人気に乗って「ネコ科の大型動物」をペットにしたものの、手に負えずに手放す人が急増中 英国

人気に乗って「ネコ科の大型動物」をペットにしたものの、手に負えずに手放す人が急増中 英国

英国では、映画やSNS上の映像のかわいさに惹かれて野生のネコをペットにしたものの、手に負えずに手放す人が増えて問題になっています。専門家は法整備が必要だと訴えています。

野生動物ブームに乗って…

野生のオオヤマネコ

画像はイメージです

映画やネット上の映像に惹かれて「大型のネコ科動物」をペットにしたものの、手に負えなくなって手放すケースが英国で増えています。

Born Free 団によると、英国には300匹以上の大型ネコ科動物がおり、その多くは動物園ではなく一般家庭で飼育されているというのです。

リンカンシャー州ボストン近郊で野生動物保護施設「The Ark Wildlife Sanctuary」を運営するJamie Mintramさんは、「SNSがこのブームをあおっています。加えて映画で人気を集めた動物がペットとして求められることも影響しています」と話します。

「YouTubeやFacebook、Instagramの投稿がきっかけになって、エキゾチックなヤマネコが大変な人気になりました。コロナ禍のときにドキュメンタリー映画『Tiger King』が公開されて以来、こうした傾向が強まっています。英国ではトラを飼うことは禁止されているので、代わりにサーバルキャットやオオヤマネコといった野生のネコを求める人が多くいるのです」

「飼育の難しさ」を理解して

動物園で飼育されるリンクス

画像はイメージです

「でもこうした野生動物は複雑なニーズを持っており、飼育が難しいのです。人々はSNS上で『かわいい』『めずらしい』と自慢するために購入しますが、大型のネコ科動物は家猫のようには扱えません」と話すJamieさん。

「抱っこされることも、ソファで飼い主に寄り添うことも嫌がります。飼い主は、理想的なペットではないと気づいて無責任に放棄するのです」

Jamieさんは、「CMの影響でミーアキャットの飼育数が急増した」とも指摘しています。

「この施設では、ヤマネコなどのほかにも爬虫類やキツネ、ワラビー、ジャングルキャットまで保護しています」

保護施設で暮らすサバンナキャットのFlerkenは、アフリカヤマネコと飼い猫の混血種で、約5年前に違法に輸入された後、国境警備隊に押収されました。Jamieさんによると、飼い猫の3倍の大きさにまで成長するこの品種は、1万6000ポンドから2万ポンド(約315万円から400万円)もの値がつくそうです。

別の保護施設には、マンチェスター地域のオールダムで飼育されていたアフリカサーバルキャットのAnubisがいます。このようなサバンナの野生動物を飼育するのがいかに大変かは、ネットで少し調べただけでも、すぐわかるはずなのですが…。

法整備による対応が急務

猫と裁判官の槌イメージ

画像はイメージです

Born Free財団の飼育調査・政策マネージャーChris Lewisさんは「現行法では、ペットとしての野生動物の需要増加に対応できず、安易に売買される動物たちを守ることができません。野生動物のペットとしての飼育と販売を規制する法律を早急に見直す必要があります。あわせて、家庭で飼育できるペットの許可リストを作成すべきです」と話します。

ペットは、飼い主の単なる自慢の対象であってはなりません。「野生動物を飼う」流行が一時的なもので、すぐに収束することを願いたいものですね。

出典:Exotic pet ownership SURGES in UK with more than 300 dangerous big cats living in regular homes

スポンサーリンク