猫の体に『ハゲ』ができるときの原因3つ 病気の可能性から対処法まで解説

猫の体に『ハゲ』ができるときの原因3つ 病気の可能性から対処法まで解説

ふと気づくと、愛猫の毛が一部だけ薄くなっている!そんな経験はありませんか?その原因は、グルーミングのしすぎから皮膚病までさまざまです。今回は、抜け毛や脱毛の主な原因とその対処法について解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

原因1.ストレスからくる過剰なグルーミング

毛づくろいをする猫

猫は、環境の変化などで不安を感じると、自分の体をペロペロとなめることがあります。

グルーミングとも呼ばれるこの行為によって、セロトニン(幸福ホルモン)が出たり、母猫になめられたときのような安心感を得られたりできるといわれています。

そのため強いストレスにさらされると、グルーミングを過剰に繰り返すようになります。

猫の舌はザラザラとした突起におおわれているため、同じ場所をなめ続けることで毛が短くなったり、抜けたりしてしまいます。こうした症状を「心因性脱毛」や「自傷性脱毛」などといいます。

抗不安薬の服用などが必要な場合もあるので、動物病院を受診しましょう。

一方で、根本的に症状を解消させるためにはストレスの原因を取り除くことが大切です。遊びの時間を増やす、安心できる環境を確保するといった対策を取りましょう。

原因2.皮膚炎・アレルギー

耳をかく猫

脱毛の原因として多いのが、皮膚炎やアレルギーです。

ノミやダニの寄生による「外部寄生虫性皮膚炎」、食べ物や花粉、ハウスダストに反応する「アレルギー性皮膚炎」、皮膚に真菌(カビ)が感染することで発症する「皮膚糸状菌症」などが代表的です。

ノミが寄生すると強いかゆみから体をしきりにかいたり、舐めたりしてしまい脱毛することがあります。

食物性アレルギーでは、特に顔や首にかゆみが出ることが多く、脱毛や発疹などの症状があらわれます。

皮膚に真菌が感染すると、フケとともに円形の脱毛がみられることがあります。

このような症状が出た際には、動物病院に連れて行きましょう。

原因を特定する検査をしたうえで、寄生虫の駆除や予防薬の投与、抗アレルギー薬や抗真菌薬の投与を行います。並行して、家を清潔に保つ、アレルゲンを取り除くといった飼い主の対策も必要となります。

原因3.物理的刺激や外傷

ケンカする猫

首輪がきつかったり、重かったりすると摩擦が常に生じて、毛が抜けてしまうことがあります。首輪があっていないと、猫がストレスを感じて首周りをかきむしって脱毛することも。

こうしたトラブルによる脱毛は通称「首輪ハゲ」と呼ばれています。

また、猫同士のじゃれあいやケンカで、毛を引っ張られたり、噛みつかれて皮膚が傷ついたりして毛が抜けるケースも少なくありません。さらに、できた傷から細菌感染して炎症が起き、脱毛してしまうこともあります。

首周りが脱毛した際には、首輪がきつすぎないか、素材が合っているかなどを確認しましょう。

傷口がある場合は消毒を行い、細菌感染が起きていれば抗生剤による治療を行います。

ケンカによる受傷を避けるために、室内飼いをする、相性が悪い猫と部屋を分けるなどの対策も大切です。

まとめ

ブラッシングされる猫

猫の体に脱毛を見つけたら、まずは「なぜ毛が抜けたのか」を探ることが重要です。

見た目は小さなハゲでも、その背景にはストレスや皮膚病など、さまざまなトラブルが隠れています。

「少しハゲているだけ」「そのうち生えてくるだろう」と軽視すると、悪化してしまうこともありますので、放置は御法度です。

動物病院での検査や治療に加えて、清潔で快適な生活環境を整えることで少しずつ改善できます。

早めの受診と日々の健康観察で、愛猫の健康と美しい被毛を守りましょう。

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