猫の膀胱炎とは?よくある症状と特発性膀胱炎(FIC)

猫の下部尿路疾患は、膀胱や尿道に起こる病気の総称です。結石や細菌感染、腫瘍など明確な原因がある場合もありますが、多くは原因が特定できず、「猫特発性膀胱炎(FIC)」と診断されます。FICは猫の下部尿路疾患の中でも最も多いタイプで、再発率も高く、1年以内に65%の猫が再発するとも報告されています。
FICの主な症状は以下のとおりです
- 血尿(血が混じった尿)
- 頻尿(1日に何度もトイレに行く)
- 排尿困難(時間をかけて少量しか出ない)
- 異常な場所での排尿(例:トイレ以外でのおしっこ)
- 痛みを伴う排尿(鳴く、落ち着かない)
症状は突然現れ、軽度で自然に治ることもありますが、慢性的に繰り返すこともあります。
ストレスが膀胱炎の再発を招く?環境要因と食事の見直し

FICの原因はまだ完全には解明されていませんが、ストレスが大きな要因と考えられています。引っ越し、新しいペットの導入、大きな音など、些細な変化も猫には大きなストレスです。
環境管理でできることとして、以下が挙げられます。
- 静かで落ち着けるスペースの確保: 高い場所や隠れ家を設ける
- トイレの最適化: トイレは頭数+1以上が基本。清潔に保ち、場所も複数設置
- 刺激のある日常: 窓の外が見える場所や、おもちゃで遊べる時間を確保する
また、FICの再発予防において、水分摂取の増加が極めて有効であることが研究で示されています。水分を多く摂ることで尿が薄まり、膀胱粘膜への刺激が減少するためです。
さらに、最新の研究では、α-カソゼピンやL-トリプトファンを配合した「ストレス対応療法食」が再発率を大幅に下げる効果があることが報告されました。
調査では、一般的なフードを与えた猫の再発率が78.6%だったのに対し、ストレス対応フードを与えた猫では29.4%と、有意な差が認められました。
この療法食には、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)やビタミンEも豊富に含まれており、抗炎症作用も期待できます。特にウェットタイプの食事は水分補給に優れており、再発予防にはより効果的です。
症状が出たら?再発時の対応と獣医師への相談のタイミング

軽度のFICは1週間程度で自然に治まることもありますが、油断は禁物です。以下のような状況ではすぐに動物病院を受診しましょう
- 排尿が全くできない(尿閉)
- 強い痛みで鳴き続ける
- 繰り返す血尿や頻尿
- 嘔吐や食欲不振を伴う
FICの診断は「除外診断」であり、しっかりと診断するには他の疾患を否定するために尿検査・血液検査・超音波検査などを行うことが必要です。症状が再発するたびに自己判断で対処するのではなく、獣医師の指導のもと、長期的な予防計画を立てることが鍵です。
治療初期には抗炎症薬や痛み止めの使用が必要となることもありますが、多くの場合は環境改善と適切な食事でコントロールが可能です。症状が軽いうちに対処し、ストレス要因を取り除くことが、猫の生活の質(QOL)を守ることにつながります。
まとめ

再発しやすい猫の膀胱炎には、ストレス管理と食事の見直しが欠かせません。早期の対処と予防を心がけ、愛猫の健康を長く守りましょう。