1.哀しい

猫には哀しいという気持ちがありません。と言われても納得できない、そんなことないと思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。
例えば、同居の猫や人が亡くなったときに残された猫が、不安そうに鳴いたり、食欲がなくなったりすることがあります。このような猫の様子を見て、猫が哀しいと感じていると思う人も多いようです。
しかし、これらの行動は家族構成の変化(環境の変化)によるもので、いつもと違う状況に戸惑っているだけだと考えられています。
また、親猫とはぐれた子猫も「ママとはぐれて哀しい」とは思わないようです。子猫が1匹で鳴いていても「お腹が空いたよ」「寒いよ」といった理由で、寂しい、怖いという感情が近いでしょう。
2.うらやましい

人間は他者と自分を比較してうらやましいと感じることがありますが、猫はそのような自己評価や比較の感情はありません。そのため、ほかの猫をうらやましいと思うことはないとされています。
例えば、ほかの猫のご飯を横取りしたり、飼い主さんがほかの猫を撫でていると割り込んできたりするのは、単純に「自分も欲しい」「自分も撫でて」という欲求からです。
つまり、人間のように相手が得をしていて悔しいと考えることはなく、あくまで本能的な反応で、嫉妬のような感情は存在しないと言われています。
3.困らせよう

猫がテーブルの上のコップを落としたり、パソコンの上に乗ったりする行動を見ると「わざと困らせてるのでは?」と思う人もいるかもしれませんね。しかし、猫にとっては目の前のものが気になったから触ってみたというだけです。
飼い主さんの反応が面白くて繰り返すこともありますが、それも困らせる意図はなく「反応がある=遊びが成立した」という学習の結果だと考えられます。
つまり、猫には誰かを困らせようという意図はこれっぽっちもありません。ただ自分の興味や刺激を追求しているだけなのです。
4.復讐心

叱ったら仕返しされた、嫌がらせのように粗相されたと感じる飼い主さんは多いですが、猫に復讐心は存在しません。
もし、猫がトイレ以外で排泄したり、物を壊したりしていたら、それはストレスや不安、環境の変化に対する反応です。人間のように怒られたからやり返そうと考えているわけではありません。
猫は感情を引きずらない生き物で、叱られたことを根に持つこともありません。復讐のように見える行動の多くは、飼い主さんになにかを伝えるためのサインの可能性が高いです。猫が困っていないか、不快に感じていないか良く観察し、必要に応じて対策を講じましょう。
5.ごめんなさい

人間が悪いことをしたと反省して謝るのは、社会的な学習の結果であり、他者の気持ちを想像する力によるものです。しかし、猫にはそのような学習も想像力もありません。そのため「申し訳ない」という概念を持ち合わせていないと考えるのが自然です。
もし、叱られたあとに猫がしょんぼりして見えたとしたら、それは、ごめんなさいではなく怒られて怖い、声が大きくてびっくりしたと感じているだけでしょう。
つまり、飼い主さんが反省してると思っている猫の仕草は、実は恐怖や不安からの防衛反応で、決して「ごめんなさい」という謝罪の意図はないと言われています。
まとめ

猫には、人間のような感情のドラマは存在しません。彼らの心はもっとシンプルで、「快・不快」「安心・不安」といったもっと本能的な感情で動いています。哀しみも嫉妬も復讐もなく、ただその瞬間を生きる猫たちは、ある意味とても純粋な存在と言えるでしょう。
だからこそ、猫の感情を擬人化して人間のように解釈するのではなく、行動の背景を冷静に観察し、気持ちを理解してあげることが大切なのだと言えます。

 
			
