猫の寄生虫『トキソプラズマ』にはどんな危険姓が?症状や予防法など、知っておくべき3つのこと

猫の寄生虫『トキソプラズマ』にはどんな危険姓が?症状や予防法など、知っておくべき3つのこと

猫を飼っていると一度は耳にすることがある「トキソプラズマ」。多くの場合、猫自身に症状は出にくいですが、人に感染すると影響が出ることがあります。でも、過度に心配しすぎる必要はありません。基本的な知識と予防法を知っていれば、十分に防ぐことができます。ここでは、猫と安心して暮らすために、最低限おさえておきたい3つの予防ポイントをご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

人にうつる?「トキソプラズマ」感染経路と症状

猫 ゴロリン

「トキソプラズマ」は、原虫と呼ばれる寄生虫による感染症で人を含む多くの動物が感染します。猫がこの寄生虫の「最終宿主」となるため、猫の体内で増殖・排出されることが多いのです。

トキソプラズマは、猫のフンに含まれる「オーシスト(受精卵)」と呼ばれる形で外に排出されます。

そのため、猫トイレの掃除時などに手から口を介して人が感染するケースがあります。また、飼っている猫が感染経路でない場合、火の通っていない生肉を食べることや土いじりなどから人が感染することもあるでしょう。

人が感染した場合、健康な成人であればほとんど無症状か、軽い風邪のような症状で済むことがほとんどです。しかし、妊婦さんや免疫力が低下している方は注意が必要で妊娠初期の女性が初めて感染すると、胎児に影響が出る恐れがあります。

実際には、日本人の10人に1人がすでに感染し抗体を持っていると言われるほど身近なものと考えられています。妊娠前で自然感染して免疫ができている場合、再感染しても胎児への影響は基本的にありません。

猫が感染するのはどんなとき?

猫とねずみ

室内飼いの猫であれば、感染リスクはかなり低いといわれています。

主な感染ルートは「生肉を食べること」や「感染したネズミなどの小動物を捕食すること」。
つまり、外に出て狩りをする猫や、生の肉を与えられた猫がリスクにさらされやすいということです。

猫がオーシスト(受精卵)を排出するのは、初感染後ごく短期間(1~2週間ほど)だけです。それ以降は再度排出する可能性も低いため、「いつも寄生虫をまき散らしている」わけではありません。

「トキソプラズマ」家庭でできる3つの予防法

手を洗う女性の手

では、トキソプラズマの具体的な予防法はどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、知っておくべき3つのポイントをご紹介します。

1.猫に生肉を与えないこと

猫の食事でお刺身や生の鶏肉を「ちょっとだけ」と与えるのは避けましょう。トキソプラズマは加熱で死滅するため、調理済みのものを与えるのが安心です。人の食事でも肉はしっかりと加熱したり、野菜や果物はよく洗ってから食べましょう。

2.トイレ掃除やガーデニングは手袋&マスク

猫のフンの中のオーシスト(受精卵)は、排出後に少なくとも丸1日経って感染力を持つようになります。つまり、できるだけ早く掃除し、手袋を使うことでリスクをかなり減らせます。

また、自宅でガーデニングや畑仕事をする場合も同様に手袋やマスクをして作業しましょう。外猫からの感染も考えられるため、作業後は手をよく洗うことが大切です。

3.妊婦さんはトイレ掃除を代わってもらう

妊娠中に猫を飼っていても、過剰に不安がる必要はありません。ただ、トイレ掃除だけは家族に任せるなどの工夫をするとより安心です。

まとめ

口を開ける猫

「猫=トキソプラズマの原因」と思い込まれがちですが、実際には感染経路の一部に過ぎません。しっかり予防すれば、人も猫も安心して暮らせます。

知識がないと漠然とした不安だけが先立ちますが、知れば「思ったより大丈夫」と思えるはず。大切なのは怖がることではなく、正しい知識で向き合うことです。

トキソプラズマは、動物病院で飼い猫が感染しているか血液検査で調べることができます。心配な場合は、獣医師に相談してみると安心です。愛猫との暮らしを楽しむためにも、「知っておくべきこと」を押さえて、健やかな毎日を過ごしていきたいですね。

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