状のもの「嚢胞(のうほう)」ができ、腎臓の機能を徐々に低下させていく病。大小様々な大きさの袋があちこちに出現するためこのような病名になります。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の多発性嚢胞腎とは?

診察を受ける猫

『多発性嚢胞腎』になると、最終的には一般的な腎臓病と同様の症状が出現します。しかし、その原因が一般的な腎臓病とは大きく異なります。

猫の多発性嚢胞腎の原因は「遺伝」

2匹の子猫

多発性嚢胞腎は、両親のどちらがそうである場合、50%の確率で遺伝します。遺伝する要素は、「腎臓を構成するタンパク質を作る遺伝子の異常」です。

健康的な腎臓を作り出す組織が正常に機能せず、本来とは異なる機能を持つ腎臓を作り出してしまいます。これが生まれつき起ることで、成長とともに腎臓がデコボコした形に変化していきます。腎臓そのものの大きさも大きくなり、はたらきを弱めていきます。

猫が多発性嚢胞腎になった時の症状

異常に水を飲む猫

多発性嚢胞腎がある場合、3歳をすぎると腎不全の症状が現れます。ここでいう腎不全とは、一般的なものと同じです。腎不全を発症すると次のような症状が見られます。

  • 頻繁に水を飲んだり、おしっこの回数が増える
  • 食欲が減少する
  • 嘔吐
  • 脱水
  • 貧血

このような状態を「慢性腎臓病」といいます。多発性嚢胞腎では、慢性腎臓病の症状が長い年月をかけてゆっくりと進行します。腎臓のはたらきが、気づかないうちに少しずつ低下していくのです。

このように徐々に進行していく病気は、弱くなった腎臓に体が慣れてしまうため、かなり進行した状態になって初めて症状が分かるようになる場合があります。

猫の多発性嚢胞腎の治療方法

点滴を打つ猫

現状では、多発性嚢胞腎そのものを治療することはできません。つまり多発性嚢胞腎があるということは、やがて腎臓病に発展していくということです。よって根本的な治療ではなく、進行とともに出現した腎臓病に対する治療を行います。

血液を綺麗にすることが基本

腎臓病に対する治療は、血液中の老廃物や毒素を排出することが基本です。その手段は次のようなものが挙げられます。

  • 食事管理
  • 点滴(尿量を増やし老廃物を排出しやすくする)
  • 血圧を下げる薬(腎高血圧予防のため)

腎臓病において、食事管理は重要です。主にタンパク質・リン・ナトリウムなどを制限します。これにより、進行を遅らせることができます。ちなみに猫の食事制限は「療法食」という、治療を目的としたフードを食べさせることで行います。

猫の点滴は2種類ある

点滴ではおしっこの量を増やし、老廃物を体の外へと追い出します。猫が行う点滴は2種類あります。一つは人間が使用する点滴と同じく、静脈に針を入れることで行います。

もう一方は、猫や犬などの動物特有の方法で行う「皮下点滴」です。猫や犬は、首の後ろの皮膚を優しくつまんで持ち上げると、皮が伸びる構造になっています。その伸びた皮に針を刺して皮下に点滴液を一旦溜め24時間かけて毛細血管から徐々に吸収させていきます。

この方法のメリットは、比較的簡単で猫にかかる負担を軽減できることです。また、病院での指導を受ければご家庭でも行うことができます。(家庭で実施可能かどうかはかかりつけの動物病院で相談してください)

多発性嚢胞腎にかかりやすい猫の種類

ペルシャ猫

多発性嚢胞腎は、主にペルシャ猫やペルシャ猫が交配に含まれている猫種に多い傾向があります。また、アメリカンショートヘアやスコティッシュフォールドにおいても見られることが分かっています。

ペルシャ猫の交配種は次のような猫です。

  • エキゾチックショートヘア
  • ラグドール
  • ラガマフィン
  • ミヌエットなど

猫の多発性嚢胞腎を予防する方法

人の手を抱える猫

多発性嚢胞腎は治療法だけではなく、予防法においても有効な方法が見つかっていません。よって、根本的な予防法はないのです。

その代わり遺伝子検査を行って、病気が見つかった猫は繁殖のメンバーに加えないという方法で予防することができます。

また、先ほど紹介した猫種に該当する猫と暮らしている場合は、定期的に腎臓の検査を受けることで早期発見が可能になります。なるべく早い段階で病院を見つけ、食事療法や点滴による治療などを行うことが大切です。

まとめ

寝そべってこちらを見る猫

多発性嚢胞腎は、根本的な予防法も治療法もありません。しかしこの病気が見つかることが、死に直結するわけではありません。

嚢胞の大きさが、初期の段階では小さすぎて見つけにくいことがあります。ただし、エコー検査ではレントゲンよりも発見しやすい傾向があります。獣医さんに検査を勧められたら、一度受けることを検討してましょう。

また、遺伝子検査を行う方法もあります。これは、頬の内側の粘膜を採取したり、血液検査で遺伝子情報を読み取るものです。専門機関での検査になるため、その日のうちには結果が明らかになりません。しかし、精度が高いものになりますし確実性も高いため検査を受けることをお勧めします。

気になる方は、早めに動物病院で確認してみてください。

今現在、生きている猫の早期発見に努めることと今後リスクのある猫を増やさないことが、大切になります。。

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