猫は夜行性ではなく薄明薄暮性の動物

冒頭でも述べた通り、猫といえば「夜になると元気に走り回る」というイメージが強いため、つい夜行性だと思われがち。しかし、正確には夜行性ではなく「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」という生活リズムを持つ動物です。
薄明薄暮性とは、日の出前後や日没前後といった薄暗い時間帯に活発に行動する生態のことです。猫以外だと犬やウサギ、ネズミなども薄明薄暮性の傾向があります。
猫が昼間に長く眠っているのは夜に備えている…のではなく、朝夕に集中して活動するために体力を温存しているから。実際、猫は1日のうち12〜16時間、子猫やシニア猫では20時間近く眠ることも珍しくありません。つまり「よく寝て早朝と夕方によく動く」のが猫本来の姿。夜行性というわけではないのです。
猫が薄明薄暮な理由

続いて、どうして猫は薄明薄暮という生態なのかについて解説します。猫が薄明薄暮である理由…それは野生時代にあります。野生の猫科動物は、本来ひとりで狩りをするハンターです。
主な獲物となる小型のげっ歯類や鳥は、明け方や夕暮れに活発になる習性があります。猫たちはその時間帯に合わせて行動することで、より効率的に獲物を確保できるように進化してきました。
また、薄明薄暮のメリットとして、捕食者から身を守りやすいことも挙げられます。昼に動く動物はまだ眠っていて、夜に動く捕食者も本格的に動き出す前。薄明薄暮の時間に行動することで、猫にとって強い敵と出会うリスクを減らすことができるのです。
さらに、体力の温存という利点もあります。日中の強い日差しや暑さの中で動くとエネルギーを大きく消耗してしまいますが、朝や夕方の涼しい時間帯なら負担を抑えられます。つまり、猫が薄明薄暮なのは「獲物を効率よく捕まえること」と「安全に行動すること」を両立させるためなのです。
猫が活動的になる時間帯や生活サイクル

それでは薄明薄暮性な猫が具体的に、いつ活動的になるのかについて解説していきます。猫が活発になる時間帯は、早朝の夜明け前(午前4〜6時前後)と夕暮れどき(午後5〜6時前後)です。薄明薄暮の時間帯に部屋の中を全力で走り回ったり、「朝ごはんちょうだい!」とアピールするのは、まさに本能に基づいた行動なのです。
日中は早起きの反動でよく眠りますが、猫は浅い眠りと深い眠りを交互に繰り返し、浅い眠りが多い傾向にあります。これは捕食者から身を守るための習性。長時間熟睡しているように見えても、実は常に周囲に気を配っているのです。
また、猫は人間のように「活動時間」と「睡眠時間」がきっちり分かれているわけではありません。数時間遊んだら数時間眠る、というサイクルを繰り返すことが多々あります。
飼い主さんの生活習慣によっては夜行性になることも

本来は薄明薄暮性の猫ですが、飼い主さんの生活習慣によっては夜行性のようになることもあります。たとえば、夜遅くに帰宅した飼い主さんが遊び相手になったり、ごはんを与えたりすると、猫は「夜が活動時間だ」と学習します。その結果、夜中に遊びや食事を求めて鳴いたり、活発になったりするのです。
猫は順応性の高い動物で、人間と暮らすうちに生活リズムを合わせてくれるケースも少なくありません。
まとめ

猫は夜行性ではなく、明け方や夕暮れにもっとも活発になる薄明薄暮性の動物です。ただし、現代の猫は人と一緒に暮らす中で柔軟に生活リズムを変えることもあり、飼い主さんの習慣次第では夜型になることも。猫の本来のサイクルを理解したうえで、生活リズムを調整してあげることが、猫との快適な暮らしに繋がります。
今回の記事を、猫と快適に暮らすための参考にお役立てください。