オス猫・メス猫別『レア毛色』3選 どうしてあまり見られないのか、その理由もご紹介

オス猫・メス猫別『レア毛色』3選 どうしてあまり見られないのか、その理由もご紹介

猫の毛色は遺伝子の組み合わせで決まりますが、性別によって出現しやすい毛色とそうでない毛色があります。本記事では、オス猫・メス猫それぞれの珍しい毛色と、なぜその毛色が生まれにくいのか、その遺伝的な理由をまとめました。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

オス・メス別猫の「レア毛色」3選

三毛猫

1.オスの三毛猫

三毛猫は、白・黒・茶色の3色の毛を持つ猫で、そのほとんどがメスです。これは毛色を決定する遺伝子がX染色体上にあるためで、黒色と茶色の両方を発現させるには、X染色体が2本必要となります。

通常、オス猫はX染色体とY染色体を1本ずつ持っているため、三毛猫は生まれません。しかし、ごく稀に「クラインフェルター症候群」と呼ばれる染色体異常により、XXYという性染色体を持つオス猫が生まれることがあるようです。

この場合、オスでありながらX染色体が2本あるため、三毛猫の毛色になります。この確率は非常に低く、オス三毛猫は希少性が高いと言えるでしょう。

2.オスのサビ猫

サビ猫は、黒と茶色が混ざり合った毛色で、三毛猫と同様にほとんどがメスです。三毛猫と同様に、黒と茶色の両方の毛色を発現させるためには、X染色体が2本必要となるため、通常オス猫にサビ猫は生まれません。

サビ猫の遺伝子は、三毛猫の遺伝子とほぼ同じで、白い毛が発現しない遺伝子の組み合わせによってサビ猫となります。

そのため、三毛猫と同様にクラインフェルター症候群のオス猫が、ごく稀にサビ猫になることがあります。

3.メスの茶トラ猫

メスの茶トラ猫が珍しいのは、その毛色と性別を決定する遺伝子の仕組みにあります。猫の毛色を決定する遺伝子のうち、オレンジ色(茶色)をつくる遺伝子「O」はX染色体上のみに存在します。

オス猫はX染色体とY染色体を1つずつ持つため、X染色体にある「O」遺伝子が発現すれば茶トラになります。

一方、メス猫はX染色体を2つ持つため、茶トラになるには両方のX染色体に「O」遺伝子を持つ必要があります。この組み合わせはオスに比べて少なく、特に三毛猫やサビ猫の多くがメスであることからもわかるように、メス猫は複数の毛色遺伝子を持つことが一般的です。

そのため、純粋な茶トラになるための遺伝的条件を満たすメス猫の確率は低く、オスに比べて珍しい存在となっています。

猫の毛色を決める遺伝子の仕組み

サビ猫

猫の毛色は、主に2種類の遺伝子によって決まります。一つは、黒色と茶色(赤)の遺伝子で、これはX染色体上に存在します。

黒色を発現させる遺伝子をB、茶色を発現させる遺伝子をOとすると、オス猫はX染色体を1本しか持たないため、黒か茶色のどちらかの毛色しか発現しない場合もあるようです。

一方、メス猫はX染色体を2本持つため、黒と茶色の両方の毛色を発現させることができるので、これが三毛猫やサビ猫がメスに多い理由です。

もう一つは、毛色の濃さを決める遺伝子や縞模様を決める遺伝子で、これらは常染色体上に存在します。これらの遺伝子が複雑に組み合わさることで、様々な毛色が生まれるのです。

まとめ

茶トラ猫

猫の毛色は、性別を決める性染色体と密接な関係にあり、特にX染色体上の遺伝子がその大部分を決定します。

このため、X染色体を2本持つメス猫に三毛猫やサビ猫が圧倒的に多く、オス猫にこれらの毛色が出現することは非常に稀です。

猫の毛色に隠された遺伝子の秘密を知ることで、愛猫の個性をより深く理解できるでしょう。

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