愛猫から『変な匂い』がするときの4つの理由 病気のサインの場合も

愛猫から『変な匂い』がするときの4つの理由 病気のサインの場合も

猫はほとんど体臭がない動物です。そのため健康な猫であれば、匂いがすることはまずありません。しかし、なんらかの問題が生じたとき「いつもと違う変な匂いがする」と感じることがあります。今回は、猫から変な匂いがするときに考えられる原因を紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.口腔内のトラブル

あくびをする猫

猫の口から強い匂いがする場合、口腔内のトラブルが疑われます。歯石の蓄積や歯周病、口内炎などが進行すると、腐敗臭のような口臭が出ることがあるのです。猫の口腔内トラブルは年齢を重ねるほどにリスクが高くなり、3歳以上の猫の80%が歯周病を患っているとも言われています。

歯周病を予防するには、日頃から歯磨きやデンタルケアを習慣づけることが重要です。

また、慢性腎臓病や糖尿病といった全身性の病気が原因で、アンモニア臭や甘ったるい匂いが口から発せられることもあります。頻繁に匂いを感じる場合は「なんか臭う」で済ませずに、動物病院を受診しましょう。

2.お尻の汚れ・肛門腺の異常

お尻を舐めている猫

猫は通常、トイレの後に自分でお尻をきれいにしますが、体調不良や肥満、高齢化などでうまく舐められない場合、肛門まわりに汚れが残ることがあります。とくに、下痢や軟便が続いたあとは、便が被毛にこびりつき、強い悪臭を放つ原因になり得るでしょう。

また、肛門腺に溜まった分泌物が原因となる場合もあります。肛門腺の分泌物は、通常は排便と同時に排出されますが、うまく排出できずに溜まってしまうと、魚が腐ったような独特の匂いを感じることがあります。

お尻の異常は猫にとって不快なうえ、肛門腺炎などの病気につながる恐れもあるため、定期的なチェックとケアが必要です。

3.脂漏症

毛づくろいをする猫

猫の脂漏症は皮脂が過剰に分泌されることで起きる「油性脂漏症」と、皮脂の分泌が減少することで起きる「乾性脂漏症」があります。

このうちの油性脂漏症が、猫の体臭がきつくなる原因のひとつになるのです。油性脂漏症になると、体臭の変化以外にも被毛や皮膚が油っぽくなり、ベタつくようになります。

もし、愛猫の体臭がきつくなった、体がベタベタするなどの症状が気になったら、早めに動物病院を受診し相談するようにしましょう。

猫の脂漏症の原因の多くは、アレルギーや内分泌異常、皮膚の感染症などの疾患です。そのため、脂漏症への対処法は、原因となる疾患の治療となります。

4.生活環境が不衛生

トイレで寝転ぶ猫

健康な猫でも生活環境が不衛生になれば、体に不快な匂いが移ってしまうことがあります。

たとえば、トイレ内の排泄物が残っている、ベッドや毛布を長期間洗っていないという場合は要注意です。生活環境の汚れは雑菌の繁殖を招き、猫の体臭の原因ともなります。

また、湿気が多いとカビやダニなどが繁殖しやすくなり、皮膚トラブルの原因にもなりますので油断できません。

猫が毎日使うものは、こまめに洗濯して清潔に保ちましょう。

猫の匂いが変化した際に気をつけたい病気は?

診察中の猫

猫の匂いが急に変わったときは、見逃してはいけない病気が潜んでいるかもしれません。たとえば、以下のような病気で匂いが変化している可能性があります。

  • 歯周病、口内炎
  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病
  • 外耳炎、中耳炎
  • 肛門腺炎

匂いの変化は、猫の健康状態の変化を知らせる大切なサインです。匂いに気づいたら放置せず、早めに動物病院で診察を受けましょう。

まとめ

窓辺で見つめ合う女性と猫

猫からいつもと違う匂いがするときは、体からのサインかもしれません。口臭やお尻の汚れ、皮膚の異常、生活環境など原因はさまざまですが、放置すると病気が進行してしまうリスクもあります。

猫は自分で不調を訴えることができないため、飼い主さんが日々の変化に敏感でいることがとても大切です。定期的な健康チェックに加えて、体の匂いや被毛の状態をこまめに観察し「なんとなく変だな」と感じたら、早めに動物病院へ相談しましょう。

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