猫も『高血圧症』になるって知っていますか?原因や症状、対処法を解説

猫も『高血圧症』になるって知っていますか?原因や症状、対処法を解説

猫にも「高血圧症」があることをご存じですか?人間と同じく、猫の高血圧も放っておくと目や腎臓、心臓などに深刻なダメージを及ぼします。この記事では、猫の高血圧症の原因・症状・治療法をわかりやすく解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の高血圧症とは?

診察中の猫

猫の高血圧症とは、血管内の圧力が異常に高く維持されてしまう状態を指します。人間と同じように、血圧が高い状態が続くと臓器や血管に負担がかかり、命に関わる合併症を引き起こす危険があります。

特に目の網膜や腎臓、心臓、脳が影響を受けやすく、失明や腎臓病、脳卒中のような症状を招くこともあります。

高血圧になる原因

シニア猫

猫が高血圧になる背景には何か病気が隠れていることが多いです。人間のように「生活習慣の乱れ」が主な原因ではなく、腎臓病や甲状腺機能亢進症といった基礎疾患によって血圧が上がるケースが大半です。

また、環境の変化や強いストレスで一時的に血圧が高くなることもあります。ここでは代表的な原因を見ていきましょう。

腎臓病・甲状腺機能亢進症などの基礎疾患

猫の高血圧の多くは「続発性高血圧」と呼ばれるもので、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症といった病気が原因です。これらの疾患はシニア猫に多く見られるため、年齢とともにリスクが高まります。

ストレスや環境変化による一時的な血圧上昇

大きな音や引っ越し、病院での緊張などでも一時的に血圧は上がります。ただし、この場合は持続的な高血圧とは異なり、慢性的な健康被害にはつながりません。問題となるのは、長期間にわたって血圧が高い状態が続くケースです。

こんな症状が見られたら要注意

目を見開いている猫

急に物にぶつかる・瞳孔が開きっぱなし

高血圧によって網膜が損傷すると、急な視力低下や失明につながります。突然物にぶつかる、瞳孔が開いたまま動かないといった症状は危険信号です。

元気・食欲の低下

血圧上昇は全身の臓器に負担をかけます。疲れやすくなる、食欲が落ちるなどの変化は、腎臓や心臓への影響の可能性があります。

鼻血・けいれんなどの異常症状

脳の血管がダメージを受けると、鼻血、けいれん、ふらつきといった重い症状が出ることもあります。こうした異常が見られたらすぐに動物病院を受診しましょう。

診断と対処法

動物病院で血圧を測る猫

動物病院での血圧測定

高血圧かどうかは、自宅では判断できません。動物病院で専用の血圧計を使い、複数回測定して診断します。

薬によるコントロールと定期的なモニタリング

降圧薬を使用して血圧を安定させるのが一般的な治療法です。投薬を続けながら、定期的に血圧を測定して変化をチェックします。

原因疾患の治療と並行して行う管理

腎臓病や甲状腺機能亢進症などの病気が背景にある場合は、それらの治療と並行して血圧をコントロールします。

まとめ

安心して眠る猫

猫も人間と同じように高血圧症になります。特にシニア猫や持病のある猫は注意が必要です。

  • 腎臓病や甲状腺機能亢進症が原因で発症することが多い
  • 視力の異常、食欲低下、けいれんなどがサインになる
  • 診断は動物病院での血圧測定が必須
  • 薬によるコントロールと原因疾患の治療が重要

「いつもと違うかも?」と感じたときに早めに受診することで、失明や重篤な合併症を防ぐことができます。大切な愛猫の健康を守るため、日頃からの観察と定期的な健康チェックを欠かさないようにしましょう。

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