いざというときのために…愛猫の『知っておくべき健康データ』5選 体温や体重…ほかには?

いざというときのために…愛猫の『知っておくべき健康データ』5選 体温や体重…ほかには?

飼い猫の体調不良にいち早く気がつくためには、健康時の状態を把握しておくことが大切です。この記事では、万が一の時に備えて把握しておくべき、飼い猫の健康データを5つご紹介します。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

1.飲水量

水を飲む猫

猫にとって飲水量の増加は病気のサインであることはご存知ですか?

飲水量が減ると心配になる飼い主さんは多い一方、飲水量が増えたことで動物病院を来院する飼い主さんは少ないです。

しかし猫に多い慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病などの病気になると、飲水量が増加します。飲水量の増加は病気のシグナルであることを覚えておきましょう。

飲み水を調べるには、計量カップを使い、まず最初に与える量を計測します。水を交換する際に残った量を計量カップで測定し、最初にお皿に入れた量から引き算することで飲水量が求められます。

飲水量が猫の体重1kgあたり60ml以上、もしくはフード内容を変更していないのに以前の2倍以上に増加するようであれば、病気のサインです。

缶詰やパウチなどのウェットフードを与えている場合は、ドライフードに比べ飲水量が少なめになります。普段の食事にウェットフードも食べている場合は、普段の飲水量を把握しておいて、そこからの増減を気にかけておきましょう。

飼い猫が普段どのくらいの飲水量なのかを分かっておくと、いざという時に迷わず動物病院を受診することができます。

2.尿量

トイレをする猫

尿量の低下やトイレの回数の増加は、猫に多い泌尿器系の病気のサインです。

猫の場合、尿量は猫砂の塊の大きさや、塊の個数で確かめます。トイレシートに吸水させるシステムトイレの場合は、商品によって吸水率が変わるため、できるだけ同じ商品を使うようにし、毎日交換してどのくらいの範囲が濡れているかを確認しましょう。

多頭飼育で1つのトイレを複数の中で共有していると、どの猫の尿なのか分からない場合もあるかと思います。

今はトイレの下に敷くと体重を測定できたり、どの猫が1日に何回排泄をしたかを自動検出し、携帯のアプリで管理できたりする商品などもあるため、有効活用することがおすすめです。

3.体重

体重計に乗る猫

猫の体重が原因もなしに短期間で急激に変化した場合、何かしらの病気のサインと言えます。

体重は普段、動物病院以外で測ることは少ないかもしれませんが、飼い猫は毎日見ているからこそ、体重の変化に気が付きにくいものです。

また、定期的に体重を測定することは普段与えているフードの量を適切に管理するためにも重要です。

成長期やシニア期に入った猫は週に一回のペースで体重を測定し、記録するようにしましょう。その他の猫も1ヵ月に1回は体重を測定しておくと、健康な時の体重が基準として分かり、万が一病気になって体重が減った際に気が付きやすくなります。

猫の体重を測る際に協力者がいる場合は、飼い主さんが体重計に乗った状態で体重計の電源をつけて0に合わせてから、猫をもう1人から受け取り、抱き抱えて測定する方法がおすすめです。

飼い主さんが1人の場合には、猫を持った状態で体重計に乗り、飼い主さん+猫の体重を測定し、そこから飼い主さんの体重を引き算することで、猫の体重を割り出すことができます。

体重は減少した時も怖いですが、実は短期間で急激に増えるのも病気のサインのことがありますので、定期的に測定し、確かめることが重要です。

4.血液検査のデータ

血液検査を受ける猫

猫が何かしらの体調不良になった際、全身の状態を知るのにまず行われるのが血液検査です。

血液検査は正常基準値があり、その範囲であれば問題はないのですが、実はその範囲内でも猫によって数値にばらつきがあります。

よって、獣医師は血液検査の結果を見るときに、正常基準値もそうですが、前回の血液検査からどのくらいの変化があるのかを重要視します。

ですので飼い猫が急に具合が悪くなった時、健康時の血液検査のデータがあると、現在どのくらいの異常が起きているのか変化が見つけやすく、診断の手助けになります。

7歳未満の猫は年に一回、7歳以上の猫は半年に一回の健康診断をおすすめしていますが、これは異常を見つけるだけでなく、万が一の時に備えて、直近の健康時の血液検査のデータを常に持っておくためにも重要なのです。

5.呼吸数

聴診される猫

動物病院で働いていると、猫の呼吸がいつもより速い気がするという主訴で来院する方は少なくありません。猫は具合が悪い時やどこかに痛みがある時、呼吸が普段よりも速くなります。

猫の安静時の正常呼吸数は、1分間で20〜30回です。しかし、この範囲にとらわれず、飼い猫の普段の呼吸数よりも速い場合には、病気のサインかもしれないと気がつくことが大切です。

自宅で猫の呼吸数を測る際には、安静時(寝ている時など)に、胸の上下運動の回数を測ります。胸が上下して1回の呼吸とカウントします。

猫は動きやすいため、15秒間測定して4倍することで、1分間の呼吸数を計算する方法が、簡単にできておすすめです。

例えば15秒間あたり5回胸の上下運動があった場合、呼吸数は1分間あたり5×4=20回となります。

呼吸は普段から意識をして測っていないと、その変化にも気が付きにくく、気がついても確信が持てずに動物病院を受診するのが遅れることが多いため、健康な時に飼い猫の正常な呼吸数を知っておくと安心です。

まとめ

撫でられる猫

飲水量、尿量、体重、呼吸数など、自宅でできる健康チェックポイントはたくさんあります。

猫の場合、体温は直腸温で測るため自宅では大変ですが、耳などは熱さがわかりやすい部位と言えます。スキンシップがてら普段の耳の熱感を意識しておくと、いざ発熱した時に気づくことができます。

猫は具合が悪いのを隠す動物です。

いつも身近にいる飼い主さんがいかにその変化に早く気づけるかが重要になってきますが、毎日見ているからこそ気づけることがある一方、毎日見ているからこそ意識しないとその変化に気が付きにくいこともあります。

飼い猫の健康時の状態を把握しておくことと共に、今回ご紹介した項目を定期的に測定して、万が一の時に備えることが大切です。

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