猫の命を奪いかねない『危険なハーブ』5選 嗅ぐだけで体調を崩してしまうものも

猫の命を奪いかねない『危険なハーブ』5選 嗅ぐだけで体調を崩してしまうものも

ハーブと聞くと「癒し」「自然」「健康」といったイメージを抱く方が多いかもしれません。しかし、猫にとって一部のハーブは、命にかかわるほど危険な存在になり得ます。香りを嗅いだだけでも体調を崩すケースもあるため、知らずに身近で使っていると大きなリスクになってしまうことも。今回は、猫にとって特に注意が必要なハーブ5種類と、その理由、日常で気をつけたいポイントについて解説します。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫にとって危険なハーブ5選

ラベンダー

猫が近づくと中毒を起こす可能性がある、代表的なハーブを紹介します。誤飲だけでなく、香りを吸い込むだけでも危険なものもあるため、飼い主の意識がとても重要です。

1.ラベンダー

ラベンダーに含まれる「リナロール」や「酢酸リナリル」といった成分は、猫にとって有害です。

香りを嗅いだだけでも、嘔吐やめまい、食欲不振などが報告されており、誤食など重症な場合は肝障害に至るケースも報告されています。アロマやドライフラワーとしても人気がありますが、猫がいる空間では使用を控えましょう。

2.ユーカリ

ユーカリには「ピネン」や「シネオール」などの強い精油成分が含まれています。猫が摂取すると、下痢や嘔吐、沈鬱、神経症状が現れ、重症化すれば命に関わる恐れもあります。

芳香剤やオイルによく使われるため、日常の中で気づかぬうちに猫が触れてしまうことも。

3.カモミール

人間にはリラックス効果があるとされるカモミールですが、猫にとっては有害な植物です。

「ビサボロール」などの成分により、皮膚炎・嘔吐・下痢・食欲不振などの症状が出る可能性があります。ティーバッグなどの残り香にも注意が必要です。

4.オレガノ

香辛料として人気のオレガノは、「カルバクロール」や「チモール」といった成分を含みます。

これらは猫の肝臓に負担をかけ、大量に摂取すると肝機能障害を起こすことがあります。キッチンに常備している方は、誤って猫が口にしないよう管理を徹底しましょう。

5.ローズマリー

ローズマリーは少量であれば毒性は低いとされていますが、香り成分である「カンファー」を多く含むローズマリーは、猫にとって毒性がある可能性があります。摂取すると下痢や嘔吐、ふらつき、筋肉の震え、肝障害などの症状が現れることがあります。

香りが強く、料理やスキンケア用品にも使われることがあるため、使用前に成分を確認しましょう。

なぜ猫は一部のハーブに弱いのか?

猫のお腹

猫は体内で有害な成分を分解する能力が、人間や犬と比べて極端に低い動物です。とくに「グルクロン酸転移酵素」と呼ばれる代謝酵素をほとんど持っていないため、ハーブに含まれる精油成分・苦味・香り成分が体内に蓄積しやすく、中毒や臓器障害を引き起こしやすくなります。

さらに、ハーブの香りは空気中に広がりやすく、猫が舐めたり食べたりしなくても、香りを吸い込むだけで体調を崩す場合もあります。アロマオイルや芳香剤など、直接与えなくても影響が出る可能性があるため要注意です。

猫のいる家庭で気をつけたいポイント

アロマオイル

猫の健康を守るためには、「植物そのもの」だけでなく、ハーブを使った製品や香りにも注意が必要です。

精油・アロマオイルの使用は避ける

ディフューザーやアロマキャンドル、オイルマッサージなどは、猫が暮らす空間では使わないのが安心です。

ハーブの鉢植えは手の届かない場所や入らない部屋に

猫が遊んだりかじったりしないよう、室内で育てる場合はしっかり管理しましょう。

ハーブティーの出し殻やティーバッグにも注意

使用済みのティーバッグを放置すると、猫が匂いにつられて誤飲する恐れがあります。必ずすぐに処分を。

スキンケア用品や香水もチェック

ハーブ由来成分を含むハンドクリームやボディローションを使った手で猫に触れると、皮膚や体調に悪影響が出る場合があります。

まとめ

ニオイを嗅ぐ猫

人間にとって癒しの香りも、猫にとっては「毒」になってしまうことがあります。特に、ラベンダーやユーカリのような精油を含むハーブは、嗅いだだけで中毒症状を引き起こすこともあるため、猫と暮らす環境では使用を控えることが基本です。

猫の健康と安全を守るためには、日常生活の中で使っているものや置いてあるものを、もう一度見直すことが大切です。「大丈夫だろう」と思い込まず、ほんの少しの配慮と知識で、猫が安心して暮らせる環境を整えていきましょう。

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