猫が「ふみふみ」したくなる5つの理由

1.母猫の記憶を思い出している
猫が「ふみふみ」をする行動は、子猫が母猫のおっぱいを飲む際に、前足で母猫のお腹を揉む動作が起源とされています。
これは、母乳をより多く出すための本能的な行動であり、成長した猫がこの行動を繰り返すのは、母猫と過ごした温かく安心できる記憶を呼び起こしているからと考えられているようです。
このため、猫がふみふみしている時は、心からリラックスして、深い安心感に包まれている状態と言えるでしょう。
飼い主の膝の上でふみふみしている場合は、飼い主を母猫のように慕い、信頼している証拠でもあります。
2.飼い主への愛情表現
猫にとってのふみふみは、単なる子猫時代の名残だけでなく、飼い主に対する深い愛情を示す行動でもあります。
特に、膝の上や体の近くでふみふみしている場合、それは「あなたが大好き」「あなたのそばにいると安心する」という強いメッセージを伝えているのです。猫は警戒心が強い動物ですが、ふみふみ中は無防備な状態になるため、心から信頼し、安全だと感じている証拠です。
また、ふみふみをしながら喉をゴロゴロと鳴らすことも多く、これは満足感や幸福感を表していると考えられます。この行動は、猫と飼い主の間に強い絆が築かれていることを示していると言えるでしょう。
3.マーキングの一種
猫の肉球には、個体特有の匂いを分泌する汗腺があります。このため、猫がふみふみする行動は、自分の匂いを対象につけるマーキングの一種でもあります。
毛布やクッション、そして飼い主の体にふみふみすることで、「これは自分のものだ」という所有権を主張しているのです。
この行動は、他の猫や動物に対して縄張りを主張する意味合いもありますが、多くの場合、自分にとって安心できる場所や大切な対象に匂いをつけることで、より自分のテリトリーとして確立したいという本能的な欲求に基づいています。
4.寝る前の準備
野生の猫は、寝床にする場所の草や落ち葉を前足で踏み固め、快適で安全な寝床を作ってから眠る習性があります。これは、敵から身を隠しやすくしたり、地面の凹凸をならして体を休める準備をするための行動です。
現代の猫が毛布やベッドの上でふみふみするのも、この本能的な習性の名残と考えられています。柔らかいものを前足で揉みほぐすことで、自分にとって最も心地よい場所を整えているのです。
このような行動は、猫が「これから安心して眠るぞ」という気持ちの切り替えであり、深いリラックス状態へと移行するための儀式のようなものでしょう。
5.気持ちが良いから
猫にとって、ふみふみは単純に気持ちが良いと感じる行動です。特に柔らかいものや温かいものを踏みしめる感覚は、猫に深い満足感と快感をもたらします。
猫は肉球に多くの神経が通っており、敏感な部位です。そのため、ふみふみすることで、まるでマッサージを受けているかのように気持ちよさを感じ、ストレスを軽減する効果があると考えられています。
また、心地よさからくる多幸感は、喉をゴロゴロと鳴らすことにも繋がります。この行動は、猫が心身ともに満たされているサインであり、満足している状態を示しています。
「ふみふみ」をやめさせた方がいいケース

猫のふみふみは可愛らしい行動ですが、場合によってはやめさせた方が良いケースもあります。
最も注意すべきは、猫の爪が伸びていて、飼い主の体や高価な家具、衣類を傷つけてしまう場合です。この場合、爪切りを定期的に行うことが最も効果的な対策となります。
また、子猫から成猫になっても、異常な頻度でふみふみを続ける、毛布などを吸いながらふみふみするなど、依存症のような行動が見られる場合は、猫が精神的なストレスを抱えている可能性があるので注意しましょう。
この場合は、環境を見直したり、獣医師に相談したりするなど、猫のストレスの原因を探ることが大切です。
まとめ

猫の「ふみふみ」は、子猫時代の記憶、愛情表現、縄張り意識、寝床作り、そして単純な快感といった複数の意味を持つ、猫の習性として非常に重要な行動です。
この行動は、猫が心身ともにリラックスし、飼い主を信頼している証であり、猫の気持ちを理解する上で大切なサインです。猫がふみふみしている時は、その愛らしい行動を温かく見守り、猫との絆をより一層深める時間として捉えることができるでしょう。
しかし、行き過ぎた行動が見られる場合は、猫の健康状態や精神状態に配慮し、適切な対処をするようにしてくださいね。