猫が『隠れてご飯を食べるときの心理』5つ

人前でも堂々とご飯を食べる猫がいる一方で、ひっそりと隠れて食べる猫もいます。両者の違いはどこにあるのでしょうか。
また、以前は普通に食べていた猫が"急に隠れて食べるようになった"というケースもあると思います。一体、どのような心境の変化があったのでしょう。
今回は、猫が『隠れてご飯を食べる理由』を5つご紹介します。あわせて詳しい心理や対処法についても解説いたします。
1.警戒している

食事中は食べることに夢中になるため、どうしても無防備な状態になります。
まだお迎えして間もない頃や、元々警戒心の強い猫は"襲われるかもしれない"という危機感から、もの陰に隠れて食べることを好むのです。
来たばかりの猫に対する対処法としては、いつでも食べられる環境を整えてあげることが大切です。
留守中や深夜など、人の気配がない時にコソコソと食べてくれることが多いので、これらのタイミングでドライフードと飲み水をケージ内に置いておくと良いでしょう。
徐々に警戒心が薄らぐ中で、誰が見ていても構わず食べられるようになる猫もいます。とはいえ、食事中は無駄に大きな音を立てないように気をつけましょう。
元々警戒心が強い猫は、お家に慣れても人前で食べられないことがあります。こればかりは性格的なものなので仕方ありません。食器を置いたら速やかにその場を去り、遠目から様子を見てあげるようにしてください。
無理に状況を変える必要はありません。愛猫が美味しく楽しく食べられることを優先してあげてくださいね。
2.他の猫や動物が気になってしまう

多頭飼育の場合は、同居猫やその他の動物が気になりすぎて隠れたがる猫もいます。特に他の子と食べるペースが大きく異なる場合は、横取りを恐れている可能性もあるでしょう。
このケースでは、食べるペースが同じ猫同士でグループ分けをしたうえで、食事スペースを分離してあげると良いでしょう。場合によってはそれぞれのケージ内で食べてもらい、安心してもらうのも良いかと思います。
同居動物が犬の場合は、敢えて高い場所に食器を運び、そこで食べてもらうようにするだけでも解決する可能性が高いです。食べるために移動することも良い運動になるので一石二鳥です。
ここでもやはり、ベースには『警戒心』があります。せっかく安全な家にいるのですから、リラックスして食べられる環境を作ってあげたいですよね。隠れて食べようとする猫が安心して食べられる工夫をしてみてください。
3.食事に対して"嫌な過去"がある

例えば過去に、人間の食べ物をつまみ食いしようとして叱られた・お外の生活で食事中に怖い思いをした・他の猫にいじめられたなど、『嫌な過去』がある猫もまたひっそりと食べたがる傾向にあります。
この場合はまず、安心して食べられる場所で思う存分食べてもらいましょう。食事場から立ち去る際には優しく褒め、食事中は近づかないように配慮します。
ゴミ漁りや人の食事に手を出してしまう場合は、気づかれない位置で音を立てたり霧吹きをかけたりして注意喚起を行ってみてください。
ごみの場所を扉付きの収納棚や猫が触れないような蓋つきのものにするなど、環境の見直しをすることも大切です。
ひと工夫することで、声掛けなどをしなくても、問題行動につながることを自然とあきらめてくれる場合もあります。
外で怒鳴られたり、追いかけられたりした経験がトラウマになっている可能性もあります。したがって、叱るのではなく、安全性が高い方法で注意を促すようにしましょう。
人間側の行動を、猫が問題行動をしなくても済むような行動や環境に寄せてあげることも大切です。声掛けをしなくても、未然に防げるような見直しをすると良いでしょう。
猫用のフードを食べたときは褒めて貰えるという経験と合わせて学習することで、少しずつ恐怖心が薄れていくはずです。時間がかかるケースもありますが、根気強く続けてみてください。
4.体調が優れない

隠れて食べたがるという現象が突然やってきた場合は、何かしらの不調や変化があったと思ってください。
体調が優れない場合は食欲自体がない場合もありますし、いざと言う時に逃げられないという警戒心が働いている可能性も考えられます。
食事に関する変化の他にも、トイレの様子や遊びの様子に異変がないか見てあげてください。食欲自体が落ちていないようであれば、食べたい場所で食べてもらい、遠目から注意深く観察するようにしてください。
中には、食事中に雷や地震に見舞われパニックになったという可能性もうかがえます。変化が起きた直近でこのようなことがなかったかも振り返ってみてください。やはり落ち着くまでの間は、食べやすいと感じる空間で食事を取ってもらうようにしましょう。
体調不良が背景にありそうな場合は診察を受けてください。
5.野生の本能が強い

猫は単独で生き延びるために、次のような習性を持ちます。
- 食事排泄就寝のスペースを分けている
- 獲物を食事場に持ち帰り密かに食べる
この本能が強い猫は、往々にして隠れて食事することを好む場合があります。
普段からご飯と飲み水を分けて欲しがる・トイレ付近では食べない・休憩する場所が他と離れているなどのこだわりがあればこの傾向が強いのでしょう。
これは先ほど挙げた性格的なものよりも、さらに猫としての気質に近い行動と捉えてください。愛猫の個性として受け入れ、狭くて暗い穴蔵のような空間を食事場にしてあげると喜ぶでしょう。
まとめ

猫が『隠れて食べたがる時』に見られる要因として、5つの理由を紹介いたしました。それぞれの心理状態をおさらいしておきます。
- 慣れない家に来たばかりで警戒している
(元々の性格の影響もある)
- 同居動物が気になって普通には食べられない
- 食事に関するトラウマ体験がある
- 体調が優れない
(偶発的な恐怖からその場所が嫌になった)
- 野生の本能が強い
理由はどうであれ、基本的には愛猫が食べたいと思える空間で食べられることがいちばんの幸せです。そこに合わせることができるのであれば、猫側に合わせて見守ってください。
ただし明らかに行動が不自然なケースや、他にも気になる異変がある場合は病気や怪我などを疑ってください。気になる症状があれば一度診察してもらうと安心です。