︎1.胃腸炎

猫が大量によだれを出している場合、胃腸炎による吐き気が原因の事があります。
大量のよだれの原因が胃腸炎の場合には、すでにかなり強い吐き気がある状態が考えられ、食欲不振や嘔吐、下痢なども併発していることが多いです。
しかし、このような消化器症状は猫がかかりやすい他の多くの病気でも見られることがあります。
例としては、猫に多い腎臓病による、尿毒症などです。
このように他の病気が隠れている場合、単なる胃腸炎だと様子を見ることは大変危険です。
大量のよだれが出ている場合には、動物病院を受診し、検査を受けるようにしましょう。
︎2.中毒

猫が食べたら危険な食品や植物、薬などを誤食した場合、誤食物自体の刺激性や中毒症状として、大量のよだれが出ることがあります。
中毒により大量のよだれが出ている場合は、既に毒素が全身に回っておりかなり危険な状態と考えられます。
明らかに誤食したと気づいている場合には、誤食した実物と吐物を持ち、すぐに動物病院を受診しましょう。
自宅で様子を見たり、水を強制的に飲ませたり、無理やり吐かせたりするのは危険ですので絶対にしないようにしましょう。
中毒は治療が遅れると命に関わることもあります。実際に誤食した場面を見ていなくても、大量によだれが出ていて、誤食の可能性が少しでもある場合には、なるべく速く動物病院を受診することが大切です。
︎3.発作

なんらかの原因でてんかん発作が起きた場合、猫は大量のよだれを出すことがあります。
また、全身性の発作以外にも、よだれだけが出てしまう神経症状や、よだれがしばらく出た後に全身性の発作に移行するパターンもあります。
てんかん発作中に大量のよだれが出てくると、つい拭いてあげたくなってしまいますが、猫の場合、発作中は無意識で筋肉が強くこわばっているため、思わぬ強さで噛まれる危険があります。
てんかん発作中に大量のよだれが出てくると、つい拭いてあげたくなってしまいますが、猫の場合、発作中は無意識で筋肉が強くこわばっているため、思わぬ強さで噛まれる危険があります。
発作中によだれが出てきても、口に指やタオルを入れたり、よだれを拭こうと口元に手を出したり、しないようにしましょう。
代わりに、猫の周りから危ない物をどける、できれば柔らかいタオルなどを下に敷く、触らずに静かに見守る(記録をとる)、動画を撮れると、獣医師が診断の参考にできます。
ただし、発作が止まらない場合や止まってもすぐに再発する場合は、重積発作・群発発作と呼ばれ危険な状態です。上記の対応が済んだらすぐに、目を離さないようにしつつ、いつでも動物病院に連れて行けるよう準備を始めましょう。
よだれは発作が落ち着いたあとに、そっと拭いてあげると良いですが、まだ意識がぼんやりしている時も噛むことがあるので、慎重に行いましょう。
︎4.血栓塞栓症

猫に多い肥大型心筋症により、うまく運べなくなった血液が心臓の中で血栓を作ってしまう事があり、これが猫の後肢の付け根部分の細い血管に詰まると、猫は突然激しい痛みと共に片方または両後肢の麻痺から立てなくなり、これを動脈血栓塞栓症と言います。
動脈血栓塞栓症では、まず突然の激しい痛みから猫がパニックになり家具等を倒しながら走り回ったり、大きな声で鳴き叫ぶ症状が見られます。
そして、塞栓直後は足を触ると非常に痛がり、麻痺が起きた足は血流が遮断されるため肉球が紫色になります。次第に動けなくなり、呼吸が速くなったり、大量のよだれが出たりする症状が見られます。
動脈血栓塞栓症は、激しい痛みと後肢麻痺の後に突然死する事もあるとても危険な状態です。
この様な症状が見られた場合には、様子を見ずに緊急で動物病院へ行きましょう。
︎5.尿路閉塞

尿路閉塞は、尿管や尿道に結石などの閉塞物が詰まることが原因で起こります。
中でも尿管結石は、腎臓と膀胱をつなぐ尿管に結石ができた状態です。
猫の尿管の直径は1〜2mmのもともと非常に細い管で、ここに小さな結石が詰まってしまうと、劇的に症状が出ます。
尿管に結石が詰まると尿路が閉塞し、腎臓に尿がうっ滞してしまいます。
片側性に発症した場合は臨床症状が出ないことがあり、健康診断で偶然見つかることもあります。
しかし両側性に尿管結石が発生し、さらに尿管を完全に閉塞した場合、また、膀胱から排尿するための尿路である尿道が完全に閉塞した場合は、いわゆる尿路閉塞の状況になるため急激に体調が悪化します。
元気・食欲の低下から吐き気、虚脱、昏睡、けいれんへと進行し、何もしなければ最終的に死に至ります。
強い痛みや吐き気、尿が出せずに体の中に毒素が溜まることによる尿毒症から、大量のよだれが出ることがあります。
猫の尿が丸一日ででてない場合には、すぐに動物病院に連れて行き、尿路閉塞を解除する治療を受けましょう。
︎6.肝リピドーシス

肝リピドーシスは猫が食欲不振になった後に、急激に肝臓内に脂肪が蓄積することによって、肝臓の機能が悪くなる病気です。
症状としては食欲不振のほか、黄疸、嘔吐などが多く、重症の場合には死亡することもあります。
強い吐き気を伴うこともあり、その際には大量のよだれが出ることがあります。
治療は栄養を体内に入れてあげることと、肝リピドーシスを起こす原因を解決することです。まずは食道や胃にチューブを設置して少しずつ食事量を増やす治療を行います。
合併症なく初期の治療を乗り越えることができれば完治が可能ですが、治療は数ヶ月に及ぶこともあり、自宅での栄養補給による介護も重要となります。
肝リピドーシスは特に肥満傾向の高齢猫に多いとされており、猫が丸一日以上ご飯を食べない場合には、原因が何であれ、肝リピドーシスを併発してしまうかもしれないので、すぐに動物病院を受診しましょう。
︎まとめ

猫が大量のよだれを出している時、原因は何であれ迅速な治療が必要な状態が多いです。
上記以外にも、口内炎や歯周病などでよだれが出ることもありますが、猫は絶食に弱い体質のため、いずれにせよ早期の治療が必須です。
他に症状がなかったとしても、滴り落ちるような大量のよだれが出ている場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。