猫の『お腹がたるんでいる』2つの理由 歩くとたるんたるん…肥満との見分け方は?

猫の『お腹がたるんでいる』2つの理由 歩くとたるんたるん…肥満との見分け方は?

愛猫が太っているわけでもないのに、歩いたり動いたりするたびに揺れるお腹…。「本当に健康的な体形を維持できているか」気になる方も多いことでしょう。しかし猫のお腹がたるんでいるからといって、必ずしも肥満が原因とは限らないようです。では、猫の肥満を見分けるには、どのようなことから判断すれば良いのでしょうか。ここでは、猫のお腹がたるんでいる理由と合わせて解説します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫の『お腹がたるんでいる』理由

ヘソ天で寝る猫

1.大切な防御機能の役割

猫のお腹のたるみの正体は「プライモーディアルポーチ」もしくは「ルーズスキン」と呼ばれる部分です。この柔らかい部分は、皮膚や筋肉のたるみで構成されており、猫が獲物を追うときやジャンプをする際に体を柔軟に動かす手助けをします。

室内猫であっても後ろ足を大きく、柔軟に動かせるのは、程よく余るくらいのお腹のたるみがあってこそです。

他にもケンカや外敵から攻撃を受けた際、内臓を守る役割も果たします。そのため、プライモーディアルポーチは健康な猫にも見られる特徴で、成長とともに自然に発達するものなのです。

2.運動不足や加齢による影響

運動不足や加齢もお腹がたるむ一因です。とくに室内飼いの猫は外で運動する機会が少なく、筋肉量が減りやすい傾向があります。また、過去にダイエットをした結果、お腹の皮膚が弛緩して見えることもあるでしょう。

高齢猫は加齢に伴って体が思うように動かなくなると全身の筋力が落ちてきますので、お腹のたるみが気になることも多いです。

なるべく無理に運動させる必要はありませんが、毎日遊び時間を決めて、猫が興味を持ちやすい遊び方を取り入れるようにしましょう。

肥満との違いはどう見分ける?

猫のお腹を触る人

愛猫の健康を維持したい飼い主さんが気になるのは、「肥満」との見分け方です。健康的なたるみと肥満を見分けるポイントは、体全体のバランスにあります。

猫が立っているときに上から見て、少しくびれを感じられるどうかをチェックしてみましょう。次に猫の体を触れてみて、わずかに肋骨が分かる程度の体型であれば、肥満ではない可能性が高いです。

一方で、腰周りや首元に脂肪が多くついている場合は肥満を疑う必要があります。肥満体形は、さまざまな病気引き起こしやすく健康に悪影響を及ぼすものです。

猫の体格によっては、肥満との見分けが難しい場合もあるため、動物病院の健康診断で適切な指導を受けるのがおすすめです。

健康管理のポイント

お腹のたるみが気になる場合でも、過剰に心配する必要はありません。しかし、愛猫の健康をしっかり管理するためには、体重や食事量、運動量を日々チェックすることが大切です。

たとえば食事の量が過剰でないか、運動不足になっていないかを把握するために、食事や活動内容を記録しておくと良いでしょう。さらに、定期的な獣医師からの健康チェックを受けることで、万が一異常が見つかれば、早期に対応できます。

お腹がたるんでいる場合は、肥満以外にも消化不良や筋力の低下などが原因となることもありますので、注意深く観察しましょう。

まとめ

横から見た猫

猫のお腹がたるんでいる理由には、「プライモーディアルポーチの存在」「皮下脂肪の蓄積」のどちらかが考えられます。多くの猫の場合、プライモーディアルポーチが猫の体を守る大切な役割を担っているため、一概に「肥満」とは言えません。

しかし、たるみの原因を見極めず放置すると、肥満が進行し健康問題に繋がる恐れもあります。愛猫の健康を守るためには、日頃から適切な体重管理や運動、食生活の改善を心掛け、疑わしい症状があれば早めに動物病院で診察を受けましょう。

愛猫の健康な生活を支えるためにも、日々の細やかな観察をし、健康的な体形を維持できるようにしっかりと見守りたいですね。

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