1.すこし離れた場所に座る

私たち飼い主としては「好きなら近くに来てくれればいいのに」と考えがちですが、猫は単独行動が習性のベースにあるため、大好きな飼い主さんであっても少し離れた場所に座ることがあります。実はこれ、お互いに安心できる距離を保てるよう猫からの配慮、つまり愛情表現のひとつでもあります。
特に成猫になるまで野良猫だったようなコは、猫同士の距離感や習慣を人との生活にも当てはめることがあります。人との生活は快適でも、無理に接近することはお互いのタブーと考え、あえて少し距離を置くのです。
もちろんお迎えしたばかりであまり慣れていない猫も警戒心から距離を取ることがありますが、長年一緒に暮らしても適度な距離を保つなら、それは同じ空間にいても安心できる関係を保とうとする愛情表現なのです。
2.おしりを向ける

「猫飼いあるある」のひとつに、愛猫がおしりを向けてくるというものがあります。ソファなどで座っているときやデスクの上に乗ってきたときなど、猫におしりを向けられる飼い主さんは多いようです。
顔と顔を合わせることこそ信頼とする人間とは違い、おしりを向けられることで「あれ、まだ距離感があるのかな?」と感じる人もいるかもしれません。
猫がお互いのおしりのニオイを嗅いで情報交換するのは有名な話ですが、遊び回っていた子猫が母猫のところに戻ってきた時も同じことをします。子猫はおしりを向けて、母猫がそのニオイを確認するのです。
愛猫にとって毎日の食事を与えてくれる飼い主さんは、母猫のような存在。そのため、目の前にきておしりを向けてくるときは、信頼という愛情を持っていることが多いのです。
3.食事中は一緒に過ごす

飼い主が食事の準備を始めると、そばにやって来る猫は多いようです。一見、食べ物に関心があるように思えますが、実はこれがわかりづらい愛情表現なこともあるのです。
猫は子猫の頃、兄弟猫たちと一緒に母乳を飲みながら母猫に舐めてもらい、食事の時間を安心の場として記憶してきました。そのため、食べる場に一緒にいるということは、絶対的な信頼感や家族愛のような愛情を表現しているのです。
中には、飼い主の食事の時間ではなく、自分が食べるところを見ていて欲しいタイプの猫もいます。飼い主がその場を離れると、呼び止めたり食べるのをやめたりするようです。いずれにしても、食事の場を共にすることは、人と猫の信頼関係を深める大切な時間なのです。
ただし、人の食べ物をねだるような場合には、あまり近くに置いておくと盗み食いされる危険があります。手を出してくるときには、隔離するなどの対策も忘れないようにしましょう。
まとめ

今回は、つい見逃してしまいそうな猫からの愛情表現を紹介しました。
猫の行動には、帰宅後にスリスリしてきたり、手などを舐めてきたりするようなわかりやすい愛情表現がある一方で、地味に距離を保ったり、おしりを向けたりするなど、さりげない仕草であらわされる愛情もあります。
今回紹介したような行動を理解しておくと、お迎えしたばかりの猫や人見知りの猫を飼っている人でも、「すこし距離があっても同じ空間に来る」「安心して背中を向けて座る」など、猫が表現している気持ちを受け取ることができます。
ただし、猫は個性が強く、一匹一匹に個性があるように、愛情の表し方もそれぞれすこしずつ違います。自身の愛猫のちいさな行動まで観察することで、見過ごしそうな猫の気持ちに気づけるはずです。