猫が『部屋の中をパトロール』する5つの理由 場合によっては病気のサインかも

猫が『部屋の中をパトロール』する5つの理由 場合によっては病気のサインかも

猫が家の中を何度も歩き回る“パトロール”行動。習慣のように繰り返されるこの動きには、猫特有の本能や心理状態が関係しています。なかには健康や環境への不満を示すサインである可能性も。本記事では、猫が部屋の中をパトロールする5つの理由を解説し、注意が必要なケースについても触れていきます。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫が『部屋の中をパトロール』する5つの理由とは?

部屋の中を歩き回る猫の姿

ふと見ると、愛猫が静かに部屋の中を行ったり来たりしている…。まるで小さな“警備員”のようなこの行動、実は猫の本能や感情、さらには体の不調が関係していることもあるんです。

今回は、猫が部屋の中を巡回する理由を5つに分けてご紹介。健康面で注意すべきサインについても解説します。

1.テリトリーを守るための本能的な行動

猫は「自分の縄張り」に強いこだわりを持つ動物です。そのため、毎日のように室内をチェックして、異常がないか、他の動物が侵入していないかを確認しているのです。

  • 引っ越し直後や模様替え後には巡回頻度が増える
  • 窓際でじっと外を監視するのも、縄張り意識のあらわれ

これは完全室内飼いの猫にもよく見られる自然な習性で、健康的な行動のひとつといえるでしょう。

2.環境の変化による不安やストレス

来客があった、家具の位置が変わった、新しい家族が増えた…このような“変化”に敏感なのが猫です。

環境が変わると猫は安心できるかどうかを確かめるように、部屋中を歩き回ります。場合によっては落ち着かずにうろうろし続けることも。

  • トイレや食事スペースの移動後もパトロールが増える
  • しきりに匂いを嗅ぐ、隅々までチェックする様子が見られる

環境ストレスが原因の場合は、猫の行動を観察しながら、できるだけ落ち着ける空間を整えてあげることが大切です。

模様替えの際は、特に猫のトイレや水場、食事の場所など、猫のための場所は全てを急に変えず、元の設置場所を残した状態で「新しく増やす」方がストレスは軽減できます。どうしても移動させなければならない場合は、数日かけて少しずつ場所をずらしていくなど、猫にとって急激な変化とならないよう気を配ってあげましょう。

3.飼い主の様子をチェックしている

猫にとって、飼い主は信頼できる存在であり、同時に“観察対象”でもあります。飼い主の行動を確認したり、あとをついて回ったりするのも、広い意味での「パトロール」です。

  • 飼い主が移動すると後ろからついてくる
  • ドアの開閉音や足音に敏感に反応する

これは愛情の証でもあり、安心したいという気持ちのあらわれ。「今、どこにいるの?」と確認しに来ているのかもしれません。

4.退屈しのぎやルーティン行動

猫は賢く、同じ環境に長くいると刺激が足りなくなりがち。その結果、部屋を歩き回ることが“日課”になっていることもあります。

  • パトロールが終わるとお気に入りの場所でくつろぐのが習慣
  • 若い猫や好奇心旺盛な性格に多く見られる

ただし、特定の場所を何度も往復したり、不自然な動きを繰り返したりする場合は、注意が必要です。過剰な場合は常同障害などの病気や、何らかの異常のサインかもしれません。

5.認知機能の低下や体調不良の兆候

特に高齢猫で、夜中に理由もなく歩き回る、同じ場所ばかりチェックするなどの行動が見られる場合は、認知機能の低下(いわゆる猫の認知症)や甲状腺の病気などが疑われます。

  • 鳴きながらウロウロする
  • 落ち着きがなく、方向感覚が鈍くなる

このような様子が増えてきたら、単なる癖とは片づけず、早めに獣医師に相談しましょう。

愛猫のパトロールと上手につきあう工夫

お気に入りの場所でくつろぐ猫

パトロール行動は猫にとって「安心」を得るための大切なルーティンです。過度に制限せず、安心できる環境作りでサポートしてあげましょう。

環境の変化は“少しずつ・段階的に”行う

猫は変化が苦手な生き物です。家具の配置換えや引っ越し、新しい家族の増加などは、猫にとって大きなストレスになります。

  • 新しい家具は一気に設置せず、1つずつ導入
  • 引っ越し後は1部屋ずつ慣らしていく
  • 来客などの際に猫が安心できる「避難スペース」を常に用意しておく

環境が急変するとパトロール行動が過剰になることがあるため、変化はできるだけ緩やかに進めましょう。

隠れられるスペースを確保する

猫は「自分だけの安心できる場所」があることで、落ち着いて過ごせます。

  • 押し入れの下段やベッドの下、段ボール箱など
  • トンネル型のベッドやキャットハウスもおすすめ
  • 家の中に“人の目につかない”静かな場所をつくる

こうしたスペースがあれば、猫はパトロール後にそこへ戻って休み、心の安定を保てます。

特に多頭飼いや子供のいる家庭、来客が多い場合などは各所に十分な隠れ場所を設けておきましょう。

健康チェックをこまめに行う

パトロール行動が明らかに増えた・異常な動きが見られる場合は、体調不良のサインかもしれません。

  • 食欲の変化、トイレの回数、毛づくろいの頻度などもチェック
  • 年1回以上の健康診断は必ず受ける
  • 自宅での体重や体型チェックを定期的に行う
  • 特に高齢猫は、認知機能の変化に注意

「最近ずっと歩いているな」と思ったら、まず体の不調を疑ってみることが大切です。

まとめ

リラックスする猫

猫が部屋の中を歩き回る行動には、縄張りを守る本能や安心感を求める気持ち、時には不調のサインまで、さまざまな理由が隠れています。

「なんだかよく歩いているな」と思ったときは、愛猫の心や体に寄り添うチャンスかもしれません。日々の“パトロール”を温かく見守りながら、猫にとって快適で安心できる暮らしを一緒に築いていきましょう。

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