猫が『ウールサッキング』をする4つの原因と、やめさせたほうがいい危険な理由

猫が『ウールサッキング』をする4つの原因と、やめさせたほうがいい危険な理由

猫が布や毛糸をかじったり吸ったりする「ウールサッキング」。可愛い仕草に見えても、実は健康に悪影響を及ぼす危険な行動です。本記事ではウールサッキングの意味や4つの主な原因、やめさせたほうが良い理由を解説。猫の健康と安全を守るために知っておきたいポイントをまとめました。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

ウールサッキングとは?

毛布の上で寝る猫

「ウールサッキング」とは、猫が毛布・洋服・ぬいぐるみ・毛糸などの布製品を吸う、かじる、口に含むといった行動のことです。案外よく見られるものですが、ストレス軽減や自分を落ち着かせるための「常同障害」と呼ばれる異常行動として現れる場合もあります。

子猫が母乳を吸うしぐさに似ており、一見すると愛らしい仕草に見えますが、健康面でリスクを伴うので注意が必要です。特に布の繊維を飲み込んでしまうと、消化管に詰まって腸閉塞を起こしたり、消化管を傷つけるなどの深刻なトラブルに発展することもあります。

ウールサッキングは成猫になってからも続くケースがあり、猫種や性格、育った環境によっても発現しやすさに差があると言われています。

飼い主が「甘えたいのかな?」と軽く受け止めてしまうと危険を見逃すこともあるため、正しく理解することが必要です。

猫がウールサッキングをする4つの原因

毛布を掛けた子猫

1.早期離乳

本来であれば、子猫は12週齢くらいまで母猫と共に暮らしながら社会性を身に着けていきます。

しかし、この時期に母猫や兄弟と過ごす時間が短かった場合、授乳欲求が十分に満たされず、クッションや毛布などに母親の面影を感じながら布を吸うことがあります。

特に甘えん坊や不安を感じやすいなどの性格的特徴を持った猫や、早期に母猫から引き離された猫に多く見られる傾向があり、成猫になると落ち着く場合がほとんどです。

2.ストレスや不安の解消

引っ越し、模様替え、新しいペットや人間の同居など、環境の変化は猫にとって大きなストレスとなります。

布を吸うことでストレスの解消をしたり安心感を得ようとしたりする猫も多いです。よってウールサッキングは「自己安定化行動」のひとつと考えられます。

3.猫種や性格による影響

シャムやバーミーズなどの東洋系の猫種(オリエンタル)は特にウールサッキングを起こしやすいとされています。また、依存傾向のある性格の猫にも多く見られる行動です。

4.栄養不足や健康トラブル

異食行動として布を口にすることがあります。消化器系の病気や内臓疾患が隠れているケースもあるため、単なる癖と片づけず注意を払いましょう。

ウールサッキングが危険な理由

ブランケットを舐める猫の口のアップ

毛布や布の繊維は猫には消化できません。そのためウールサッキングによって日頃から繊維を摂取していると、胃や腸に詰まって腸閉塞や消化管穿孔など命に関わるトラブルに発展する恐れがあります。

腸閉塞を起こした場合は開腹手術をして取り出すため、治療をすることにも相当な負担が猫の体にかかることになります。また、誤飲による吐き気・食欲不振・便秘・下痢といった症状が出ることもあります。

加えて、布を強く噛む習慣がつくと歯や歯茎を傷めてしまい口腔トラブルのリスクも高まるなど、決して「安心して見ていられる癖」とは言えません。

飼い主は早めに対策を取り、環境の見直しやおもちゃで遊ぶことでのストレス発散など、代替行動の提供を行うことが大切です。

まとめ

毛布を噛む猫

猫のウールサッキングは「可愛らしい癖」ではなく、不安やストレス・栄養不足・体調不良のサインかもしれません。布製品を口に含むことで誤飲や腸閉塞のリスクがあるため、決して放置せず、行動に変化がないか日々観察をしておくことが重要です。

そして、生活環境の整備や食事の見直しなど原因に応じた対策を取るようにし、適度な運動によるストレス解消にも努めましょう。

ウールサッキングの頻度が増えてきた、吐き気や元気消失が見られる、といった異変がある場合は迷わずに動物病院を受診してください。飼い主が早く気づくことが、猫の命を守る第一歩になります。

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