猫にとって『消毒液』が危険な理由3つ 思わぬ事故を防ぐための注意点も解説

猫にとって『消毒液』が危険な理由3つ 思わぬ事故を防ぐための注意点も解説

おうちの掃除や手指の消毒などで消毒液を使う機会は多いでしょう。実は、消毒液が愛猫にとって命に関わる「有害なもの」になってしまう危険性があるのです。猫に消毒液が危険である理由と、愛猫を守るための注意点を解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫にとって消毒液が危険な理由

手を消毒しようとする人

1.体内で分解できないから

家庭でよく使われる消毒液には、主にアルコールや、ノンアルコール系の代表的な成分であるベンザルコニウム塩化物といった成分が含まれています。人間はこれらの化学物質の分解酵素の働きが備わっています。

しかし、猫はこの酵素の働きが弱いため、スムーズに処理できません。その結果、猫の体内に残った化学物質が、中毒症状や、肝臓などの臓器にダメージを与えてしまうのです。

2.においや蒸気を吸引しやすいから

消毒液の成分は、蒸発したり、強いにおいを出したりするものがあり、猫の呼吸器を刺激します。塩素系は強い刺激臭、アルコール系は蒸発した成分で粘膜に炎症を引き起こす可能性があるのです。

また、消毒液の蒸気は床付近にたまりやすく、床に近い低い位置で生活している猫は、人間よりも濃度の高い蒸気を吸い込むリスクが高くなります。猫の敏感な嗅覚とデリケートな呼吸器にとって、においや蒸気はストレスになるだけでなく、咳や鼻炎、時には呼吸困難の原因となります。

3.皮膚や粘膜を直接刺激するから

消毒液の成分は、ウイルスや菌の細胞を壊しますが、これは猫の体の細胞にも強い刺激を与える可能性があります。

特に濃度が高い塩素系の消毒液が粘膜に触れると、強い痛みや炎症、ただれといったダメージを引き起こす危険性があります。アルコールやベンザルコニウム塩化物なども、猫のデリケートな皮膚や粘膜に付着したままになると、皮膚炎や炎症の原因となります。

消毒液で猫の事故を防ぐための注意点

毛づくろいする猫

毛づくろいでの舐め取りを防ぐ

飼い主さんの手や床などに消毒液が付着し、猫が毛づくろいや接触でそれを舐めてしまうのが、もっとも多い事故です。手指消毒後は、完全に乾いたことを確認してから猫に触れましょう。

床や家具を拭き掃除した際は、成分が残らないように乾いた布や水拭きを徹底し、猫が舐めても大丈夫な状態にしてから部屋に戻すようにするのが安全です。

誤飲を防ぐ

消毒液のボトルは、猫の手が届かない、開けられない収納にしまうことを徹底しましょう。もし液体が床にこぼれた場合は、すぐに猫を別の部屋に隔離し、残らないようにきれいに拭き取りましょう。

吸引を防ぐ

スプレー式の消毒液を使うときは、必ず猫をその場から遠ざけ、窓を開けて換気をしっかり行いましょう。猫の寝床やトイレなど、猫が長く過ごす場所の近くで消毒液を使うのは避けてください。

猫が消毒液を口にしてしまったら

聴診器を当てられる猫

もし猫が消毒液を舐めたり、大量に吸い込んだりした可能性がある場合は、吐かせるなどの自己判断での処置はせず、少量であってもすぐに動物病院に連絡し「何を、どのくらい、いつ舐めたか」を伝えて指示を仰ぎましょう。

まとめ

液体の入ったボトルを触る猫

猫の体は消毒液の化学物質を分解できません。誤飲や舐め取り、蒸気の吸引といった事故が起こらないように管理や使用方法を徹底することが大切です。万が一の際はすぐに動物病院へ連絡しましょう。

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