︎1.糖尿病のリスク

猫は本来肉食動物で、タンパク質や脂質を主なエネルギー源として利用しています。
よって糖を消化する酵素は少なく、グルコキナーゼという血糖を処理する酵素の肝臓での活性が、猫では非常に低いことが知られています。
よって砂糖を食べてしまうと、その影響で血糖値が急激に上昇し、それを下げる為に大量のインスリンが膵臓から分泌されます。
大量のインスリンを繰り返し分泌させることは、膵臓にとって大きな負荷をかけてしまい、結果として膵臓の機能が障害されて、逆にインスリンを十分量出せなくなってしまいます。
このように、肥満や体質に合わない高糖質の食事などが原因で、糖代謝の問題が生じ、血糖値が持続的に高いままとなることで、「糖尿病」に進行します。
糖尿病になると、猫は多飲多尿、食欲があるのに痩せてくるなどの症状がでて、インスリン注射による治療が必要となります。
もちろん猫が糖尿病になる原因は、砂糖だけではありませんが、猫が病気になるリスクを減らす為にも砂糖や砂糖を使用した甘いおやつなどは与えないようにしましょう。
︎2.歯周病や口内炎のリスク

砂糖は口腔内の細菌の栄養素となり、細菌の数を増やして、歯周病や口内炎のリスクを高めてしまいます。
また、砂糖に水分が加えられた水飴のような状態では、粘度を持つ為、歯に付きやすく、そこに歯垢が溜まりやすくなります。
猫は人間のように虫歯になることは少ないですが、歯を支える歯肉と歯槽骨に問題が生じる「歯周病」が重度になると、全身への健康被害がある事が近年わかってきています。
重度の歯周病の治療には、全身麻酔下での処置が必要となり、それも猫の体にとっては少なからず負担となるため、普段からのオーラルケアを無駄にしない為にも、猫に砂糖の入ったものは与えないようにしましょう。
︎3.消化器症状のリスク

猫は肉食動物であり、本来糖分は経口摂取する必要がない栄養素です。
その為、砂糖を体内で分解するための酵素の働きが低く、分解されなかった砂糖はそのままの状態で腸の中に留まってしまいます。
それにより猫の胃腸は消化不良となり、軟便、下痢、食欲不振、嘔吐などの消化器症状が出る可能性があります。
また、前述したように血糖値の急上昇により、膵臓に持続的な負担がかかると、膵臓が機能不全になるリスクも高まり、膵炎などの併発も懸念されるようになります。膵炎は急激な嘔吐や下痢、元気消失など、激しい消化器症状を示す病気のため、注意が必要です。
︎まとめ

そもそも、猫の舌には、甘味を感じ取ることのできる受容体が存在しないため、猫は砂糖などを食べても甘味を感じる事ができません。
よって人が良かれと思い与えた砂糖入りの人間のおやつや甘味のある果物などは、猫はそれを甘味として感じ取ってはいないのです。
つまり猫にとって砂糖は百害あって一利なしの不要な食品と言えます。
猫には猫の美味しい味というものが存在し、猫用のおやつにはその様な嗜好性に合わせた物が多く含まれています。
人と猫の嗜好性の違いを理解し、人が食べて美味しいからと、猫にも人用のお菓子を与える事はせず、猫用のおやつを与える様にしましょう。