猫の腫瘍、『悪性』と『良性』はどこが違う?見分けるための5つの特徴

猫の腫瘍、『悪性』と『良性』はどこが違う?見分けるための5つの特徴

悪性腫瘍(がん)は猫の死因の最上位であるくらい、猫に多い病気です。この記事では、猫に見られる腫瘍が良性か悪性かを予測するための5つの特徴をご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

︎1.大きくなるスピード

エコーを受ける猫

正常な状態では、細胞が増殖したり、それを止めたりする調節機能が備わっており、これは遺伝子によって調節されています。

しかし何らかの理由で、この遺伝子に異常が起こると細胞の増殖に歯止めがかからなくなくなり、無秩序に増え続けてしまいます。この状態を悪性腫瘍と言います。

悪性腫瘍は遺伝子の異常でどんどん未成熟な細胞が増えていくため、細胞が成長するスピードも、増えていくスピードも速いです。

一方で、良性腫瘍はすでに成熟した細胞が大きくなるため、大きくなるとしてもスピードがゆっくりなことが多いです。

よって、肉眼で確認できる場所にできた腫瘍では、大きくなるスピードの違いが良性か悪性かを見分けるひとつの指標となります。

︎2.見た目

撫でられている白猫

良性腫瘍と悪性腫瘍とでは、周りの細胞への浸潤の仕方が異なります。

良性腫瘍は自分自身が膨らんで大きくなるため、正常な細胞との間に「被膜」というはっきりとした境界線ができます。ですので見た目としても、周りとの境目が比較的ハッキリとしたしこりとして発見されます。

一方で、悪性腫瘍は徐々に周りの細胞に手足を伸ばして溶け込むように浸潤していきます。悪性腫瘍は良性腫瘍と違い、正常な細胞との境界線がないため、見た目としてもハッキリとしない形になります。

︎3.硬さ

撫でられる猫

体の表面にできたしこりで、触ることができる場合には硬さも一つの指標となります。

一般的に良性腫瘍は、柔らかく動きやすいという特徴がある一方、悪性腫瘍の場合は硬くゴツゴツしていて筋肉に張り付いて動かないという特徴があります。

また、腫瘍だと思っていたものが、炎症などによる腫れの場合もあります。炎症による腫れは痛みを伴うことがありますが、腫瘍の場合は触っても痛みを伴わないことが多いのが特徴です。

︎4.できる場所

猫の口の中

腫瘍のできた場所によっても、良性か悪性かの予想がある程度できる場合があります。例えば、猫の乳腺、口腔内、卵巣などにできた腫瘍は悪性の確率が高いと言われています。

一方で、猫の顔や体の表面にできた腫瘍は、良性の可能性も悪性の可能性もあります。

また、良性腫瘍は転移をしないのに対し、悪性腫瘍の場合はリンパ節や他の臓器など複数の場所に転移をするのが特徴です。しかし、良性の腫瘍の腫瘍でも脂肪腫など複数個発生する場合もあります。

︎5.体重の変化

体重計

がん細胞は猫がフードから摂取した糖質をエネルギー源として増殖します。また、がん細胞がつくり出す「サイトカイン」という物質によって、猫の食欲が抑えられてしまいます。

これにより、猫は食べているのに痩せてきてしまったり、体重が減少したりします。一方、良性腫瘍の場合には、体重や食欲に変化は見られません。

︎まとめ

血液検査を受ける猫

今回ご紹介したことは、あくまで良性か悪性かを予測するためのものであり、確定診断をするには動物病院で針を刺して検査をしたり、腫瘍自体を手術で取り除いて検査をしたりする必要があります。

見た目だけで良性だと判断せず、しこりを見つけたら、まずは動物病院を受診しましょう。

また、悪性腫瘍の場合でも早期に治療できれば完治することもあります。そのためにも、動物病院での定期的な健康診断や、日頃から猫の体を触ってしこりなどがないかをチェックすることが大切です。

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