1.スルー(無関心)

鏡に映った自分を気にも留めず、素通りする猫も少なくありません。猫の視力は意外にも低く、0.1~0.2程度といわれています。動体視力は優れているものの、止まっているものを見る力は弱いです。
よって、猫が鏡に映った自分を見ても「何かが見える」と感じるだけの可能性も高く、特に危険でもなければ気にしなくてよいとの判断に至ります。
なお、猫が鏡に映った自分を「無害」と判断するのは、過去の経験からの学びであると予測されます。猫にとって「何か写っているけれど実害はない」自分の姿は、ただの景色の一部のような感じかもしれませんね。
2.鏡に向かって鳴く・パンチする

鏡に映った自分の姿を「猫」だと認識できるケースもあります。特に多頭飼育で生活している猫の場合は、猫の姿や形を認識しやすいです。そのため、鏡に映った自分の姿を見たときに、様々な反応をすることがあります。
社会性が養われている猫ですと、鏡の中の自分を「仲間」と判断します。そして鳴いて呼びかけたり、遊びに誘うような仕草を見せることもあります。
逆に嫉妬心が強かったり気性の激しい猫は、鏡に写った自分の姿を「外敵」や「侵入者」と感じることも少なくありません。鏡に向かって猫パンチをしている場合は、後者であると考えられるでしょう。
3.興味津々でチェック

鏡に写っているものが「猫の姿」であると認識できる場合、興味をもってをチェックすることがあります。
猫にとって、てっとり早いのがニオイの確認です。猫は嗅覚で情報収集をする生き物なので、鏡に動物のニオイがしなければ、即座に「生き物ではない」と判断するでしょう。
たとえ鏡の中の猫が動いていたとしても同じです。また、中にはニオイもしないのに猫が動くことを不思議に思うのか、鏡の裏をチェックする猫もいますね。
猫はミラーテストに合格しない

猫は、「鏡像認知テスト(ミラーテスト)」という実験に合格しないという報告があります(考案者:心理学者ゴードン・ギャラップ)。
これは額や喉の下など、猫から直接見えない部分に、ニオイのないシールをつけ、鏡を見せて反応を観察するというものです。
鏡に映った自分を見て、額に何かついていると感じれば、猫は手で触ったりこすりつけるといった行動をするはず。それは猫が「鏡に写った猫」を、自分であると理解している証拠になるというものです。
しかし、猫はこのテストに合格しないといいます。なお、合格する動物は、チンパンジーやオラウータン、ゾウやイルカなどだそうです。
まとめ

これらのことから、猫は鏡に映った姿を、自分だと理解していない可能性が高いと考えられます。
また、「猫」であると認識できたとしても、それは仲間や敵で、自分以外の猫と感じるでしょう。
なお、鏡に映った姿を見て「猫である」と理解しやすいのは、先述したように多頭飼育の環境で育った猫の割合が多いようです。他の猫と接したことがない単独飼育の猫は、どう接してよいのかわからないことが大半です。
無視したり攻撃する場合は、その気持ちの表われなのかもしれませんね。