バルセロナで有名な「太っちょ猫」像

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スペインの人気都市バルセロナには、有名な猫がいます。
観光スポットにもなっている「Fattest Cat」(別名Gato)像です。このブロンズ製の猫は巨大で太った体をもち、若々しい顔立ちと長い尻尾が印象的です。その重さは2トンを超え、体長は7メートル、高さは2.5メートルにも及びます。
Fernando Boteroが制作したもので、「猫アートの傑作」といわれるほどみごとな作品です。
この像が設置されているのはRambla del Raval通りですが、それ以前はde la Ciutadella公園やオリンピックスタジアムなどで展示されていて、1987年になってバルセロナへと運ばれました。以来この都市のランドマークになっています。
ボリューム感のある作品を次々と制作

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実はバルセロナにいる「太っちょ」像は、猫だけではありません。El Prat空港には「太った馬の像」もあります。まるで球根のような体と脚をもっているので、ずいぶん威圧的な印象を人々に与えています。
Fernando Boteroは1932年にコロンビアに生まれました。少年時代は闘牛士の訓練を受けたのですが、その後芸術の道へと進みました。1948年に初個展を開き、1950年代にスペインのマドリードに移って、San Fernando美術アカデミーで学びました。その後米国に渡ってニューヨークに暮らしました。1973年にはパリへ移り、Gato像に見られるような「太っちょ」の彫刻作品の制作を始めたのです。その誇張されたボリューム感は、Boteroの作品をユニークで印象的なものにしています。
猫のもたらす「安らぎ」を表現

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太陽の光を浴びて丸まっている猫は、人間たちを落ち着いた気分にさせてくれます。Boteroの作品に登場する猫も、そんな安らぎを象徴しています。まるで時間を持て余しているかのようにゆったりとくつろいでいる様子は、「あくせくしないで。リラックスして人生を楽しもうよ」とわたしたちに提案しているかのようです。
猫は人間のありのままの姿を観察して判断し、ときには秘密を共有するような態度を見せます。同時に猫は、その温かさとユーモアでわたしたちを笑顔にしてくれます。Boteroはまさにこうした猫の特性をとらえて、見事に作品に表現しているのです。
残念なことに、Botero は2023年9月15日にモナコで肺炎の合併症により91歳で亡くなりました。でもGato像に代表される彼の作品は、これからも人々に安らぎと感動を与え続けてくれることでしょう。
出典:
・Barcelona’s Fattest Cat Sculpture Is An Art Attraction For Fans Of Felines
・Exploring Fernando Botero's Artistic Representation of Cats: Themes, Styles, and Significance