猫が注意すべき「代表的な病気」4選

1.慢性腎臓病
慢性腎臓病は、特に高齢猫において最も注意すべき病気のひとつです。腎臓の機能が徐々に低下し、体内の老廃物を十分に排出できなくなる病気で、一度失われた機能は元に戻りません。
主な症状として、多飲多尿になったり、それが原因で脱水が進むと食欲不振や嘔吐、体重減少が見られます。進行すると貧血や高血圧を併発し、命に関わることも。
この病気は早期発見と進行の抑制が非常に重要です。予防策としては、新鮮な水をいつでも飲める環境を整え、飲水量を増やす工夫(ウェットフードの活用など)をしましょう。
また、7歳を過ぎたら定期的な血液検査で腎臓の数値をチェックし、早期の段階で食事療法などの適切な治療を開始することが愛猫の長寿につながります。
2.下部尿路疾患
下部尿路疾患は、膀胱や尿道に異常をきたす病気の総称で、膀胱炎や尿石症(結石)などが含まれます。
原因は、ストレス、飲水不足、細菌感染、不適切な食事など多岐にわたります。代表的な症状として、頻繁にトイレに行くが尿量が少ない(頻尿)、排尿時に痛がる、血尿が出る、トイレ以外で排泄するといった行動が見られます。
特に、オス猫では尿道が細いため、尿道に結石が詰まり、完全に排尿できなくなる「尿道閉塞」を起こすと、数日で命に関わる緊急事態となります。
予防には、清潔で安心できるトイレ環境の整備、ストレスを軽減する環境づくり、飲水量の確保が極めて重要です。
また、獣医師と相談し、ミネラルバランスを考慮した専用の療法食を取り入れることも有効です。
3.甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、主に10歳以上の高齢猫に見られる内分泌疾患です。首にある甲状腺から、代謝を促進するホルモンが過剰に分泌されることで発症します。
このホルモンの影響で、体が常にフル回転している状態になり、食欲は旺盛なのに体重が急激に減るのが最大の特徴です。
その他の症状として、落ち着きがなくなり多動になる、心臓がバクバクする(頻脈)、嘔吐や下痢などが頻繁に見られます。進行すると心臓や腎臓に大きな負担がかかり、心臓病や腎臓病を併発するリスクが高まることも。
この病気は血液検査でホルモン値を測定することで診断が可能です。予防法というよりは早期発見が重要であり、高齢猫は半年に一度の健康診断を欠かさず行い、異常な食欲や活動性の変化に注意を払うことが大切です。
4.糖尿病
糖尿病は、血糖値を調節するホルモンであるインスリンの作用が不十分になり、血液中の糖(血糖)が異常に高くなる病気です。
猫の場合、肥満や遺伝的要因が主な原因とされています。初期症状は多飲多尿で、これは血液中の糖を尿として排泄する際に、大量の水分も一緒に排出されるために起こります。
進行すると、食欲があるにもかかわらず体重が減少し、重症化すると元気や食欲がなくなり、意識障害など命にかかわる症状を伴うケトアシドーシスという危険な状態に陥ることもあります。
糖尿病の最大の予防法は、肥満を防ぐことです。適切なカロリーの食事と適度な運動を取り入れ、理想的な体型を維持することを心がけましょう。
また、多飲多尿などの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診するようにしてください。
病気の早期発見のために飼い主にできること

病気の早期発見のために、飼い主が日々の生活の中で最も重要なのは、愛猫の「いつもと違う」変化に気づくための注意深い観察です。具体的なチェックポイントとして、まず飲水量と排泄物の状態(量、回数、色)を毎日確認しましょう。
トイレの使用回数が増えていないか、おしっこがいつもより少ない、または色がおかしいといったサインは、腎臓病や下部尿路疾患の兆候である可能性があります。
次に、食欲の有無と体重の変化を定期的に把握することが重要です。食欲は旺盛なのに痩せていく場合は甲状腺機能亢進症、逆に食欲不振や急激な体重減少は慢性腎臓病や糖尿病の可能性があります。
これらの日常の観察に加え、7歳を過ぎた猫は、半年に一度の頻度で獣医師による健康診断(特に血液・尿検査)を受けさせることが、病気の早期発見と治療開始に不可欠です。
まとめ

猫の代表的な病気は、慢性腎臓病や下部尿路疾患のように加齢や環境に起因するものが多いですが、早期に発見すれば進行を遅らせ、愛猫の生活の質を高く保つことができます。
飼い主による日々の細やかな健康チェックと、定期的な動物病院での検査が、病気の発見の鍵となります。愛猫のわずかな変化も見逃さず、迅速に対応することが、愛猫の長寿と健康な生活を支えるポイントとなるでしょう。