1.ごはんや飲み水の近く

トイレの近くにごはん皿・水皿を置いておくのは、猫も不快感からストレスを感じてしまいます。ただし、猫がトイレと食べる場所が近いのを嫌うのは、清潔好きだからという理由だけではないようです。
野生時代から猫は、狩りをして食べる場所や身体を休める場所、排泄の場は、それぞれ別々にゾーン分けをしていました。
捕食者である猫にとって、排泄場所のニオイで獲物に警戒されるのは、狩りの成功率を下げるリスクになります。また、被捕食者としては、排泄場所の近くに停滞して過ごすことは、天敵に狙われる危険を含んでいます。
現在の猫たちも、リスク回避の本能が残っています。もし、トイレの横で食べたり飲んだりする猫がいたら、それは空腹感に耐えかねて食べているだけかもしれません。
2.人の通り道

排泄中は、ふだんより警戒心が少し高くなるため、頻繁に人が通るような場所はトイレを置く場所として適切とはいえません。猫が落ち着いて排泄できなくなるおそれがあるからです。
玄関や廊下は人が歩き回るので、猫にとってはストレスの大きい環境です。来客時のインターホンなどで驚いた経験があると、怖がってトイレを我慢するようになることもあります。
トイレそのものを避けるようになってしまうと、粗相などの問題行動や、膀胱炎や便秘などの体調不良を招く原因になりかねません。
猫が安心して用を足せるよう、できるだけ人目を避けられる静かな場所に設置するのが理想です。部屋の中に置く場合でも、パーテーションや家具の陰など、視線が遮られる場所を工夫してあげるのもよいでしょう。
部屋の広さなどの問題から、距離をとるのが難しい場合は屋根付きのトイレにしてあげるなどの対策をとっても良いでしょう。
3.湿気の多い場所

お風呂場や洗面所など高湿度の場所に猫のトイレを置くと、湿気を吸って猫砂の機能が低下するという問題が起こります。湿った猫砂は固まりにくくなり、尿の吸収力が落ち、ベタついたまま残ってしまうことがあるため、汚れやニオイの原因になります。
神経質な猫だと、ニオイが残っていることにストレスを感じて、トイレを避けるようになる原因になることも。その結果、トイレ以外での排泄や、排泄を我慢する行動につながり、膀胱炎や便秘などの健康リスクを高めてしまいます。
湿度が高い場所では細菌やカビなどが発生しやすくなり、衛生環境も悪化しやすくなりますので、湿気の多いところは避けましょう。
4.押し入れなど換気の悪い場所

一見「静かで落ち着けそう」と思える場所でも、クローゼットや狭い収納内などでは換気が悪くなります。空気が回らないことでニオイがこもりやすく、猫にとって不快な環境になります。
特にクローゼット内などは通気性が悪く、湿気がたまりやすい場所です。梅雨や夏場はトイレ内の湿気が逃げにくく、ふだんよりもニオイの問題が発生しやすくなります。また、猫砂が湿気を吸って劣化しやすくなり、快適に使えなくなってしまいます。
雑菌やカビ類も繁殖しやすくなるため、衛生問題としてリスクがあります。持ち家であれば中に換気扇を付けるなどの工夫もできますが、基本的には、トイレは風通しのよい場所を選びましょう。
5.直射日光があたる場所や暑すぎる場所

もし、すでにトイレを置いている場所が、直射日光が当たる場所や極端に暑くなる場所であれば、ほかの場所に移動したほうがよいでしょう。
とくに夏場は、日差しでトイレの中が高温になり、猫砂が熱を持ってしまいます。猫は肉球で温度を感じるため、熱くなった砂に触れることを嫌がるかもしれません。
トイレ砂が熱くなりすぎると、猫がトイレを我慢してしまう危険性もあります。高温な部屋での排泄は、高齢猫や便秘になりやすい猫にとっては、健康リスクさえあるのです。
猫にとって快適な温度環境を保てる場所を選ぶことが、トイレトラブルを防ぐうえでとても大切です。
まとめ

住宅はあくまでも人間用に作られているので、飼い猫のトイレを住まいのスペースの都合だけで決めてしまうと、どうしても「余っている場所」に置きがちになります。
しかし、その場所が猫のトイレを置いておくのに最適かどうかは別の問題。猫にとって「排泄がストレスなくできるかどうか」や「トイレの管理に問題がないか」なども確認しておく必要があります。
トイレの置き場所として最適なのは、人の動線から離れた静かで落ち着ける場所や、風通しのよい場所です。たとえ、リビングの一角であっても、仕切りを設けるだけでもだいぶ違うでしょう。もちろん、熱環境(暑い、寒い)にも注意しましょう。
猫が毎日ストレスなく快適に用を足せるよう、できる範囲で工夫してあげましょう。