猫にも『肛門腺絞り』は必要?お尻のケアが必要なときやお手入れ方法を解説

猫にも『肛門腺絞り』は必要?お尻のケアが必要なときやお手入れ方法を解説

猫の”肛門腺”や”肛門腺絞り”という言葉を聞いたことがありますか?「肛門腺って?」「実はよく分からない」という方もいるのではないでしょうか。肛門腺の仕組みやケアの方法を学んでいきましょう!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の肛門腺とは?

2匹の猫

肛門腺とは、肛門の左右(時計に例えると4時と8時の方向)にある器官のことです。内部には「肛門嚢(こうもんのう)」と呼ばれる袋があり、ここに特有のニオイがするドロッとした分泌液(肛門腺液)がためられています。

猫だけでなく、犬やブタなどにもこの肛門腺があり、動物同士がお尻のにおいをかぎ合って情報交換したり、自分のなわばりを主張したりするための“コミュニケーションツール”としての役割があると考えられています。

肛門腺絞りは必要?

猫のお尻

犬は、シャンプーやトリミングなどのタイミングで定期的に肛門腺絞りをすることがありますが、猫の場合、肛門腺にたまった分泌液は、うんちのときなどに自然に排出されます。そのため、基本的には人の手で絞る必要はないといわれています。

一方で、運動不足や肥満、高齢などの理由で、分泌液がうまく排出されずにたまってしまうことがあります。

そのまま放置すると、肛門嚢が炎症を起こしたり、肛門嚢が破裂したりしてしまうトラブルにつながることもあるため、注意が必要です。

肛門腺トラブルのサイン

毛づくろいをする猫

以下のような様子が見られたら、肛門腺に異常があったり、分泌液がたまっていたりする可能性があります。

お尻を床にこすりつける(スリスリ、ズリズリ動く)

お尻を床につけて後ろ足を持ち上げて前足だけで歩く様子が頻繁に見られたら、お尻にかゆみや違和感があるサインです。

お尻を舐めたり噛んだりする

お尻をやたらと舐めたり、噛んだりして気にしているようであれば、違和感や軽い痛みを感じている可能性があります。

肛門のあたりが赤く腫れている

炎症や細菌感染を起こしている場合、肛門の周囲が赤く腫れたり、膿が出ていたりすることがあります。

こうした症状が見られたら、まずは動物病院を受診し、獣医師に相談しましょう。

肛門腺の絞り方は?

子猫と獣医師

分泌液がたまりやすい場合は、定期的に肛門腺絞りをする必要があります。自宅でもケアを行うことができますが、必ず獣医師の指導を受けたうえで行ってください。

まずは猫を落ち着かせて、優しく声掛けをしながら動かないようにしっかりと支えます。しっぽを上に持ち上げて、もう一方の手で肛門の下側(4時と8時の位置)を優しく押しましょう。

親指と人差し指でつまむようにしてゆっくり圧をかけると、肛門腺から分泌液が出てきます。動物用かノンアルコールのウェットティッシュで分泌液を拭き取り、肛門や周囲の毛もきれいに拭きあげて終了です。

ただし、お尻は猫にとってもデリケートなゾーン。嫌がっているのに無理に触ろうとすると、人も猫もけがをしたり、信頼関係を損ねてしまったりすることも。不安があれば、動物病院で絞ってもらうのもひとつの方法です。

まとめ

お腹を見せる猫

猫の肛門腺は、通常は自然に分泌液が排出されるため、特に異常がなければケアの必要はありません。
ただし、体質や体調などによっては分泌液がたまって、トラブルが起こることもあります。

肛門を気にする様子が見られたら、まずは動物病院で診てもらい、自宅での肛門腺絞りは、正しい方法を学んだうえで、無理のない範囲で行ってください。

猫のお尻のケアは、ちょっと地味だけど大切な健康管理のひとつ。日ごろからチェックして、猫の快適な毎日をサポートしてあげましょう。

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