『クリッカー』ってなに?どんなトレーニングなの?

クリッカーとは、ボタンを押すと「カチッ」と音がするトレーニング用のアイテムのこと。
猫や犬はもちろん、動物園や水族館の生き物にも使われることがあります。
クリッカーの音を合図に、猫に「今の行動が当たりだよ」と伝え、すぐにご褒美(おやつ)を与えることで「この行動をすると、よいことが起きる」と学んでもらいます。
最初から完璧にやってもらう必要はありません。
例えばハイタッチを教える場合は、いきなり手を上げさせようとせず、まず「カチッと鳴る=おやつがもらえる」と結びつけるところから始めましょう。
次に、指に肉球が触れたらクリッカー&おやつ、手の甲に触れたらクリッカー&おやつというように、段階的に進めます。
最終的に差し出した手のひらにタッチできたら、トレーニング成功です。
クリッカーを使う4つのメリット

1.信頼関係が深まる
クリッカーを使えば「おやつがもらえる」といううれしい体験を通じて、猫に正しい行動を自然と覚えてもらえます。
遊び感覚で取り組めるためストレスになりにくく、叱る必要もありません。
飼い主さんとの時間が「楽しい記憶」として積み重なり、自然と信頼関係が深まっていくでしょう。
猫にとっても「できた!」という達成感があり、まさに一石二鳥のトレーニング方法です。
2.問題行動の抑制が期待できる
クリッカーを使ったトレーニングは、猫が正しい行動を学ぶきっかけを与えてくれます。
「〇〇をすればよいことが起きる」という仕組みを応用し、例えば正しい場所で爪とぎができたらクリッカーを使うようにすれば、家具などに傷をつける問題行動を減らせるかもしれません。
さらに、クリッカーの音は常に一定なので、トレーニングを行う人が変わっても混乱することなく学びを継続できるのもポイントです。
3.頭と体の体操になる
完全室内飼いの猫やシニア猫に起こりがちな、運動不足。
そこにこのトレーニングを取り入れることで、自然と手足を動かすことになります。
「何をすれば、おやつをもらえるのだろう?」と飼い主さんの求める意図を考える必要も出てくるので、自然と頭もフル回転に。
「クリッカーが鳴ったらおやつがもらえる」という期待があってこそ成立するトレーニングなので、報酬となるおやつは必ずセットで行いましょう。
4.苦手なケアがやりやすくなる
クリッカーを応用して、お手やハイタッチができると、トレーニング以外にもよい変化が現れます。
それは、猫が手を触られるのに抵抗を感じにくくなることです。
多くの猫が苦手とされる爪切りも、慣れやすくなるでしょう。
ただし「クリッカーが鳴ったら爪切りをされる」と誤って覚えてしまう可能性があるため、苦手なケアの直前に使用するのは避けてください。
クリッカーを使いこなすためのコツ

クリッカーの鳴らすタイミングを誤ると、猫に悪い印象を与えたり「やっても意味がない」と学習したりする可能性があります。
正しい行動をした瞬間に音を鳴らすのがポイントです。
また、他の猫と一緒にトレーニングすることも避けましょう。
1対1でやらないと「他の猫が行動しても、ご褒美がもらえる」と勘違いしてしまうからです。
トレーニングは1回5分程度が目安で、長時間の練習は逆効果です。
猫のショーでも、芸の練習は短時間で区切って行っているのだとか。
トレーニング終了後は、クリッカーを猫に見えない場所に片づけることも忘れずに。
関係ないタイミングで音が鳴ると、せっかくの学習がリセットされてしまうことがあります。
まとめ

猫も飼い主さんも、ゲーム感覚で楽しくトレーニングできるクリッカー。
正しいコツをつかむことで、問題行動の改善や苦手なケアの習慣化にも役立ちます。
500円程度で手に入る製品もありますので、気軽に始められるのも魅力です。
ぜひ今までとは少し違う、猫との新しいコミュニケーションを体験してみてはいかがでしょうか。