1.スコティッシュフォールド
折れたお耳が特徴
スコティッシュフォールドは折れた耳が特徴の品種です。1960年代初頭に突然変異で耳が折れている猫をブリーディングして確立した品種と言われており、その歴史はまだ浅い品種です。産まれた時はみんな立ち耳で、生後2~3週間で徐々に折れ曲がっていくという変化が見られます。
スコティッシュフォールドには立ち耳の子もいて「スコティッシュストレート」と呼ばれていますので、耳が立ったままだからといって心配はご無用です。
スコティッシュフォールドが発症しやすい病気
- 骨軟骨異形成症
- 多発性嚢胞腎症
- 肥大型心筋症
骨軟骨異形成症とは?
四肢の関節の骨の組織が増殖してしまい、手首やかかと部分に骨瘤(こつりゅう)と呼ばれる硬い骨のかたまりができてしまう病気です。
多発性嚢胞腎症とは?
腎臓に液体が入った袋(嚢胞)ができてしまう病気です。その袋が原因で腎不全につながります。
肥大性心筋症とは?
心臓の左心室が肥大し、うっ血性心不全を引き起こす病気です。心臓だけではなく、肺に水がたまったり血栓症を引き起こし、後肢麻痺をおこすこともあります。
2.アメリカンショートヘアー
アメリカでは「マウサー」とも呼ばれる
アメリカンショートヘアーはアメリカ原産の品種で、縞模様と短い毛、丸い顔にアーモンド形の瞳が特徴です。17世紀、英国からピューリタン(キリスト教プロテスタントで宗教革命を徹底しようとした人たち)がメイフラワー号という船に乗ってアメリカにやってきたのですが、船の中で食料を荒らしてしまうネズミを退治してもらうために猫を同乗させていました。
ピューリタンとともにアメリカに入国した猫たちは強い生命力を持って繁殖していき、その中でも短い毛の猫が愛好家の手によってアメリカンショートヘアーとして確立されたと言われています。アメリカでは「ネズミ狩りが上手」と言う意味で「マウサー」と呼ばれることが一般的です。
アメリカンショートヘアーが発症しやすい病気
- 肥大型心筋症
- 多発性嚢胞腎症
3.マンチカン
猫界のダックスフンド?
マンチカンの特徴は、なんといってもその短い足でしょう。ユニークな体型をしていますが、マンチカンは人間が改良したわけではなく突然変異によって発生した品種と言われています。
そのため、マンチカンとして品種が確立する前からイギリス、アメリカ、ロシアなど世界各国で足の短い猫が発見されていました。本格的にブリーディングされ始めたのは1980年代以降と言われています。とっても最近に感じますね!
マンチカンが発症しやすい病気
- 骨軟骨異形成症
- 多発性嚢包腎症
- 肥大型心筋症
4.ノルウェージャンフォレストキャット
ゴージャスな被毛がステキ
ノルウェージャンフォレストキャットの特徴は、ダブルコートでゴージャスに生えた豊かな被毛です。南ヨーロッパからノルウェー地方に移り住んだ毛の短い猫のうち、ノルウェーの厳しい寒さに適応して生き延びながら、毛を豊かに変化させた猫がこの品種の源流と言われています。
ノルウェージャンフォレストキャットはなんと、5歳くらいまで大きさが成長し続ける体格の良い猫であることも特徴です。毛の絡まりと肥満に気を付けたい品種です。
ノルウェージャンフォレストキャットが発症しやすい病気
- 糖尿病
- ピルビン酸キナーゼ欠損症
- 進行性網膜萎縮症
糖尿病とは?
猫の糖尿病は人間の糖尿病の「2型」に似ており、インスリンの量が不足したりインスリンが出ているのに体が反応しないことが原因と言われています。猫は完全肉食とされ、高タンパクで低炭水化物の食事が必要ですが、食事のバランスが崩れてしまうことが尿病を引き起こす原因の1つです。猫の運動不足や肥満にも気を付けましょう。
ピルビン酸キナーゼ欠損症とは?
「ピルビン酸キナーゼ」という酵素が不足し、赤血球が壊れてしまうことで貧血になってしまう病気です。この病気の発症はとても若い段階で訪れ、生後2~3ヶ月で貧血を発症してしまいます。
進行性網膜萎縮症とは?
目の奥にある「網膜」という部分が委縮したり形に異変が起こったりし、視力が低下してしまう病気です。「進行性」とあるように、この病気は徐々に進行していって失明にいたります。
5.メインクーン
ビックリするほど大きな猫!
メインクーンはアメリカ原産の品種で、豊かな被毛とどっしりとした体格が特徴の大型猫です。メインクーンの「クーン(coon)」はアライグマの「ラクーン(raccoon)」からきており、身体の模様や狩りの方法がアライグマとよく似ていることが由来です。大きくて野性味を帯びた雰囲気をしていますが、人に懐きやすく温厚な子が多くいます。
メインクーンが発症しやすい病気
- 肥大性心筋症
- 股関節形成不全
- ピルビン酸キナーゼ欠損症
- 進行性網膜萎縮症
- 脊椎性筋萎縮症
股関節形成不全とは?
股関節形成不全とは、生まれつき股関節の形に異常が見られる病気です。跳ねるように歩く、階段を嫌がる、腰を振って歩くなどの症状が見られることが多くあります。
脊椎性筋萎縮症とは?
脊椎にある運動を司る神経細胞が消失してしまい、徐々に筋力が低下したり筋肉が萎縮していく病気です。進行していくと歩行や排せつなどが困難になります。
まとめ
遺伝性の病気は予防が難しいので、そもそも病気のキャリアを持つ親を掛け合わせないといった慎重なブリーディングが必要です。交配する前に親に遺伝病の素因がないかを確認しておくほうがよいかもしれません。しかし、持って生まれた病気ばかりは神様にしかわからないので、猫を飼う前にその品種に対する知識を深め、発症しやすいと言われている病気のリスクについて飼い主となる人が知っておくことが大切です。命を預かるということは、病気と向き合う覚悟を持つということでもありますね。