組合機関紙の表紙に猫が登場

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猫は集団で活動せず、人間にも無関心だといわれます。でも英国の労働組合の歴史を見ると、猫の影響力は大きかったようです。
Warwick大学のLiz Woodさん(近代記録センター所属)によると、1世紀以上前から猫が労働組合運動の発展に貢献してきたといいます。同センターには全国労働組合、使用者団体、その他の抗議活動団体の資料が保管されています。
たとえば商店・流通・関連産業労働者組合(USDAW)の機関誌「The New Dawn」1967年新年号の表紙には、「ふさふさの長毛をもつ猫」が登場したことがあります。当時のハロルド・ウィルソン首相からの新年のメッセージは、猫よりずっとあとの、中面でやっと登場しています。
「明らかに会員の興味を引くのは、首相より猫のほうです。かわいい猫が大きなリボンで遊ぶ様子の方がずっと魅力的ですからね」とLizさん。
ネズミ捕りは「事務職」か「現業職」か

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ほかにも生後9週間の子猫Candyをめぐって、2種類の公務員労働組合の間で争いが生じたこともあります。
ブラッドフォード市議会でネズミ捕りとして飼われるようになったCandyですが、当初は主に事務職労働者からなる「全国地方自治体職員組合(NALGO)」に所属していました。
ところが組合機関誌「Public Service」は、Candyの職務は肉体労働であるため現業職労働者からなる「全国公務員組合(NUPE)」に加入すべきだと批判したのです。Candyがどちらの組合に属するかによって、分担金も違ってくることが論争の焦点でした。
「猫は現在もネット上で常に大人気の存在ですが、昔からそのかわいい姿は人々の注目を集めており、職場でも人々の交流を深めるために猫が利用されてきたのです。労働組合の機関誌に愛らしい猫の絵や写真を掲載すれば、みんなが手に取って読んでくれますからね」とLizさん。
ほかにも多くの「職場猫」たちが活躍

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1920年代には、全国農業労働組合の機関紙「The Land Worker」に猫のコラムが連載されていたそうです。その猫はThomasという名で、若い読者向けにコンテストを開催したり、組合の絵ハガキに登場したりして人気を博していたようです。
「組合員だけでなく、家族全員が楽しめる内容の機関紙だったのです」というLizさんです。
全国流通関連労働組合でも、コンテストで優勝したペルシャ猫をマスコットとして正式に登録していました。ほかにも1962年の労働省の機関紙「Minlabour」には、グラスゴーで公務員として働く猫について紹介されています。Sootyという名のネズミ捕り猫で、職員たちからとても愛され、職場のアイドル的存在だったようです。
今も昔も変わらないのは、猫が職場にいることで働く人々の士気が高まり、コミュニケーションを円滑化する効果が期待できることのようですね。