猫の『鼻が乾燥している』ときの原因3つ 常に湿っている理由から病院に行くべきケースまで

猫の『鼻が乾燥している』ときの原因3つ 常に湿っている理由から病院に行くべきケースまで

ふと愛猫の鼻を触ったとき、「あれ? なんだか乾いてる…」と感じたことはありませんか?普段はしっとりしている猫の鼻がカサカサしていると、つい不安になりますよね。猫の鼻の乾燥には「環境によるもの」と「体調が関係するもの」の2つがあるんです。どちらかを見分けるには、ちょっとした観察力がポイントになります。この記事では、猫の鼻が乾く3つの主な原因と、受診したほうが良いサインをご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫の鼻はなぜいつも「しっとり」しているの?

猫の鼻

猫の鼻が少し濡れているのは、健康のバロメーターのひとつです。

鼻の表面には「鼻鏡(びきょう)」と呼ばれる部分があり、ここにはごく薄い涙や粘液が分泌されています。これは、匂いをより正確に感じ取るための仕組みです。

人が湿った布のほうが匂いを強く感じるのと同じように、猫も湿った鼻のほうが空気中の匂いをキャッチしやすいのです。食事や外敵の匂いを察知するのにとても大切な役割を果たしています。

そのため、いつもより鼻がカサカサしているときは、猫の体調や環境に変化が起きているサインかもしれません。

猫の『鼻が乾燥している』ときの原因

ベッドで寝ている猫 目線

1.室内の湿度が低い

最もよくある原因が「空気の乾燥」です。とくに冬の暖房シーズンや夏の冷房中は、室内の湿度が下がりやすくなります。

猫は人よりも皮膚が薄く、鼻の水分も失われやすいです。加湿器をつけずにエアコンをつけっぱなしにしている部屋にいると、私たちの喉や唇が乾くのと同じような状態になります。

この場合は、部屋に加湿器を置いたり、水飲み場を増やしたりすることで改善されることが多いです。濡れタオルを吊るすだけでも、湿度の維持に役立ちます。

冬の乾燥した日は40〜60%ほどの湿度を保つよう意識してみましょう。

2.脱水や発熱による体調不良

猫の鼻の乾燥が長く続く場合、脱水や発熱などの体調不良が隠れていることがあります。

猫が十分に水を飲めていないと、体全体の水分バランスが崩れ、鼻の湿り気も失われてしまうのです。シニア猫や腎臓に疾患がある猫は、知らないうちに脱水を起こしやすい傾向があります。

さらに、発熱があるときも鼻が乾くことがあります。これは、体が熱を放出しようとする際に水分が奪われてしまうからです。

「いつもより元気がない」「食欲が落ちている」「鼻が熱い気がする」などの様子があれば、早めに動物病院で診てもらいましょう。単なる乾燥ではなく、感染症や内臓トラブルのサインであることもあります。

3.日焼けや刺激物による炎症

意外に見落とされがちなのが、日光や刺激物による炎症です。

窓辺で長時間日向ぼっこをしている猫は、紫外線で鼻の皮膚が乾燥・ひび割れすることがあります。とくに白い被毛の猫や鼻の色が薄い猫は、日焼けに弱い傾向があります。

また、掃除スプレーや芳香剤などの化学的な香りも、猫の鼻には刺激が強すぎる場合があります。

人には心地よい香りでも、猫にとっては「刺激臭」として感じられ、鼻の粘膜を痛めてしまうことも少なくありません。

安全のため、猫のいる空間では無香料タイプや自然素材のものを選び、窓を開けて換気をしてあげると安心です。

まとめ

猫の顔 アップ

猫の鼻は、いつもほんのり湿っているのが健康な状態です。乾いているからといってすぐに病気とは限りませんが、長く続いたり、元気や食欲の低下を伴う場合は注意が必要です。

短時間の乾燥なら環境の影響であることが多いので、湿度や水分補給を見直すだけで改善することもあります。

ただし、「鼻がひび割れている」「呼吸が荒い」「目や口の周りも乾いている」などの異変が見られるときは、体内で何らかの不調が起きているサインです。早めに受診することで、重症化を防げる可能性が高まります。

日々のスキンシップや観察を通して、愛猫の「いつもの鼻」の状態を知っておくことが、健康を守るいちばんのポイントになるでしょう。

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