︎1.飲み込みやすいあげ方を理解する

初めに、おやつなどを使用せず、そのまま薬を投薬する際のポイントをご紹介します。
まず猫を動かないように固定することが大切です。猫は包まれていると安心する動物のため、香箱座りの状態で、バスタオルなどで手が出ないように全身を包んであげましょう。
1人で投薬する場合は包んだ猫を後ろから片腕に挟むような形で行います。床よりもテーブルなどの高い場所でやるとやりやすいです。
錠剤はなるべく喉の奥に薬を入れることがポイントです。猫をやや上に向かせた状態で、喉の奥に薬を落とすような形を意識しましょう。難しい場合には、市販の投薬棒やピルガンを使用しましょう。
薬を入れたら、口を閉じます。この時に鼻に息を吹きかけたり、喉をさすったりすると飲み込んでくれやすくなります。
粉薬は水に溶かして液体にし、シリンジで与えます。この時になるべく少量の水で溶かすことが、飲む量を少なくするのに大切なポイントです。
薬の準備ができたら、同じく猫をタオルで包み抑えます。猫の犬歯の後ろにはやや隙間があるため、液体の薬はこの隙間を利用します。
この隙間から口の中に薬を入れるようにすると、猫が口を開けなくても与えることができるためオススメです。
猫が驚かないように少しずつあげるようにしましょう。
︎2.形状を変える

処方されるお薬は、薬の種類や投与量などによってさまざまです。
飲みにくい形のお薬が処方されてしまっても、実はほとんどのお薬は、工夫次第で形状を飼い主さん自身で変化させることができます。
例えば錠剤のお薬の場合、すり鉢やスプーンの裏を使って潰すことで粉薬に変えられますし、それを水に溶かせば液体のお薬に変えることができます。
また、大きい粒が苦手な猫は100均のピルカッターを使って小さくしたり、逆に薬の種類がたくさんあって大変な場合は、カプセルにまとめて入れて1つの粒にすることもできます。
カプセルのお薬は、中身を出して粉薬として与えたり、それを水に溶かせば液体のお薬に変えることができます。
しかし薬の性質によって形状を変えてはいけない場合もあり、全てのお薬が砕いたり、カプセルから出したりして良いわけではないので、獣医師に相談してからにしましょう。
︎3.風味を変える

液体のお薬は形状を変えるのが難しいですが、風味を変化させることで喜んで飲んでくれる場合もあります。
1回分の薬を容器に出し、鰹節などを少量入れてかき混ぜ、液体に風味をつけます。こうすることで猫の好きな香り付きの液体のお薬になるので、猫が飲みやすくなります。
ただし病気によっては使ってはいけない食材もありますので必ず獣医師に相談しましょう。
︎4.隠しやすいおやつを理解する

次におやつを使った投薬の方法をご紹介します。
錠剤の形でおやつに隠す場合、大切なのは猫にバレないようにすることです。猫用チーズや市販の投薬補助おやつなど、包みやすく、かつ味や匂いの濃いおやつを利用し、猫にバレないようにしましょう。
粉薬や液体の薬でおやつを使用する場合には、ペースト状のおやつに混ぜるのが特におすすめです。
猫が自分から食べてくれれば一番ですが、そうでなくても、ペースト状にすることで飼い主さんが猫にあげやすくなります。
猫の口を開けて上あごに塗りつけてあげると、猫は自然と飲み込んでくれます。口を開けるのが難しい場合には、鼻と口の間や鼻の上に少しずつ塗りつけることで、猫が自然と舐め取ってくれる方法もあります。
この方法は錠剤でも潰して粉状にすることで行えるので、猫には特におすすめです。
︎5.毛づくろいを利用する

それでも難しい場合には、猫の毛づくろいを利用した方法がおすすめです。
ペースト状のおやつに混ぜた薬を、猫の前足の先につけます。猫は綺麗好きな動物のため、体についたお薬を毛づくろいして、舐め取ってくれることが多いです。
しかし、心臓の薬や発作止めの薬など厳密に量が調節されているお薬では、この方法は利用できませんので注意しましょう。
︎6.演技も大切

猫に薬をあげる際には、猫の心理を理解することも大切です。
おやつに隠したり混ぜたりして与える場合には、薬を入れる様子や薬を取り出す音が猫に気づかれない場所で準備を行い、他のおやつと同じ場所から持ってきたように見せましょう。
また、初めて与える前には、まずは薬の入っていない状態で普通におやつを与えます。何回か普通におやつを与えてから、薬入りおやつを忍ばせることで、猫に気づかれにくい状態でお薬を隠すことができます。
投薬専用のおやつを作らず、普段と同じおやつを与えることもポイントです。
そして、猫はとても観察力が高く、飼い主さんの不安やストレスをすぐに感じ取ります。毎日の投薬はとても大変ですが、投薬する際には、演技するくらいの気持ちで猫に薬だとバレないように、飼い主さんが楽しそうに行うことも意外と大切です。
︎まとめ

これらの方法を試してもどうしても投薬が難しい猫も少なくないと思います。
投薬は毎日のことなので、それが飼い主さんにとっても猫にとってもストレスとなると、お互いにその時間が辛くなってしまいます。
そんな時には無理せず動物病院に相談しましょう。
投薬してもらうためだけに毎日通う方もいますし、動物病院でも投薬するのが難しい場合には、かわりに注射で代用できることもあります。
猫の中で飼い主さん=嫌なことをする人、自宅=嫌なことをされる場所となる前に、まずは動物病院で気軽に相談してみてください。