猫から人にうつる皮膚病『疥癬』とは?主な症状や治療法、予防策まで解説

猫から人にうつる皮膚病『疥癬』とは?主な症状や治療法、予防策まで解説

猫の疥癬という皮膚病を知っていますか?激しいかゆみや脱毛があらわれる病気です。実は、猫の疥癬は人にうつることがあるのです。猫の疥癬と猫から人にうつった疥癬の症状、予防策などを解説します。

SupervisorImage

記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫から人にうつる疥癬とは

抱っこされる猫

疥癬は、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる皮膚病です。猫の疥癬の主な原因はネコショウセンコウヒゼンダニです。このダニが人にうつると皮膚炎を起こします。しかし、猫に寄生するヒゼンダニは人の皮膚では繁殖できないので、人の症状は一時的です。

猫の疥癬を治療すれば、人にうつった疥癬も自然に治ることが多いです。しかし疑わしい症状がある場合は速やかに人間の皮膚科などを受診しましょう。

疥癬の症状

頭を後ろ足でかく猫

猫の症状

  • 激しいかゆみ
  • フケ、かさぶた
  • 脱毛
  • 皮膚が厚くゴワゴワになる

耳の先端、顔、首などから症状が始まります。感染したところを激しくかくので毛が抜け、慢性的な炎症によって皮膚がゴワゴワになることもあります。放置していると全身に症状が広がるため、普段よりも耳や顔をかくなど気にしている様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

人の症状

  • 激しいかゆみ
  • 小さなぶつぶつ
  • 水ぶくれ

猫に触れる腕、胸、腹部などに症状が見られることが多いです。皮膚内でのダニの移動、ダニの排泄物によるアレルギー反応で強いかゆみを感じます。ダニは暖かくて暗い環境で活発になるので、布団に入って寝ている夜間や、入浴後にかゆみが強くなる特徴があります。

疥癬の治療法

診察される猫

猫の疥癬の治療法

駆虫薬を複数回使用してダニを駆除します。かゆみ止めや抗炎症薬、薬用シャンプーを使用することもあります。多頭飼育の場合は、症状が出ていなくても感染している可能性があるので、すべての同居ペットに駆虫薬を使用することがあります。

人の疥癬の治療法

猫のダニは人の皮膚では繁殖できません。猫が疥癬の治療を始め、感染源がなくなれば、人の症状は自然に治まる場合もあります。しかし、かゆみが強い場合は皮膚科で治療を受けましょう。

疥癬の予防策

背中に駆虫薬をつけられる猫

猫の疥癬の予防

  • 猫を室内で飼育する
  • 定期的に予防薬を投与する
  • 清潔な環境を維持する

疥癬は、感染した動物との接触が主な原因です。室内で飼育して、定期的に予防薬を投与し、環境を清潔に保つことが大切です。もし猫が疥癬になった場合、フケやかさぶたにはダニやダニの卵が付着している可能性があります。洗えるものは洗い、60℃以上の熱湯に浸すか、高温で乾かしてダニを死滅させます。洗えないものは掃除機をかけて、掃除機の紙パックは密封して捨てましょう。

人の疥癬の予防

  • 疥癬になった猫の治療
  • 疥癬になった猫との接触を減らす
  • 清潔な環境

人への感染予防で重要なのは、感染した猫を治療することです。獣医師の指示に従って投薬などをしましょう。また、感染している猫との接触を減らし、世話をするときは長袖の服と使い捨ての手袋を着用します。お世話が終わったら、すぐにせっけんで手をよく洗いましょう。感染した猫が触れた衣類や布団カバーなどは洗濯をし、部屋やソファーなどはこまめに掃除機をかけて清潔にします。

まとめ

後ろ足で耳をかく猫

猫の疥癬はダニが原因で激しいかゆみが起こります。ダニが人にうつることもありますが、症状は一時的です。しかし、感染の疑いがある場合は受診をすることをおすすめします。

人への感染を防ぐためにも、定期的な予防薬の投与と日頃の観察が大切です。猫の皮膚の異常が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。

スポンサーリンク