猫にパンを与えてはいけない3つの理由

猫にパンを与えてはいけないという根拠はいずれも、猫の健康面でのリスクが大きいためです。
次の3つが主な理由となります。
1.中毒になる可能性
総菜パンや菓子パンには、猫にとって有毒な食材が含まれていることがあります。特に注意が必要なのは、玉ねぎやニンニクを使った総菜パンとレーズンやチョコレートを使用しているパンです。
ネギ類の成分は猫の赤血球を破壊し、溶血性の貧血を引き起こします。症状として嘔吐や下痢、赤褐色の尿などが見られ、重症の場合は命に関わります。このネギ成分は加熱してもなくならないため、ベーコンオニオンなどおいしい香りのするパンは特に注意です。
また、チョコレートやレーズンも神経系に影響し、嘔吐や痙攣の症状が見られたり、腎臓のトラブルを引き起こす可能性が高いです。大粒レーズン10gは約15粒に相当するため、猫が口にしないよう十分注意してください。
2.消化不良を起こしやすい
完全な肉食動物である猫は、小麦粉をはじめとする穀物を消化することが得意ではありません。そのため、キャットフードでも穀類を減らしたものや、穀類不使用のグレインフリーが良いとされているのです。
特にパンには、バターや油分を多く含んでいるため、胃での滞留時間を長引かせ、吐き戻しや軟便を起こしやすい傾向があります。また、乳製品(牛乳、クリームなど)がたっぷりと含まれているパンは、乳糖を分解できず、下痢を誘発することがあります。
生クリームが外側に付いているケーキ風のパンは、香りも良いことから、猫がかじりついてしまうかもしれません。猫がいる場に置きっぱなしにしないように注意しましょう。
3.内臓病になるリスクがある
猫が炭水化物の消化が苦手なことと、糖質の摂取による糖尿病のリスクは、それぞれ異なるメカニズムで起こります。分解酵素は少なくても、完全に吸収できないわけではなく、ある程度は腸で分解・吸収できます。
問題は、猫の体が「動物性たんぱく質や脂質からエネルギーを得る設計」になっていることです。炭水化物を多く摂ると急激に血糖値が上がり、インスリン分泌が追いつかなくなることで糖尿病のリスクが高まってしまう可能性があります。
さらに、パンにはかなり多くの塩分が含まれていて、体に負担をかけてしまう危険性があります。心臓や腎臓などの持病のある子にとって、状態が悪化する場合もあるため、与えることはおすすめできません。
猫がパンを誤食してしまったときの対処法

しっかり保管していても、猫がどこからともなく盗み出して誤食してしまうことがあるかもしれません。誤食してしまったときの対処法を紹介します。
食べたら危険なもの
食パンや中身の入っていないバターロールなどシンプルなパンの場合、少量(体重4kgの猫の場合、一口分くらい)であれば、緊急性はあまり高くありませんが、大量に摂食してしまうと、体調変化が見られる場合があります。
ただし、総菜パン・菓子パンは、次の内容物が入っていないかを確認してください。
- レーズン
- 玉ねぎ
- ニンニク
- チョコレート
- ナッツ類
- アボカド
- アルコール漬けフルーツ
- 香辛料(カレー粉、ブラックペッパー)
- ハムやベーコンなどの加工肉
これらは中毒やアレルギーの発症が主ですが、ナッツ類では物理的な危険(腸閉塞など)の危険性も出てきます。
対処の手順
落ち着いて猫が食べた量と種類を確認してください。様子見のあとで症状が出たときのためにメモに残しておいてください。もし、食べた中に危険な食材が含まれていたら、自分で吐かせようとせずに、すぐに動物病院へ連絡して指示を仰ぎましょう。
プレーンなパンでも、大量摂取をしていたら、念のため受診を検討してください。
猫の様子を見て、嘔吐・下痢・ぐったりするなどの症状があれば、その日のうちに病院を受診しましょう。症状がないときでも、しばらくして突然吐くことがあるので、最低でも24時間は様子を観察すると安心です。
数日後でもなにか異変が見られた場合は、動物病院を受診してください。
まとめ

人間には無害なパンでも、猫には危険になることがあります。特に総菜パンや菓子パンには、猫に有害な材料が使われていることもあり、うっかり口にしてしまうと体調不良や健康リスクにつながることがあります。
もちろん、味付けのされていないシンプルなパンであっても、量や頻度によっては消化不良や内臓への負担が生じる場合があります。
猫にはパンを与えないこと、そして猫の手が届かない場所に保管することで、思わぬトラブルを防ぎましょう。これを機に、ほかの食べ物も含めて保管方法を見直してみてください。