『雨の日の猫はよく寝る』は本当?そう言われる3つの理由 迷信じゃないかも?

『雨の日の猫はよく寝る』は本当?そう言われる3つの理由 迷信じゃないかも?

昔から猫にまつわる逸話は尽きません。今回は、雨の日の猫=たくさん眠る、という一般的なイメージがなぜ定着するようになったのか、3つの視点から解き明かしてみます。ぜひ最後まで読んでみてください。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

1.野生本能が作動するから

眠りこけるキジトラ猫

猫は1日平均で12~16時間ほど眠ります。ほとんど寝て過ごしていると言っていいわけですが、雨の日になると、いつにも増して睡眠時間が長くなりがちです。

もともと猫は狩りによって命をつないできた動物です。野生下では、雨が降ると、必然的に獲物の動きが停滞し、狩りのチャンスが減ってしまいます。下手に動き回ったあげく、くたびれてしまったら、それこそ体力の無駄遣いです。

同時に、起源をさかのぼれば砂漠地帯出身ということもあって、猫は基本的に雨に濡れるのを嫌います。雨でびしょびしょになると、身体が冷えるうえに体力も奪われます。弱ったところを天敵に襲われれば、命を失いかねません。

雨の日は、できるだけ濡れない場所に避難し、天気の回復を待ちながら、体力温存のためゆっくり休む――それが野生下における猫の鉄則です。みなさんの愛猫にも、昔ながらの習性がしっかり受け継がれています。

2.低気圧の影響で副交感神経が優位になるから

窓際でひとり眠る茶白猫

みなさんも雨の日になると、何となく身体がだるくなることがあるかもしれません。

私たち人間と同様に、猫にも交感神経と副交感神経があります。

簡単に言えば、交感神経は「戦闘モード」、副交感神経は「リラックス・モード」です。低気圧が近づいて雨が降ると、猫の場合でも、副交感神経が優位に働いた結果、身体の緊張が緩み、眠たくなってくる可能性があります。

おうちで暮らす猫の場合、美味しいゴハンが常に用意されているので、雨の日に狩りに出かける必要もありません。

晴れの日は「狩り(活動)」、雨の日は「お休み」といったように、野生時代から培った、メリハリのあるスケジュール管理のもと、雨が降り始めれば、まるでルーティンのごとく、猫はさっさと眠ります。

これもまた生存戦略のための猫なりの知恵なのでしょう。

3.シニア猫や腎臓病の猫は雨の日がつらい

しんどそうに座り込むスコティッシュフォールド

前述したように、雨の日に猫がよく眠るのは、生まれつきの野生本能や副交感神経が優位に働くからで、健康上それほど心配はいりません。

ただし、シニア猫や腎臓病、心臓病などの持病を抱える猫は、気圧の変化による影響を受けやすいので一定の注意が必要です。

シニア猫や上記の持病を患う猫の場合、低気圧の影響によって、ずっと寝ているだけでなく、症状自体の悪化、関節の痛み、食欲不振、喘息、下痢などの異変があらわれることもあります。

梅雨の時期や台風、雷雨など、悪天候が続く際は、適切な栄養摂取と水分補給を欠かさず、できるだけいつものペースを崩さないように、愛猫にゆったり過ごしてもらってください。

万が一、雨の日に、愛猫に何らかの変化が生じたら、症状が悪化しないうちに、信頼できる動物病院に診てもらうようにしましょう。

まとめ

雨の日の窓際でくつろぐ猫たち

今回は、雨が降るとなぜ猫は寝てばかりいるのか、という問題に対して、3つのアプローチから真相に迫りました。

結論から言うと、「野生本能」「低気圧の影響」「病気の可能性」、3つの要素が考えられます。

ほとんどのケースでは、健康面での影響はありませんが、シニア猫や腎臓病、心臓病などの病気を持っている猫は、症状の悪化や食欲不振など、さまざまな変化があらわれがちです。

もし雨の日が続いて、愛猫の具合が悪くなり始めたら、迷うことなくかかりつけの動物病院に相談してみてください。

特に梅雨の時期は、猫も人も気が滅入りがちです。お互いに快適に過ごせるように、生活環境に工夫を凝らして、健康的に乗り越えましょう。

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