いくら好きでも、猫の『お口にキス』は厳禁!感染する可能性がある病気3選

いくら好きでも、猫の『お口にキス』は厳禁!感染する可能性がある病気3選

猫と暮らしていると、その愛らしい仕草に思わずキスしたくなることもあるかもしれません。しかし猫の口の中には私たち人間にとって有害な細菌が存在しています。それらの細菌は、猫には問題がなくても、人間の体内に入ると感染症を引き起こす恐れがあります。今回は、猫の口にキスをすると感染する病気について見ていきましょう。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫の口の中には細菌がいっぱい!

あくびをする猫

猫の口にキスをしたことのある飼い主さんも多いかもしれませんね。しかし猫の口の中には私たち人間にとって、危険な細菌も数多く存在しています。

とくに免疫力が低下している高齢者や子供は命にかかわる場合もあります。

1.カプノサイトファーガ感染症

診察中の猫

カプノサルトファーガ感染症は「カプノサイトファーガ・カニモルサス」という細菌に感染することで引き起こされる感染症です。猫や犬の口の中に常在している細菌の一種で、57〜64%の猫が保菌していると言われています。

カプノサイトファーガ感染症に感染した際のおもな症状は、発熱、腹痛、倦怠感、吐き気、頭痛ですが、重症化すると敗血症や髄膜炎、DIC(播種性血管内凝固症候群)などを引き起こすことがあります。

敗血症を起こした場合の死亡率は30%とされており、日本でも1993年から2017年までに93例の感染があり、うち死亡は19例となっています。免疫力が低下している人や基礎疾患がある人、高齢者は重症化リスクが高くなりますので、注意が必要です。

2.パスツレラ症

座布団の上で寝ている猫

パスツレラ症は「パスツレラ菌」という細菌によって引き起こされる感染症で、猫の口の中にほぼ100%という高確率で存在しています。

パスツレラ菌の感染経路としては、引っ掻かれたり、噛まれたりした際の傷から感染する経皮感染と、キスをしたり、食器を共有したりすることで感染する経口感染があります。

パスツレラ菌は、肺炎や気管支炎、副鼻腔炎などを引き起こします。経皮感染の場合は、数時間ほどで患部が腫れるほか、リンパ節の腫れ、発熱、痛みなどが見られ、関節炎や骨髄炎を引き起こすこともあります。

3.トキソプラズマ症

日向ぼっこをしている猫

トキソプラズマ症は「トキソプラズマ」という寄生虫によって引き起こされる感染症です。

生肉を食べて初めてトキソプラズマに感染した猫のうんちを介して感染するのが一般的です。しかし猫の場合、お尻を舐めて綺麗にする習性があり、その際にトキソプラズマの卵が口に付着すると、猫に舐められたり、キスをしたりすることで人間に感染する可能性があります。

通常は健康な人であれば目立った症状はなく、感染したことに気づかないことがほとんどです。その一方で、妊娠中の女性がはじめて感染した場合、胎児に深刻な影響を及ぼすことがあるため注意が必要だとされています。

まとめ

見つめ合う猫と女性

猫は家族の一員であり、つい愛情表現が過剰になってしまうこともあるかもしれません。しかし口元へのキスには思わぬリスクが潜んでいます。

猫の口内には人間にとって危険な細菌が存在しており「カプノサイトファーガ感染症」「パスツレラ症」「トキソプラズマ症」など、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

とくに免疫が弱っている人や妊婦さん、高齢者、小さな子どもは重症化のリスクが高まるため、日頃から適切な衛生管理と距離感を心がけることが大切です。

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