猫が『季節の変わり目』に起こしやすい変化4選 飼い主が意識すべき体調管理のポイントまで

猫が『季節の変わり目』に起こしやすい変化4選 飼い主が意識すべき体調管理のポイントまで

季節の変わり目。それは、体調や猫ならではの"ある特徴"の変化の時です。今回は、猫に起こり得る4つの変化と体調管理のポイントを徹底解説いたします!!

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

『季節の変わり目』に起こり得る4つの変化

秋の訪れ

皆様は『季節の変わり目』に体調を崩したり、何となくお肌のコンディションが悪いなと感じることはありませんか?

実はこのようなことは猫にも起こり得るのです。ここでは、これからの時期に気をつけてほしい変化を4つ紹介いたします。

あわせて体調管理のポイントや、変化を緩やかにする方法も解説していくので、愛猫と楽しく秋を満喫してみてください。

1.換毛期(夏毛から冬毛に変わる)

猫の抜け毛

10月〜11月にかけて、猫の被毛は夏毛から冬毛へと生え変わります。これを換毛期といい、被毛の長さを問わず抜け毛が多くなります。

この時期は、短毛種の猫であってもブラッシングによるケアが必要になります。余分な毛を取り除き、体への負担(毛玉を吐いたり、便に絡んでしまうような毛球症)を防いであげましょう。

長毛種の場合は、毛球症(毛繕いの過程で飲み込んだ被毛が塊となり胃腸に詰まること)が起こりやすくなるタイミングです。可能な限り毎日ブラッシングをしてあげてください。

冬毛が整えば、美しい被毛を楽しめるでしょう。特に長毛種は冬毛が最も美しいとされています。ブラシを頑張れば頑張るほど、艶やかでふわふわとした毛並みを堪能できるので根気強くケアを続けてみてください。

2.持病が悪化しやすい

診察を受ける猫

持病がある猫にとって季節の変わり目は鬼門です。目まぐるしく変わる気温の変化によって、これまで落ち着いていた持病の症状が一時的に悪化してしまう恐れがあります。

また、過去に猫風邪をひいた経験のある猫も要注意です。猫風邪のウイルスは完全には除去しきれず、弱毒化した状態で体内に残り続けるという特徴を持っています。

それが寒暖差によるストレスが引き金となり、免疫力が落ちたところで復活する場合があるのです。

愛猫に何らかの持病がある場合、症状が再発した際に用いる薬等があれば予め準備しておくと安心です。

寒暖差に関しては、エアコンを上手に活用しながら室温を26℃程度にキープできるように調整すると急激な変化を起こさずに済みます。

ただし、快適に感じる温度は猫によって様々です。呼吸の様子や、体を触って温かさの程度などを観察しながら調節してあげましょう。

それでも防ぎきれない冷え込みに対しては、暖かい猫用の寝具を置くことで対応してみてください。

3.下部尿路疾患が増えやすい

トイレで困る猫

季節が切り替わるタイミングで増える疾患があるので、こちらも警戒しておいてくださいね。それは『下部尿路疾患』です。

下部尿路とは膀胱や尿道までを指すもので、この部位に発生する疾患を下部尿路疾患といいます。いわゆる『おしっこのトラブル』のことです。

猫は肌寒いと感じると水を飲むことが億劫となり、飲水量が減ってしまいます。加えてトイレに行くのも苦痛になり、ついつい我慢をしてしまうことが増えてしまいます。

すると膀胱に雑菌が増えて膀胱炎を発症したり、水を飲まないことから膀胱や尿道に石ができる尿路結石が起こりやすくなります。

ある程度室温を管理したうえで、億劫にならない動線でトイレに行けるように工夫してみてください。その道中に水飲み場を設置することも大切で、"ついで飲み"を促してあげると良いですね。

膀胱炎は気温差によるストレスによっても発生する可能性があります。よく水を飲むことで自然治癒することもありますが、猫の場合は難しいケースもあるので初期症状を覚えておくと安心です。

膀胱炎も尿路結石も初期症状は尿の変化に現れます。1つ目の変化は臭いです。いつもよりツーンと鼻につく刺激臭があるでしょう。この段階ではまだ警戒するだけで大丈夫です。

2つ目の変化は尿そのものに現れる変化です。排尿したばかりの尿を見ると"キラキラとした結晶"のようなものが混ざっている場合があります。実は、これが超初期段階で現れる症状になります。

これが確認できた際は、遅くとも翌日には診察を受け、尿検査をしてもらいましょう。この段階で発見できれば本人(猫)は無症状のまま治療ができ、膀胱炎や石による痛みを経験せずに済む場合もあります。

日頃からあまり水を飲んでくれない場合は、人肌程度に温めたウェットフードを食べさせてみてください。ウェットタイプは水分量が多いので、美味しく水分を補うことができるうえに下部尿路疾患の予防にも繋がります。まさに一石二鳥です。

4.シニアは病気になりやすい

シニア猫

個体差はありますが、概ね7~8歳以上、さらに12~13歳を超えるハイシニアの猫は、季節の変わり目を境に病気になることがあります。

理由はこれまで紹介したものと共通しており、主に寒暖差によるストレスや免疫力の低下や体力の低下が要因となります。

これまで息を潜めていた関節炎や腎臓病、それこそ先ほど挙げた下部尿路疾患など多岐にわたります。室温管理はもちろんのこと、スキンシップを取って不安を解消してあげることが大切です。

薄ら寒い季節は人肌が恋しくなり、よく甘えてくる猫が増えるでしょう。特にシニア猫は体調の変化に敏感で強い不安を抱きやすくなります。

そんな不安を、優しい声かけや膝上の抱っこ、添い寝によって取り払ってあげてください。愛猫が求める甘え方に寄り添うことが大切です。

まとめ

甘える猫

今回は『季節の変わり目』に起こりやすい変化を4つ紹介いたしました。ここで改めて体調管理のポイントをおさらいしておきましょう。

  • 室温を管理することで寒暖差を緩やかにする
  • 冬仕様の猫寝具を置いて暖を取りやすくする
  • ウェットフードを活用し水分摂取を促す
  • トイレの我慢を減らす
  • トイレの位置と水飲み場の位置を工夫する
  • シニア猫の不安を解消する

最後にもうひとつポイントを挙げておきます。室温は26℃が過ごしやすいと紹介しましたが、湿度もまた健康管理には欠かせない要素のひとつです。湿度は50%〜60%に管理してあげてください。

暑さから解放され、ようやく過ごしやすくなる今の時期。人も猫も油断は禁物です。夏の疲れが一気に出やすい時期だからこそ、いつも以上に愛猫の健康状態に気を配ってあげてください。

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