猫の口内炎はとても治りにくい
口内炎は経験のある方も多いでしょう。人間の場合、疲労の蓄積やビタミン B2やB6が不足することで起こります。ただし、ほとんどの場合は一時的なものです。再度口内炎ができることはあっても、一度できた口内炎が全く治らないことはありません。
一方、これから紹介する猫の口内炎は異なります。猫の場合は、難治性といい治りにくいことが特徴です。つまり、一度発症すると基本的には一生涯にわたって付き合わなければならない病気です。
猫が口内炎になる原因は複雑
猫の口内炎は人間とは大きく異なり、単なる疲労の蓄積ではありません。その背景には様々な病気が潜んでいる可能性があり、とても複雑なのです。
口内炎の陰に潜む病気は次のようなものがあります。
- 細菌感染
- ウイルス
- アレルギー
- 免疫系の疾患
- 歯周病など
このように、口内炎をつくる原因は多岐にわたります。感染症の一種である猫風邪をはじめとし、猫エイズや猫白血病によって免疫力が低下したとき、腎不全で体内にある毒素排泄がうまくいかないときにも現れます。
そして、口内環境も重要です。歯に歯石や歯垢が蓄積すると、それらの中の細菌が歯茎周辺に炎症を引き起こすことがあります。重症化して歯肉炎の状態になると、口内炎を伴う場合があります。
猫の口内炎による症状
難治性口内炎を発症すると、患部がひどく痛みます。その痛みは想像を絶するものであり、食事をすることが困難になります。そして衰弱し、最悪の場合は死に至ることがあります。
先ほども説明したように、猫に見られる口内炎は長きにわたって持続します。この痛みと一生付き合わなければならない場合が多いのです。
猫の口内炎を治療する方法
難治性口内炎そのものを完治させる治療法はありませんが、炎症を抑える目的でステロイド剤が使われます。痛みをとる作用は強いので炎症がひどい時にはお勧めできますが、長期服用は体に負担がかかるため長期の継続投与は難しいでしょう。
ここでの治療の中心は、主に口内炎を発症した背景にある病気をコントロールすることです。それぞれ原因となった病気の改善に努め、より良い状態を維持できるようにしていきます。
原因が歯にある場合は、歯科的な治療を施す場合があります。それは歯石の除去が中心になりますが、状況次第では全ての歯を抜かなければならない場合もあります。これらの歯科治療は、基本的に全身麻酔をかけなければ行えません。
全身麻酔にはリスクがあるうえに、呼吸器系の疾患を患っていると不可能なケースもあります。
どうすれば猫の口内炎を予防できる?
難治性口内炎を予防するためには、次のような事柄を意識しましょう。
- ワクチン接種をする
- ドライフード中心の食事をする
- 免疫力維持のために、ストレスを予防する
- 歯磨きをする
ストレスを与えない暮らしをする
まず、何よりも健康に過ごすことが大切です。些細なストレスは持続することで、病気を引き起こす可能性があります。猫が嫌がることや、苦手とすることを無理にさせないように気をつけましょう。
ウェットフードを避けドライフードを与える
ウエットフードは香りが強く、好む猫も多いでしょう。しかし、歯に汚れが残りやすく歯肉炎のリスクがあります。よってドライフード中心のほうが歯の健康にもよく、お財布にも優しくなります。
三種混合ワクチンを接種させる
完全室内飼育でも、風邪をひく可能性はあります。三種混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス・猫汎白血球減少症)を接種することをおすすめします。
猫の歯磨きは欠かさず行う
猫の歯磨きは、布で拭き取るタイプや指ブラシ、赤ちゃん用の歯ブラシを活用する方法をはじめとし、おやつやおもちゃなど様々なものがあります。何れにせよ、幼い頃から慣れさせておくことが重要です。
口内炎にかかりやすい猫とは?
年齢を問わず発症します。中でも原因の項目で挙げた疾患に該当する猫は要注意です。ストレスに対するケアや、持病の悪化を防ぐように心がけましょう。
そして、冬場は猫も風邪を引きやすくなります。適度にスキンシップを取りながら楽しく過ごしましょう。
まとめ
この病気は治りにくいため、上手に付き合わなければなりません。しかし、痛みによる苦痛は本人にしか分からないものです。
そこで、口内炎そのものを予防することが大切です。ペースト状のおやつやウエットフードを食べた後は、意識的に歯磨きをする習慣を身につけさせておくと良いでしょう。