完治しない猫の病気
猫も病気になることがあります。そして、中には治療法が見つかっておらず、思うように治療できないものがあります。
これから紹介する3つの病気は、治療をしても病気自体は完治せず、命を落とす可能性の高いものばかりです。しかし、日頃から気をつけて生活することで、ある程度予防することができます。
大切な愛猫を守るために知ってほしい病気を、できるだけ分かりやすく説明させていただきます。
1.猫伝染性腹膜炎(FIP)
FIPは一度発症してしまうと、命を落としてしまう可能性が極めて高い恐ろしい病です。
原因は「コロナウイルスの突然変異」。猫コロナウイルスは、多くの猫が保有しているウイルスです。本来であれば大人しく、時々下痢を引き起こす程度の弱いウイルスですが、稀にコロナウイルスが突然変異することがあり、これがFIPの正体です。突然変異の要因にはストレスが関わっていると言われています。
現在の医学では、FIPの治療方法はないと言われています。よってFIPの治療は、病気を治すというよりも愛猫の苦痛を和らげる緩和ケアが中心になります。
かかりやすい猫種などがなく、どの猫も発症する可能性のあるFIPは、治すことのできない病気です。予防が大切になってきますので、猫のストレスをできるだけ減らすよう日ごろから注意しましょう。
2.多発性嚢胞腎
多発性嚢胞腎とは腎臓に大小様々な大きさの「嚢胞(のうほう)」ができ、腎臓の機能を徐々に低下させていく病です。原因は「遺伝」で、両親のどちらかから受け継いで発症します。
多発性嚢胞腎がある場合、3~10歳までの間に腎不全の症状が現れます。多発性嚢胞腎自体を治すことは現代の医学では不可能とされているため、腎臓病の症状が出た場合に対症療法を行います。
発症するのは主にペルシャ猫やペルシャ猫が交配に含まれている猫種に多い傾向があります。また、アメリカンショートヘアやスコティッシュフォールドにおいても見られることが分かっています。
予防法もわかっていない病気なので、多発性嚢胞腎を持っている猫を交配させないことがとても重要です。
3.肥大型心筋症
心臓の筋肉(いわば壁のような部分)が厚くなり、十分な血液が送り出せなくなる病です。肥大型心筋症は断定できるような原因は明らかになっていませんが、遺伝子変異やバセドウ病による心拍数の上昇が関連していると言われています。
初期段階では目立った症状はありませんが、進行すると口を開けて呼吸したり何度も意識を失うなどの症状が出てきます。また、血栓ができたことによって後ろ足がマヒする場合もありますので、歩き方がおかしいときにはすぐに受診しましょう。
予防策として
肥大型心筋症をはじめとする心筋症そのものを治療する方法はありません。ここでできることは心臓にかかる負担を減らすこと、血栓ができにくい状態を維持することが基本になります。
リスクのある猫種
基本的にはどの猫でも発症する可能性がありますが、特にリスクのある猫種は以下の4つです。
- メインクーン
- ラグドール
- ラガマフィン
- アメリカンショートヘア
まとめ
今回紹介した病気は、人間にも馴染みのある病気が中心でした。(FIPを除く)そして、治療法においても人間が服用する薬を使用することがあります。
しかし、人間と猫では明らかに体の大きさが異なります。偶然、ご家族のどなたかが服用しているものと同一であったとしても、猫には絶対に服用させないでください。
完全に治らない病気であっても予防したり、定期的に健診を受けるなどの意識を持つことで、健康な猫と変わらずに元気に過ごせる可能性はあります。
まずは病気について正しく知ること、そして愛猫をストレスから守ること、皆で協力し合うことが鍵を握ります。信頼できる医療機関を探してより良い状態を維持できるようにしていきましょう。