猫の『おしりが臭う』ときに考えられる原因

1.肛門腺に分泌物がたまっている
もっとも多いのが「肛門腺(こうもんせん)」に分泌物がたまっているケースです。
肛門腺は、おしりの左右にある小さな袋のような器官で、マーキングや威嚇のときに使う強いニオイの液体を分泌します。
猫の場合、通常はうんちをするときに自然に排出されますが、詰まってしまうと悪臭のもとになることがあるのです。
放っておくと炎症や破裂を起こすこともあり、猫がおしりを床にこすりつけたり、しきりに舐めたりします。
対処としては、動物病院での「肛門腺しぼり」が有効です。
自宅で行う人もいますが、初心者には難しいため、最初は必ず獣医師に任せましょう。詰まりやすい子は月1回ほどのケアが目安です。
2.下痢や軟便による汚れの付着
お腹の調子が悪く、下痢や軟便が続いていると、おしりのまわりに便がこびりついてニオイの原因になります。
とくに長毛種や高齢猫は毛に便が絡みやすく、乾いてから気づくことも多いです。見た目は少しの汚れでも、時間がたつほどに強いニオイを放ちます。
まずは、ぬるま湯でやさしく汚れを落とし、清潔を保つことが第一歩です。そのうえで、下痢が続く場合は食事内容を見直したり、消化不良や腸炎などの病気を疑ったりする必要があります。
ウェットフードばかり与えている場合は、ドライフードとのバランスを調整してみましょう。
3.肛門や腸の病気の可能性
肛門周辺の炎症や腫瘍、寄生虫感染などが原因で臭うこともあります。
出血をともなう場合や、猫が痛がって触らせないときは注意が必要で、病気によるニオイは、どんなに洗ってもすぐに戻るのが特徴です。
たとえば、肛門嚢炎(こうもんのうえん)は肛門腺が細菌感染を起こした状態で、悪臭と腫れが強く出ます。放置すると膿がたまり、破裂してしまうこともあるため注意が必要です。
早めの受診で痛みも軽く済むので、「いつもと違うニオイ」を感じたときは迷わず動物病院を受診しましょう。
また、寄生虫(回虫や条虫など)がいると、排泄物に虫が混ざることがあり、強い生臭さを感じることもあります。駆虫薬で治せるため、動物病院での検査を受けるのが安心です。
臭いを防ぐためのケアと生活習慣

おしりのニオイを防ぐには、清潔な環境づくりと体調管理が欠かせません。トイレの砂を毎日こまめに掃除し、湿気を避けることも効果的です。毛が長い猫はおしりまわりを短くカットしておくと汚れがつきにくくなります。
また、食事のバランスも大切です。脂肪分が多すぎると下痢を起こしやすくなるため、良質なたんぱく質を中心に、消化にやさしいフードを選びましょう。健康な腸内環境を保つことで、結果的にニオイ対策にもつながります。
愛猫の様子を観察しながら「いつもと違う?」と感じたら、小さな変化でも早めに対応することが大事です。
まとめ

猫のおしりのニオイは、ちょっとした汚れから体の不調まで、さまざまなサインを教えてくれます。
「なんか臭うな」と感じたら、愛猫が出しているSOSかもしれません。肛門腺のケアやおしりまわりを清潔に保つこと、そして食事や腸内環境の見直しなど、日々の小さな工夫でニオイは大きく減らせます。
猫は言葉で伝えられない分、飼い主の気づきがとても大切です。おしりのトラブルも健康チェックのひとつとして清潔で快適に過ごせるようサポートしてあげたいですね。