猫が夜間に起こしがちな『救急症状』4つ 落ち着いて対応するために備えておきたいこと

猫が夜間に起こしがちな『救急症状』4つ 落ち着いて対応するために備えておきたいこと

猫は夜間にも活発に行動する動物であり、夜間に体調の変化や事故が起こることも少なくありません。特に誤飲やけいれん、呼吸の異常など、緊急対応が必要な事態が起きれば飼い主さんも慌ててしまうでしょう。この記事では、夜間に見られる猫の救急症状と落ち着いて対応するための備えについて解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

夜間にありがちな猫の救急症状4つ

毛布に包まっている猫

猫が体調を崩すのは昼ばかりではありません。夜間に急変したり、ケガをしたりすることもあります。ここでは、夜間に起きがちで、よくある緊急症状を4つ紹介します。いざというときのために覚えておきましょう。

1.嘔吐・下痢

猫の病気でよくあるのが嘔吐・下痢です。夜間に突然、嘔吐や下痢をした場合は要注意です。食べ過ぎや消化不良のこともありますが、急性中毒や感染症、内臓疾患が原因の場合もあります。

基礎疾患のない成猫で元気があれば、様子を見て翌日受診でも大丈夫な場合もありますが、以下のような場合は救急対応が必要です。

  • 短時間に何度も嘔吐する
  • 血便、激しい水様便が出ている
  • お腹が張っている
  • ぐったりしている

特に子猫や老猫は、短時間のうちに体調が悪化する可能性があるため注意が必要です。また、誤飲・誤食による中毒の場合は、時間勝負となるケースも少なくありません。

2.けいれん・意識障害

けいれんや意識障害は、てんかん、低血糖、脳の疾患、中毒などさまざまな原因があります。場合によっては命にかかわることもあるため、迅速な対応が必要なケースも少なくありません。

例えば、けいれんが長時間続いたり、短時間に何度もくり返し発作が起きたりするときは、深夜であっても早急に受診する必要があります。また、原因不明の発作の場合も早急に動物病院を受診しましょう。

なお、けいれんを起こした場合は、周囲の安全を確保し、動画を撮影することをおすすめします。動画があると受診時の説明や診断に役立つ可能性があります。

3.ケガ・出血

猫は深夜に突然走り出すことがあります。いわゆる「夜の大運動会」です。その結果、家具にぶつかる、高所から転落する、無理な体勢をして体を痛めるといったことが起こりえます。また、同居の猫とケンカしてケガをすることもあるでしょう。

猫は痛みを隠します。一見問題なさそうに思えても、ケガや出血をしている場合もあるため油断はできません。

出血量が多い、傷が深い、うずくまって動かないといった場合は、緊急度が高い状況です。

4.呼吸の異常

猫の呼吸の異常は、命にかかわる危険な状況であると考えましょう。特に、以下のような呼吸は危険です。

  • 呼吸が速い
  • 呼吸のたびに胸またはお腹が大きく上下する
  • 口を開けて呼吸している(開口呼吸)
  • 鼻のまわりを膨らませて呼吸をしている(鼻翼呼吸)

このような呼吸は、呼吸器や心臓が関連する異常、熱中症などが懸念される症状です。呼吸困難は短時間で状態が悪化することがあるため、迅速な対応が求められます。夜間であっても早急に動物病院を受診しましょう。

いざというときのために備えておきたいこと

窓辺で眠る猫

猫が体調を崩すのは日中だけとは限りません。深夜の急な体調不良やケガに備えておく必要があります。かかりつけの病院の夜間救急の対応を確認しておきましょう。夜間の対応をしていない場合は、夜間診療をおこなっている動物病院を確認しておきます。受診方法、行き方、支払い方法も事前に確認しておくと安心です。

地域によっては夜間救急診療を行う病院が遠方にしかない場合もあります。いざという時のために、有意義な情報を入手しておきましょう。

また、体調の異変に気づいたら、症状や経過などをメモにまとめ、必要に応じて写真や動画を撮影します。症状を適切に伝えられ、スムーズな診断につながります。

さらに、日頃から猫の健康状態を把握しておくことも大切です。食欲、排泄、呼吸などを記録しておくと良いでしょう。

まとめ

診察を待つ猫と飼い主

猫の体調不良は時間を選びません。突然のけいれん、ケガ、呼吸異常などは、いずれも早急な対応が必要な症状です。翌朝まで待っていては命にかかわる危険なケースもあります。

いざというときにも慌てずに適切な対応ができるように、事前に夜間対応可能な病院の情報を確認し、緊急時に的確に行動できるよう準備しておくことが大切です。

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