猫に『洋服』を着せるメリット・デメリットとは 必要になるケースや飼い主が配慮すべきことまで

猫に『洋服』を着せるメリット・デメリットとは 必要になるケースや飼い主が配慮すべきことまで

見た目の可愛さに惹かれて猫に洋服を着せてみたくなる飼い主さんも多いのではないでしょうか。しかし、猫にとって洋服は快適なものとは限りません。今回は猫に服を着せるメリット・デメリットを解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

寒さ対策になる

洋服を着た猫

猫に洋服を着せるメリットとして、まず挙げられるのが寒さ対策です。猫の体は毛に覆われているとはいえ、品種によっては寒さに弱いケースもあります。特に短毛種やスフィンクスなどの無毛種、子猫や老猫は体温調節が苦手なため、冬場は体を冷やしてしまうことも。日本の寒い冬は、猫にとっても厳しい環境なのです。

そんなときに役立つのが洋服。保温性のある服を着せることで、冷たい床やすきま風から守り、体温低下を防げます。何かしらの理由でなかなか暖房が使えないご家庭でも、洋服は活躍することでしょう。

ただし、室温が十分に暖かい場合や、動き回る猫に厚着をさせすぎると逆に暑くなりすぎることも。猫と室内の状況を見ながら、無理のない範囲で着せてあげることが大切です。

猫の皮膚や傷口を保護できる

術後服を着た猫

猫に洋服を着せるメリットは、おしゃれや寒さ対策だけではありません。手術後やケガの治療中など、傷口を舐めたり噛んだりするのを防ぐためにも使われます。

エリザベスカラーを嫌がる猫の場合、柔らかい布製の洋服に替えるとストレスを軽減しつつ、患部をしっかり守れます。また、アレルギーや皮膚炎でかゆみがある猫にも、服がバリアとなって患部を保護する効果が期待できます。

ただし、皮膚炎などの治療目的で服を使う場合は、獣医師の指導を受けるのが安心です。

また、服の素材が合わないと摩擦で逆に皮膚を刺激してしまう懸念も。通気性が良く肌に優しい洋服や適切なサイズのものを選んであげることがポイントです。

過度な毛づくろい対策

洋服を着た猫

猫は清潔好きでよく毛づくろいする動物です。ただ、ストレスや不安から過剰に舐めてしまうこともあります。その結果、部分的に毛が抜けたり、皮膚が赤くなったりすることも。

洋服を着せることで直接舐めることを防ぎ、皮膚や被毛を守ることができます。引っ越しや環境の変化でストレスを感じやすい猫には有効です。

ただ、服を着せること自体が新たなストレスになることも。まずは短時間から洋服を慣らしていくこと、そしてストレス要因の解消を行うことが大切です。

猫に洋服を着せるデメリット

洋服を着た猫

猫に服を着せる場合、以下のようなリスクや注意点もあります。

  • ストレスや不快感
  • 動きの制限
  • 皮膚の蒸れと皮膚炎
  • 体調変化の見逃し
  • 誤飲や引っかかりの危険
  • 不衛生になる可能性
  • 体温調節機能の低下

まず、洋服自体にストレスを感じる猫も多く、動きにくさや不快感から体調を崩すことがあります。服のサイズが合っていないと、自由に動けず転倒やケガの原因になることもあります。

また、長時間の着用は蒸れや皮膚炎を引き起こす恐れがあります。さらに、服に隠れて毛並みや皮膚の異常に飼い主さんが気づきにくくなる点も注意が必要です。飾りや紐付きの服は誤飲や引っかかりの危険があり、不衛生にもなりやすいでしょう。

洋服に頼りすぎると、様々なデメリットを招くため、必要なときだけ短時間の着用にとどめるのが安心です。

まとめ

アロハシャツを着た猫

猫に洋服を着せることには、様々なメリットがありますが、一方で猫にとってはストレスになることもあります。大切なのは、「飼い主が着せたい」ではなく、「猫にとって必要かどうか」で判断すること。

初めての場合は短時間から慣らし、嫌がる様子がないかをよく観察しましょう。今回の記事を参考に、上手に猫の洋服を活用していきましょう。

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