猫の『耳のお手入れ』サボるとどうなる?起こり得る3つのトラブルとケアのコツ

猫の『耳のお手入れ』サボるとどうなる?起こり得る3つのトラブルとケアのコツ

猫は毛づくろいが上手ですが、耳の奥までは自分でケアできません。もしも愛猫の耳のお手入れをサボると、かゆみや炎症、さらには聞こえやバランス感覚にまで影響することがあるんです。耳のトラブルは見過ごしがちですが、早めに気づけば大きな病気を防げます。今回は、猫の耳で起こりやすい3つのトラブルと、初心者でも安心してできるケアのコツをご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫の耳のお手入れをサボるとどうなるの?

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猫の耳は外からの音を集めるだけでなく、バランス感覚にも関わる大切な器官です。

そこに汚れが溜まったり炎症が起こったりすると、生活の質がぐっと下がってしまうことがあり、次のような「耳のトラブル」が起こりやすくなります。

1.耳ダニによるかゆみと炎症

耳のお手入れを怠ると、起こる可能性があるのが「耳ダニ」の繁殖です。耳ダニは小さな寄生虫で、感染すると、黒っぽいカサカサした耳垢が大量に出ます。

猫は強いかゆみに耐えきれず、後ろ足でしきりに耳をかいたり、頭を振ったりし、放置すると耳の皮膚が傷ついて細菌感染を招くこともあります。

早期に発見して動物病院で治療すれば治る病気ですが、毎日のちょっとした観察が予防につながります。

2.外耳炎による痛みと臭い

耳の中は湿気がこもりやすく、汚れが溜まると細菌やカビが増えやすい環境になります。その結果起こるのが「外耳炎」です。

猫にとって外耳炎はとても痛みを伴うもので、耳から独特のにおいがしたり、触られるのを嫌がったりすることがサインになります。

進行すると耳の奥まで炎症が広がり、治療に時間がかかることも少なくありません。人に例えると、中耳炎で耳がズキズキ痛むのに近い状態です。

見た目には小さな問題に見えても、猫にとっては生活全体を脅かす不快さにつながります。

3.難聴や平衡感覚の異常

耳のトラブルを長期間放置すると、聴力やバランス感覚に影響が出ることもあります。

猫は音にとても敏感で、物音の方向を瞬時に判断することで危険から身を守っています。その耳がきちんと機能しなくなると、外での危険回避や遊びにも支障が出てしまうでしょう。

さらに耳の奥の「内耳」は平衡感覚を司る場所です。炎症や感染がここまで進むと、まっすぐ歩けなかったり、ふらついたりすることもあります。

人でいえば、三半規管の異常でめまいが続くような感覚です。猫にとっては命に関わるほど大きなリスクになり得ます。

猫の耳ケアのコツと注意点

猫の額

耳のお手入れは、正しい方法で行うことが重要です。必要以上に頻繁に掃除すると逆に傷つけることもあるので、週に1回程度のチェックから始めるようにしましょう。

まずは、耳の中をのぞいて、黒い耳垢や赤み、においがないか観察します。汚れが見える場合は、市販の猫用イヤークリーナーをコットンに含ませ、耳の入口を軽く拭うだけで十分です。

綿棒を奥まで入れるのは耳の中が傷つきやすいため、危険なので避けましょう。もし嫌がる仕草が強かったり、明らかに異常があるときは自宅で無理せず動物病院に相談してください。

耳のお手入れは「掃除」というより「健康チェック」の一環と考えると気が楽です。人でいう歯磨きのように、習慣にすると安心感も増します。

まとめ

フローリングの上でくつろぐ猫

猫の耳はデリケートで、清潔を保つことが健康に直結します。お手入れをサボると、耳ダニの繁殖、外耳炎、難聴や平衡感覚の異常といった深刻なトラブルが起こり得ます。

毎日のスキンシップのついでに耳の様子をチェックするだけでも、大きな病気の予防につながるでしょう。

愛猫にとって耳が快適であることは、暮らしの安心と直結するものです。無理のない範囲で定期的にケアを取り入れ、快適な毎日を守ってあげたいですね。

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