猫が急死してしまう「心筋症」とは?

猫の病気の中でも、もっとも突然死を引き起こす可能性が高いのが「心筋症(しんきんしょう)」です。見た目は元気そうに見えても、ある日急に倒れてしまうことがあります。
心筋症とは、心臓の筋肉に異常が起こり、血液を全身に送るポンプ機能がうまく働かなくなる病気のことです。
猫はもともと心臓の異変を隠す傾向があるため、飼い主が気づいたときには進行しているケースも少なくありません。
早期発見のためには、病気のタイプやサインを正しく知ることが大切です。
猫の心筋症の3つのタイプ

猫の心筋症には主に「肥大型」「拡張型」「拘束型」の3つがあります。
もっとも多いのは「肥大型心筋症」で、心臓の筋肉が厚くなり、血液の通り道が狭くなるタイプです。
たとえるなら、ホースの中がぎゅっと圧迫されて水が流れにくくなるような状態です。これにより血流が悪くなり、心臓や肺に負担がかかります。
次に「拡張型心筋症」は、心臓の壁が薄くなって広がりすぎるタイプです。筋肉が弱まり、血液を押し出す力がなくなります。まるで古くなったゴムボールがしぼんで弾力を失ったようなイメージです。
「拘束型心筋症」は比較的まれで、心筋が硬くなって動かなくなります。心臓がしなやかに動けず、血液が滞りやすくなるのです。
どの心筋症のタイプも放置すれば命に関わるため、定期的な健康チェックが不可欠です。愛猫に大きな変化がなくても、少しでも不安を感じたら獣医師に相談するようにしましょう。
見逃してはいけないサイン

心筋症の怖いところは、初期症状がほとんど目立たない点です。以下のようなサインが見られる時は、心筋症が進行している可能性がありますので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
まず、「呼吸の異変」で分かることがあります。寝ているのに息が速い、胸やお腹が大きく動くようなら要注意です。呼吸が苦しいことで、猫がうずくまるような姿勢をとることもあります。
次に「後ろ足が動かない」などの麻痺症状です。これは血栓(けっせん)が足の血管をふさいでしまう「動脈血栓塞栓症(どうみゃくけっせんそくせんしょう)」が起こったサインの可能性があります。
猫が急に悲鳴をあげて倒れたり、片足を引きずったりする場合は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
さらに「食欲がない」「元気がない」「歯ぐきが白っぽい」などの小さな変化も、心臓の働きが弱っているサインかもしれません。
猫は我慢強い動物なので、体がつらくても表にあらわさないことが多いです。「なんとなく様子が違う」と感じた時点で受診しましょう。
まとめ

心筋症は完全に治すことが難しい病気ですが、早く見つけて適切な治療を行えば、穏やかな日々を取り戻せることもあります。
定期的な健康診断で心音や血液検査、心エコー検査を受けておくと、異常を早期に見つけやすくなります。
とくにメインクーンやラグドールなどの大型猫種は遺伝的にリスクが高いため、若いうちからの検査がおすすめです。
また、肥満やストレスは心臓への負担を増やしますので、遊びで運動量を保ち、落ち着ける環境を整えることも予防の一歩です。どんなときも、「気づいてあげること」を大切にして愛猫の健康を守っていきたいですね。