猫は嘔吐しやすい動物?

四足歩行の猫は、胃や食道といった消化器官が体の軸に対して横に並んでいるため、嘔吐しやすい構造になっています。
また、猫の食道は「横紋筋」という、自分で動かすことができる筋肉が発達しています。そのため、人間よりも意識的に吐き戻すことができます。
野生下で暮らしていたときには、ネズミや小鳥などを捕まえていた猫。骨や毛など消化できないものや、食べてはいけないもの、腐ったものを素早く吐き出し、命を守ってきました。
嘔吐物の色別チェックポイント5つ

1.透明・白い泡状
透明の液体や白い泡のような液体を吐いた場合は、胃液や飲んだ水などの可能性があります。原因としては、空腹による胃酸過多やストレスが考えられます。
一時的なものであれば様子を見てもよいですが、何度も吐いたり元気がなかったりする場合は胃腸炎や膵炎の恐れもあります。繰り返すようであれば早めに動物病院を受診しましょう。
2.黄色
黄色っぽい嘔吐物は、胆汁であるケースが多いです。長時間お腹が空いた状態でいると胆汁の逆流が起きることがあります。
空腹の時間を少なくするために、与えるエサの量は変えずに時間や回数を見直しましょう。続くようであれば、肝臓病などの初期症状の可能性もありますので獣医師に相談を。
3.茶色
茶色いものを吐いたときには、未消化のフードや毛玉である可能性が考えられます。これとは別に、消化器からの出血や炎症を起こしている場合もあります。
嘔吐物にフードや毛玉が見られ、吐いた後に元気があればまずは経過観察をしましょう。
一方、血や異物が混ざっている、鉄のような匂いがする場合は、すぐさま病院へ行きましょう。
4.ピンク色・赤色
嘔吐物がピンク色や赤色になる原因としては、歯周病による口内の出血、胃腸炎や食道炎、心原性肺水腫といった病気が考えられます。 (正確には心原性肺水腫の場合は嘔吐ではありません)
ピンク色や赤色のものを吐いた場合には、様々な原因が考えられるため、家庭での対処には限界があります。緊急性が高い可能性がありますので、ただちに受診しましょう。
5.黒色
消化管から出血した血液が消化されると色が変わり、嘔吐物が黒色になることがあります。
潰瘍や腫瘍などの深刻な病気が隠れている可能性が高いです。
放置すると、命に関わる事態に陥ってしまう場合があります。詳細な検査と専門的な治療が必要になりますので、一刻も早く受診する必要があります。
危険な症状の見分け方

猫が嘔吐したときに、特に注意が必要なケースはどのように見分けたらよいのでしょうか。
まずは、吐いたものをしっかりと観察しましょう。
赤い点々が混ざっていたり、鉄のような匂いがしたりしていれば、体内から出血したものを嘔吐した可能性があります。
また、嘔吐の回数や頻度も確認することが大切です。1日に何度も吐いていないか、嘔吐が何日も続いていないかをチェックしましょう。
さらに、嘔吐だけではない症状の有無も重要です。ぐったりして元気がない、下痢・便秘をしている、ふらつくなどの異変を見落とさないようにしましょう。
上記以外にも、少しでも異変を感じたり、判断に迷ったりしたら、早期に獣医師に相談することをおすすめします。
まとめ

猫の嘔吐は決して珍しいものではありませんが、不調や病気のサインが隠れていることもあります。
まずは嘔吐物の色や状態をしっかりとチェックしましょう。
透明や黄色の嘔吐は一時的な原因が多い一方で、赤色や黒色などは重篤な病気の可能性があり、迅速な対応が必要です。
日ごろから猫の様子を観察し、嘔吐した際には少しでも不安要素があれば受診を検討しましょう。
「猫はよく吐くもの」と決めつけずにアンテナを張っておくことで、愛猫の健康と平穏な暮らしを守ることができますよ。