1.はじまりは1954年(昭和29年)

動物愛護週間が公式に設けられたのは、1954年(昭和29年)のことです。当時の文部省(当時)の提唱で、国民に「動物を大切にしよう」と呼びかけたのがきっかけです。
その後、1973年(昭和48年)には「動物の保護及び管理に関する法律」が制定され、動物愛護週間は法律に基づいた正式な取り組みとして位置づけられるようになります。
さらに1999年(平成11年)には法律が改正され、名称も「動物の愛護及び管理に関する法律」と変更されました。この改正により、単なる「保護」だけでなく、「適正な飼養や管理」の重要性が強調されるようになりました。
よく「誰が決めたの?」と疑問をもつ方もいますが、動物愛護週間は文部省が提唱し、その後、国が責任をもって実施。実際の運営は「国(環境省)」が中心となって企画や運営、イベントなどを行っています。
2.実はルーツはもっと古い

動物愛護週間が公式に始まったのは1954年ですが、動物を大切にしようという動き自体は、もっと前からありました。
実は1915年に、新渡戸萬里氏やバーネット大佐夫人らによって、動物愛護を目的とした団体がつくられています。これがその後の「日本動物愛護協会」の設立につながり、日本における動物愛護活動の大きな土台となりました。
面白いことに、このときの団体名はのちに「国際赤十字」や「難民を助ける会(AAR Japan)」のように、人道支援を行う団体の名前として広く使われるようになります。つまり「動物を守る」という考え方は、やがて「弱い立場にある存在を守る」というより大きな理念に発展していったのです。
3.期間は毎年9月20日~26日

動物愛護週間は、毎年9月20日~26日までの1週間と定められています。
しかし、この日付で固定されたのは1973年の法律制定後のこと。戦後しばらくは春分の日(3月21日)を中心に「動物愛護デー」が行われ、1950年からは3月18日~24日を「動物愛護週間」としていました。
ところが、当時4月中旬には「鳥類愛護週間」もあったため、開催時期をずらす目的で秋分の日へと移動。その後、1973年の法律制定によって、現在の日程に定められることになったのです。
4.何をするの?

動物愛護週間には、国・自治体・関係団体が連携して啓発イベントを集中的に行っています。
具体的には、環境省を中心に全国でシンポジウムや動物愛護習慣ポスターの公募、講演や展示、体験ブースなどを設けた「どうぶつ愛護フェスティバル(中央行事)」。動物愛護管理功労者(個人・団体)の表彰も環境大臣によって行われます。毎年「動物愛護スローガン」が公募で決められ、動物と人が共に幸せに暮らせる社会づくりを呼びかけているのです。
このほかにも、自治体や地域のイベントで、譲渡会やしつけ・健康相談会、適正飼育セミナーなどが各地で開催されます。
まとめ

動物愛護週間を「法律」としてみると、一般の人には巨大プロジェクトのような印象があるかもしれません。
しかし、個人でもできることはたくさんあります。飼っている動物との時間を増やしたり、ペットの正しい飼い方を学んだりと、身近なところにしっかり目を向けるのも大切なこと。
また動物団体への寄付や、譲渡会へのボランティア参加なども、大きな一歩となることでしょう。
動物愛護週間は、私たちが動物との関わりを見つめ直す大切なきっかけ。ペットを飼っている方もそうでない方も、この時期に動物との暮らしについて考えてみてはいかがでしょうか。