猫に『海苔』をあげても大丈夫?与える際の注意点や体への影響を解説

猫に『海苔』をあげても大丈夫?与える際の注意点や体への影響を解説

「海苔」は、私たちにとって健康にも役立つおなじみの食材です。では、猫の場合ではどうなのでしょうか?今回は、「海苔」が猫の身体にどんな影響を及ぼすのか、あたえる際の気をつけるべきポイントとあわせて解説します。

SupervisorImage

記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

少量なら与えてもOK!

焼き海苔

「海苔」は、「海の野菜」と言われるほど、栄養価の高い食べ物です。タンパク質をはじめ、ビタミンA、ビタミンC、ミネラル、鉄分、猫の目と心臓の健康に欠かせないタウリン、抗炎症作用のあるEPA(エイコサペンタエン酸)などが豊富に含まれています。

結論から言うと、少量であれば、猫に「海苔」を与えても問題ありません。猫が「海苔」を適量食べると、皮膚や被毛の健康維持、免疫力向上、抗酸化作用などが期待できます。

「海苔」の種類に関しては健康を害する恐れもあるため、味付け海苔は絶対に避け、必ず焼き海苔を選んでください。与える際は、愛猫の喉を詰まらせないように、細かくちぎることが鉄則。毎日というよりも、週に一度程度の特別なおやつとして位置づけたほうが無難です。

気をつけたいのは、ミネラル類の量

ミネラルの積み木

愛猫に「海苔」を出すときに注意したいのは、ミネラル成分の摂取量です。

「海苔」にはマグネシウムやカルシウム、リン、ナトリウムなどのさまざまなミネラル成分が入っています。健康に問題がない猫であっても、過剰なミネラル成分を習慣的に摂取し続けると、命に関わる悪影響を及ぼすこともあります。

たとえば、マグネシウムを取りすぎた場合、「ストルバイト結石」ができるリスクが高まります(カルシウムの場合は、シュウ酸カルシウム結石)。この病気は再発しやすいのが特徴で、放置すると尿道閉塞や急性腎不全につながりかねません。

同じように、リンやナトリウムの過剰摂取はそれぞれ、尿石症や腎臓の機能低下、心臓病や腎臓病の悪化を引き起こす可能性があります。

愛猫の健康を守るためにも「海苔」を食事のレパートリーに加えるときは、常食とするキャットフードに含まれるミネラル成分量もあわせて計算することが大切です。もし不明な点があれば、信頼できる獣医師さんに一度相談してみてください。

他の海藻類はどう?

海ぶどう

では、最後に、他の海藻類は摂取しても良いのか、念のために確認しておきます。

まず、和食に欠かせない「昆布」ですが、茹でたものを少量ぐらいであれば、食べても大丈夫です。ただし、「昆布」に含まれる「ヨウ素」を過剰摂取すると、甲状腺機能亢進症を誘発する恐れもあるため、注意してください。

続いて、みそ汁の具としてもポピュラーな「わかめ」は、「昆布」と同様に、「ヨウ素」がたくさん入っているので、フードのトッピング程度に留めるべきです。与える場合は、さっと茹でて小さく刻んでから提供するようにしましょう。

煮物でおなじみの「ひじき」については、乾燥したものを直接与えることはNGで、水に戻して茹でるひと手間が肝心です。また、沖縄料理で定番の「海ぶどう」も気になるところですが、「ヨウ素」と塩分の含有量が多いので、避けたほうが賢明です。

上記で挙げた海藻類全般に共通して言えるのは、栄養豊富な一方で、猫の健康に必須な食材ではないため、無理して食べさせる必要はない、という点です。海藻類は、猫にとっては消化しづらく、過剰摂取すると、さまざまな健康被害をもたらす可能性があります。

どれだけ与える場合であっても週に一度の頻度で、毎回少量程度に留め、子猫やシニア猫、さらに腎臓病や甲状腺機能低下症などの持病のある猫には、絶対に食べさせないようにしましょう。

まとめ

巻き寿司の前に佇む猫

結論から言うと、少量であれば猫に「海苔」を与えても構いません。タイミングの目安としては、週に一度与えるのが理想的です。

本文でも触れましたが、「海苔」などの海藻類には、過剰摂取すると猫の身体に害を及ぼすリスクがあります。いつものキャットフードで間に合っているのなら、あえて食べさせることもありません。

私たちの身のまわりにはいろいろな食べ物があります。なかには、猫にとって危険なものもあるため、飼い主さんは事前にある程度、把握しておくことが大切です。もし食材について疑問点があったら、かかりつけの動物病院に相談してみてください。

スポンサーリンク