1.生まれ持った遺伝の影響

猫の性格には、親から受け継ぐ「遺伝」の要素が大きく関わります。人でも、穏やかな性格の親からは落ち着いた子どもが生まれやすいように、猫も同じように性質を引き継ぐことがあるのです。
とくに純血種ではその傾向が顕著で、たとえばシャム猫は甘えん坊な子が多い傾向があり、メインクーンは落ち着いて大らかな子が多いといわれます。
もちろんすべてが遺伝で決まるわけではありませんが、「スタートライン」としての気質は生まれつき備わっていると考えると理解しやすいです。
2.幼少期の育ち方

生後2~9週の「社会化期」は、猫にとって性格の土台をつくる重要な時期です。
この頃に母猫や兄弟と過ごす時間が十分にあると、他の猫や人との関わり方を自然に学ぶことができますが、逆にこの時期にひとりで過ごしてしまうと、警戒心が強くなりやすいと言われています。
子猫の頃に人の手でやさしく遊んでもらった猫は、人に対して安心感を抱きやすくなります。一方で、あまり人と触れ合わなかった猫は、大人になってからも距離をとる傾向が残ることがあるのです。
子どもが小学校で友達との関係を学ぶのと同じように、猫もこの時期に「社会」を経験することが大切だといえます。
3.飼い主との関わり方

成長してからの猫の性格を大きく形づくるのは、飼い主との日々の接し方です。
いつも穏やかな声で愛猫の名前を呼び、スキンシップを丁寧に重ねていくと、猫は「この人は安心できる」と感じやすくなります。
反対に、急な大声や無理な抱っこが続くと、怖がりな一面が強調されることもあります。
猫は人の感情を敏感に感じ取るので、機嫌の良し悪しを表情や動きから読み取るのが得意です。まるで鏡のように飼い主の雰囲気を映すこともあるでしょう。
「自分の行動が猫の性格を少しずつ形づくっている」と考えると、お互いが居心地の良い存在でいられるように思いやりをもって接したいですね。
4.環境や暮らし方

猫の性格は、どんな環境で暮らしているかによっても変化します。静かな家庭で安心できる隠れ場所があると、猫は落ち着いた性格になりやすい傾向があります。
一方で、物音が絶えずにぎやかな環境だと、刺激に敏感になりやすいでしょう。人も静かな図書館にいるときと、にぎやかな遊園地にいるときでは気分が変わるように、猫も周囲の環境から大きな影響を受けるのです。
まとめ

猫の性格は、「遺伝」「幼少期の経験」「飼い主との関係」「暮らす環境」という4つの要因が重なり合って形成されます。
どれかひとつだけで決まるのではなく、「生まれ持った気質」に「その後の育ちや暮らし」が積み重なって、唯一無二の個性が生まれるのです。
だからこそ「うちの子はどうしてこうなんだろう」と思ったとき、その背景を探ると理解が深まり、より優しい目で接することができます。
完璧な性格を目指す必要はありません。大切なのは、その子らしさを尊重しながら安心できる毎日を整えてあげることです。
そうすることで、猫は自分らしい性格をのびのびと発揮し、飼い主との絆もいっそう強まっていくでしょう。