猫の膀胱炎の種類
猫の膀胱炎は大きく分けて3種類あり、細菌感染が原因で起こる「細菌性膀胱炎」と尿石による「尿石症」、そして原因不明な「特発性膀胱炎」があります。猫の膀胱炎の大体65%が、特発性膀胱炎で、約10%が尿石症だと言われています。もし膀胱炎の疑いがある場合には、なるべく早く動物病院へ連れていきましょう。
猫の「細菌性膀胱炎」
シニア期(7歳以降と一般的には言われている)に多くみられる症状です。細菌が尿道を通って膀胱内に侵入し、炎症を引き起こします。
原因
メスは尿道が短いので、体の構造上かかりやすい傾向にあります。トイレが気に入らないことによって我慢をしたり、排尿回数が少なかったりする場合にもかかりやすくなります。また、採尿する為の尿道カテーテルの使用も、原因の1つとされています。後述する尿石症による結晶や結石で膀胱内が傷つけられ、細菌感染をして起こることもあります。
症状
細菌性膀胱炎の症状には、以下のものがみられます。
- 頻尿
- 血尿
- 白濁尿
- 尿が臭い
- お腹に触ると痛がる、嫌がる
- 粗相をする
検査や治療法
検査では細菌や炎症がないかを調べ、細菌が確認できれば、細菌性膀胱炎と診断されます。また、細菌が見つかった場合、その細菌を培養することで細菌の種類を特定し、有効な抗菌薬を選びます。再発しやすい病気ですので、一度できちんと治すことが大切です。
予防法
トイレを綺麗に保つことです。
ストレスがかからないようにします。
膀胱炎を引き起こす猫の「尿石症」
結石の一種で、尿の中のタンパクやマグネシウム、尿酸、カルシウムなどが結合して結晶になったり、石のように固まったものが膀胱内などにできたりする病気です。膀胱内に尿石ができると、膀胱炎になります。
原因
尿石症の代表的な症状は、2つあります。1つは、猫が食べているものが原因となることが多い、ストルバイト尿石です。食事内容によっては、尿のpH値がアルカリ性に偏ってしまったことで、尿石ができます。煮干しやかまぼこ、海苔などのおやつが原因となることもあります。
ほとんどの尿石が、こちらの種類です。膀胱に尿石ができることが多く、オス猫では尿道に石がつまり、閉塞してしまう可能性も。肥満の猫もできやすいので、注意が必要です。
もう1つは、シュウ酸カルシウム尿石です。原因は不明なことが多いですが、マグネシウムの摂取制限やナトリウムの過剰摂取などが原因ではないか、と言われています。膀胱以外にも腎臓や尿管、尿道などにも見られる尿石です。
症状
膀胱に尿石ができると、以下のような症状が現れます。
- 膀胱炎
- 血尿
- 頻尿
- 細菌尿
- 排尿痛
- 排尿困難
検査や治療法
触診や尿検査、X線検査や超音波検査などを行い、尿石の有無を調べます。治療法は尿石の種類によって異なりますが、ストルバイトのときは療法食によって尿石を溶かします。
膀胱炎には抗生剤を投与します。重度な場合や尿度閉塞の場合は、手術となることも。シュウ酸カルシウムの場合は、溶かす方法はありませんので、手術をして取り除きます。
予防
日頃から尿のph値を正常に保つため、専用のフードを与えます。水場を増やすなど、飲水量を増やす工夫をするのも大切です。また、煮干しや鰹節など、猫が好むおやつは、ほどほどにしましょう。
猫の「特発性膀胱炎」
特発性膀胱炎は2歳から6歳の猫に発症しやすい病気です。オス猫の方が若干、かかりやすいと言われています。尿検査を行っても、尿石や細菌などの異常が確認できないのが特徴です。
原因
「特発性」とは、原因が良く分かっていない、という意味です。ですから、この膀胱炎の原因ははっきりとしていません。ストレスが要因ではないか、と予測されています。また、膀胱内の膜の異常や神経系の影響、ストレスによる交換神経系の乱れ、が要因ではないか、とも言われています。
症状
特発性膀胱炎の症状は、以下に示す通りです。
- 頻尿
- 粗相
- 排尿時の痛み
- 排尿時の鳴き声
- 血尿
- 尿道詮子(オスのみ)
他の膀胱炎とも症状が似ているので、症状を見ただけでは見分けはつきません。ストレスを強く感じた時に症状が悪化したときは、特発性膀胱炎の可能性があります。尿道詮子は、膀胱炎による炎症細胞や上皮細胞が大量に排出されることにより、オスの尿道の先にたんぱく質の栓ができ、排尿できなくなる状態です。
検査や治療
尿検査や尿細菌培養、超音波検査、レントゲン検査などにより、他の病気がないことを確認します。治療はストレス要因を減らすようにすることや、飲水量を増やすこと、痛み止めなどの投薬を行います。猫がストレスを感じるのは、不仲な同居猫の存在や環境の変化が大きいようです。
多頭飼いをする場合には、愛猫たちがなるべくストレスを感じないような環境作りが大切です。また、ヒルズコルゲート社やロイヤルカナンから、特発性膀胱炎などに配慮した療法食が発売されていますので、獣医師の指示の元、給与するのも良いでしょう。
予防
原因がはっきりとしていないので予防も難しいのですが、ストレスが原因の可能性があることから、なるべく愛猫が快適に過ごせる環境を、整えてあげましょう。
愛猫の膀胱炎体験談
我が家の猫は数年前、尿石症による膀胱炎になったことがあります。原因は鰹節の与え過ぎです。愛猫が欲しがるので大量に与えてしまったのが、いけなかったのです。まだ完全な石ではなく、結晶の段階だったのですが、やはりトイレに頻繁に行くようになり、でも余り尿が出ていない、という状態になっていました。
私の不注意で、辛い思いをさせてしまったな、と思います。治療は膀胱の炎症を抑える薬の投与と、尿石を溶かす為の療法食を与えました。療法食を食べてくれる場合は良いのですが、猫によっては食べてくれないこともあるようです。
我が家の場合は、動物病院に幾つか種類の異なる療法食のサンプルを頂いたので、1番食いつきの良いものを与えました。結構好みがうるさい子だったのですが、奇跡的に食べてくれたので何とか、治療を終えることができました。それ以降は膀胱炎が再発しないよう、おやつの量には気をつけています。
まとめ
人間でも辛い膀胱炎、愛猫がかかってしまったら、いたたまれなくなりますね。幸いある程度の予防策がありますので、愛猫が膀胱炎にならないよう、常日頃からの心掛けが大切になります。
猫がかかりやすい病気を知って予防することで、愛猫との快適な暮らしを、楽しみましょう。