猫の厄介な『慢性鼻炎』原因や症状、治療法を解説 完治が難しい場合も

猫の厄介な『慢性鼻炎』原因や症状、治療法を解説 完治が難しい場合も

猫の鼻水や鼻づまりが続いていると「猫風邪かな」と思って見過ごしてしまいがちですが、実は厄介な「慢性鼻炎」かもしれません。本記事では猫に起こる慢性鼻炎の原因や症状、治療法を詳しく解説します。また、飼い主ができる対策やケアも紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫の慢性鼻炎とは?

鼻水が出ている猫

「慢性鼻炎」とは、鼻の粘膜に炎症が起こり長期的に続く状態を指します。単なる風邪とは異なり、数週間以上症状が改善せず、再発を繰り返すのが特徴です。特に、子猫時代にウイルス感染歴のある猫や高齢猫に多く見られます。

主な原因は以下の通りです。

  • 猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスなどの感染症
  • 細菌や真菌への感染
  • アレルギー
  • 腫瘍
  • 副鼻腔炎

他にも、ハウスダストやタバコの煙などの環境が要因となるケースや、原因不明の特発性鼻炎もあります。

猫の慢性鼻炎は一度発症してしまうと繰り返し発症しやすくなってしまうため、早期に適切な対処を行うことが重要です。

猫の慢性鼻炎の症状

くしゃみする猫

猫の慢性鼻炎は見た目にも分かりやすい症状が多く、以下のような兆候が見られます。

  • 鼻水(透明〜膿のような黄緑色)
  • 鼻づまりによる口呼吸やいびき
  • 頻繁なくしゃみ
  • 食欲不振(嗅覚の低下が原因)
  • 涙目、目ヤニ

鼻が詰まっていることで呼吸がしづらくなり、寝苦しそうにしていたり、ぐったりと元気がない様子も見られるでしょう。鼻の中の炎症が悪化してしまった場合は、鼻血が出る、鼻腔が変形するなど重い症状が見られることも。

症状が長引いたり悪化した場合は、自己判断せず動物病院で診てもらいましょう。

治療法と「完治が難しい」と言われる理由

ネブライザーと猫

猫の慢性鼻炎の治療は、抗生物質や抗ウイルス薬の投与、ステロイド剤や抗炎症薬による炎症のコントロール、アレルギー性の場合はアレルゲンの除去や免疫療法などが主な方法です。

治療は原因や症状の程度によってアプローチが異なり、症状が長引きなかなか改善しない時にはネブライザーで薬液を霧状にして吸入させることで炎症を抑えることもあります。

鼻炎が慢性化している場合、鼻の内部にポリープや癒着ができていることもあり、完全な治癒が難しいことが多いのが実情です。

また、猫のウイルス感染は一度感染すると体内に潜伏しやすく再発を繰り返す特性があります。こうした理由から、「完治させる」よりも「うまく付き合っていく」ことが治療の目的になることも多いです。

飼い主ができるケアと対策

鼻水が出ている猫の顔

愛猫が慢性鼻炎になってしまった場合は、家庭でのケアや生活環境の工夫が重要です。

飼い主ができる対策には以下のようなものがあります。

  • 部屋の加湿をして乾燥を防ぐ(湿度50〜60%が理想)
  • 空気清浄機の設置やハウスダストの除去でアレルゲンを減らす
  • 香水、アロマ、タバコなど刺激物を避ける
  • 鼻水が出ている場合はやさしく拭いてあげる

もし食欲が落ちているときは、温めたウェットフードやにおいの強いご飯を与えると食べてもらいやすいでしょう。

また、ストレスが鼻炎の悪化につながることもあるため、静かで安心できる生活環境を整えることも忘れないでください。定期的な通院とともに、飼い主のサポートが猫の生活の質を大きく左右します。

まとめ

撫でられる猫

猫の慢性鼻炎は一度発症すると自然に治ることが少なく、放っておくと悪化するリスクが高い疾患です。

原因は感染症やアレルギーといった疾患だけでなく、ハウスダストなどの環境が要因となるケースもあります。

「たかが鼻水」だと思わず、鼻づまりやくしゃみ、食欲不振などいつもと違う様子に気づいたら、早めに動物病院を受診しましょう。鼻炎が慢性化していても、適切な治療と自宅でのケアをすることで症状を軽減し、快適に暮らすことは可能です。

慢性鼻炎は繰り返す可能性が高いものの、飼い主の理解とケア次第で猫の負担を大きく減らすことができます。また、いざという時の早期対応が愛猫の健康を守る鍵ですので、愛猫が健やかに過ごすためにも日々の観察を欠かさないようにしましょう。

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